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アビリティワールド-ABILITY WORLD-  作者: イズミ
第1章 出逢いと始まり ―動き出す物語―
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8.体育祭① 開幕!

『えー。本日は、見事な快晴となり絶好の体育祭日和になりましたことを大変嬉しく思います。是非とも、練習してきた成果を出せるよう奮迅してもらいたく―――』


 体育祭当日。

 開会式のスピーチで校長が言っている通り、今日はよく晴れていて空が綺麗である。

 グランドの周りには、保護者や近所の人、他校の生徒など色んな人が集まってこちらを見ている。

 星桜高校の体育祭は、競技の激しさ、ダイナミックさ、2日目のアビリティ競技のド派手さから、近所では名物祭の1つとして数えられているらしい。

 あの屋上での出来事以来、皐さんに妙に気に入られ、放課後の練習の時にちょくちょく話しかけられるようになった。

 あの出来事は、古藤さんには話していないらしい。

 皐さんいわく、


「このこと言ったら変に首突っ込んでまた豪と喧嘩になりかねないし」


だそうだ。


 なので、古藤さんは何も知らない。

 皐さんに対しては、急にやる気が出たくらいにしか思ってないそうだ。

 俺も正直、木ノ崎先輩のことはムカッと来たところもあったし、ぶん殴ってやろうかと2回程思ったこともあったが、ぶっちゃけ青組に勝つことなんかよりも、俺はやらなければならないことがある。

 まあ、皐さんには青には負けないよう頑張りますと言っているから大丈夫だろう。


 ―――ていうか、今はそんなことより。


「―――であるからして、私も学生の時は―――」


 校長……スピーチ(なげ)えよ……。




『それでは、これより第1種目。1学年による組団対抗女子リレーを始めますので、参加する選手の皆さんはトラックフィールドにお集まりください』


 校長の長いスピーチのおかげで、開会式が少し巻きぎみで進み終わると、司会の人が早速第1種目の開始を予告する。


「よし、陣地行って応援してようぜ」


 俺の隣にいた学が赤組陣地を指差す。


「そうだな」

「頑張って女子の応援して男子の時にしっかり応援されるようにしないとな」

「待つということなは慣れておるが、できれば早く我の出番になってほしいものだな……」


 この体育祭だが、原則ルールとして、競技に出ている選手以外は基本設けられた自陣の中で競技に出ている選手の応援をすることとなっている。

 理由は、不正とか妨害を阻止しやすくするためのものらしい。

 そういうことで、俺は一緒にいた学と武井と鹿央と赤組陣地へと歩き始めた。


「お、男子共じゃん。しっかり応援しとけよ」


 すると、リレーの参加をする須藤と冬木とすれ違う。

 活発的な性格の須藤がそう言うと、


「おう、ばっちり応援してやるぜ」

 

学がグッドサインをする。


「ありがと……長谷川君……」


 須藤とは逆に、少し控えめな感じの冬木が少し恥ずかしそうに返事を返す。

 この間まで、同じクラスの同じ組団だというのにも関わらずこの2人とは話すことがほぼなかったが、この間からちょくちょく話をするようになっていた。

 きっかけは須藤のこの一言。


「日向、最近皐さんと仲良いみたいだけど何かあったの?」


 皐さんは赤組女子のリーダー的な存在らしく、そんな皐さんが俺に急にやたらと絡むようになったのが気になったらしい。

 屋上での出来事を話す気にはならなかったので、あることで困ってたら皐さんが助けてくれてそれから皐さんから話しかけてくるようになったと大雑把に説明した。

 まあ、間違ってはないし。


 それを聞いた須藤と冬木が「まさか……」「これは脈ありってやつでは……!」とか言ってたがスルーした。

 俺もそうだったら良いなって思った時期もあったが、皐さんの俺に対しての態度はそういうのじゃない。

 あれは……弟とかをかわいがってる態度と同じだと思う。

 俺も妹がいるから何となくだがわかるのだ。

 とにかく、そんな感じで話すようになり、普通に絡むようになったわけである。



 「じゃ、言ってくるわ」


 そう言って、須藤と冬木がトラックフィールドに向かおうとしたところで俺は2人に一言こう言った。


「白組にだけは負けんじゃねーぞ」


 須藤はニヤニヤしながら、


「はいはい、わかってるから」


と言い冬木は、


「うん、勝つかどうかはともかくとして……頑張るから……」


と少し自信無さげにしていた。


 俺は「頼んだぞ」と、2人に念を押して送り出した。

 女子リレーだと、美穂と紗奈に一泡吹かせられないからな。

 何としても頑張ってもらわねば!


「お前、本気なんだな……」


 俺のやり取りを見て少し呆れ気味にする学。

 ちなみにだが、俺が白組に対して闘志を燃やしているのは俺の周りのやつらはほとんど知っている。


「当たり前だろ。売られた喧嘩だからな」


 ま、と言っても喧嘩売ってきたのほとんど紗奈だったような気もするけど、そんなことは些細な問題である。

 白組(あの3人)には負けたくない。

 ただそれだけである。


「……仲良いんだなお前ら」


 学がそう呟いた辺りで、俺らは自陣へと入り応援の準備をする。

 

 そして。


『それではこれより、第1種目【1学年 組団対抗女子リレー】を始めます』


高校初めての体育祭が始まった。

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