表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
裸間ボッチ  作者: スカート保存委員会
43/62

鼻血

有野さんと五階さんの二人に責め立てられる。

決して悪い気はしないが果たして俺だけのせいか?

特に有野さんはすべて分かっているはず。

それなのにどうしてこんなに白々しい真似をするんだ?

酷いじゃないか。悪ふざけもこれくらいにして欲しい。

何度も言うが二人に責め立てられるのは悪くない。

逆に気持ちいいとさえ思えてくる。自覚はないがそっち系の変態なのか?

前の学校を含め一人ぼっち生活が長かったからな。

いつの間にか拗らせてしまったらしい。


「一ノ瀬君はどうしたのマナ? 」

「さあ…… ねえ一ノ瀬君」

「俺もちょっと分かりません」

自分だってどうしてこんなおかしな状況になったのかさっぱり。


「どうしたんだい? 」

もう少しで家と言うところで大家さんに引っ掛かる。

「おやまあ。興奮して鼻血が止まらないようだね。

ほら上向きにしてあげな。これで少しは収まるだろうよ。

それにしても情けないね。この男はどうしたんだい? 」

直々に取り締まる。


「それが一ノ瀬君ったらマナの夜について聞いていたら突然。

抱き寄せたら悪化したんです」

うわ…… 言い訳できない。事実そうだからな。

焦って適切な返しなど不可能。

「はいはい。まだ経験が足りないんだろうよ。

あんたも溜まってるんだったら発散しなきゃね」

おいおい言い方を気をつけろって。変な誤解されたらどうする?

俺はまだ素敵な隣人で同級生で通ってるんだから。

大家さんが余計なことを言えば拗れるだけ。

俺たちの仲を引き裂かないで欲しい。


「そうそう」

どう言う訳か笑いものにされずに済んだ。あまりの鼻血の量に同情されたか?

それはそれで情けない気もするが。

「よし待ってな。粥を作ってやるから。ああ奥さんが来てたんだったね。

ほら大人しく家で寝てな! よく相談するといいよ」

そう言うと掃除に戻る。幅跳びは今回は免除。らしくない。

それにしても相談って?

何だか大家さんは妙に引っ掛かる言い方だったな。何のことだろう?


「じゃあ。また明日ね」

こうして今日も何気ない日常が過ぎて行く。うわあ…… 垂れる。

「ハイお帰り。どうしたのそんなに鼻血を出して。そんな弱い体してたっけ」

呑気な母さんだ。大事な一人息子が血を垂らしてるのに笑っている。

妹もいるから完全な一人息子じゃないけどさそれでも少しは心配してもよくない?

「今日は来る日じゃない…… 」

大家さんが言わなければ不審人物になっていたであろう。

いきなり来ることは基本ない。だから驚く。


まずはお茶を飲んで落ち着く。

「どう鼻血は止まった? 」

「ああ。それより何でここにいるんだ? 」

「そんな邪険に扱わないでくれよ。田舎から来た母さんだよ? 」

そんなこと言ってここと大して変わらない。そもそも二時間ぐらいの違い。

どうも何かあったんだろうが話し辛いのか黙っている。

だから俺も聞かない。そして沈黙に耐えかねて話し始めるのを待つ。

もうすぐに話せばいいのに。時間の無駄だろう。


「実はね…… 」

つまらないことで喧嘩したらしい。

つまらないことと言っても俺のせいらしいので実際はつまる話。

とっても大切な話だったと分かる。本人不在で喧嘩しないでくれよな。


「それで飛び出してきた? 」

「うん。お母さん悪くないでしょう? 」

「悪くはないよ。それでここに逃げて来たんだね? 」

 正直息子のところに逃げて来られても困る。

「うん…… そうなんだけど…… これは確認でもあるの」

「はあ? 何を言ってるんだよ? 」

無事の確認か? それはご苦労なこと。


「だからあなたがかわいいお隣さんに手を出すんじゃないかって疑って」

そう言えば母さんは当然お隣を知っている。

引っ越しの挨拶に言ってるのだしそれから来た時はちょくちょく話している。

有野さんは確実で五階さんはどうかな?


「それで母さんは信じてくれてるんだね? 」

息子を何だと思ってるんだろう? 手を出すはずないじゃないか?

俺をその辺の獣と一緒にするな。

「お父さんったら男は皆そんなものだろうって。一対二では敵わない」

そう言ってのける。まさか俺ってどうなってるの?

一対一の間違いでないとしたら父さん側に着いたのは和葉?

だが和葉に限ってそんなこと言うはずない。

兄を尊敬はしてなくても日頃接していれば分かる。

それとも高校に入って俺が変わったとでも思っているのか?


「父さんがそんなことを。信用してないんだ? 」

「ほらかわいい女の子が近くにいると間違いが起きると思ってるらしいの。

もう悔しくて悔しくて。だから証明して見せる為に来たの」

どうも喧嘩と言うよりも確認したかっただけのようだな。

「なあ和葉は? 行くことに反対したんだろ? 」

「それが…… 」

どうも言いにくそうだ。何かあるのかな?


「和葉は晶は最低だから両方に手を出して五階さんとくっつくと言ってた」

まさか俺を読んでいるとでも言うのか?

「ははは…… 和葉の奴は俺が行ったからきっと寂しいんだろう。

真に受けない方がいいよ。大体俺が手を出せる相手だと思う? 」

有野さんはかわいくてきれいでクラスでも三位を死守するような美人。

俺ではとてもとても相手にはならない。それくらい分かって欲しいな。

言ってて虚しくなるんだからさ。

それは五階さんだって同じこと。政治家の娘とあって物凄い美人。

隣のクラスではぶっちぎりのトップ。

この消しゴムコロコロ男では話になるはずがない。


                    続く

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ