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金色の御子伝説  作者: 世捨人
旅立ち編
7/50

6話

アーサーが町を出た後、猟犬を連れた狩人風の5人組が出て行った。


「おい あの小僧は本当に金持ってるんだろうな?」


「おおっ 『魔力石』売ってたからな」


「ガキから奪い取るなんざ手間もかかんなくって楽勝だぜ」


「あの小僧も綺麗な顔してたから娼館にでもたたき売ったら高く買ってくれそうだぜ」


「でもルディアの町じゃ売れねえぞ?」


「なぁ~に隣の男爵領なら問題ないさ。領主からして悪党だからな。ウヒヒ……」


「てめえら見失うんじゃねえぞっ 町から見えなくなったら直ぐやっちまうからな!」


「おう!」




狩人風5人組の後ろを、少し距離を開けて二人の騎士が尾行していた。


「間違えなく犯行に及びそうだな」


「うむ」


「あの少年には悪いが囮になってもらうしかないな」


「今まで証人になりそうな人々は皆殺しにされてるからな。少年が殺される前に助ければ問題なかろう」


「いや助ける必要もないと思うぜ」


「どういう意味だ」


「少年の歩く姿を見てみろ」


「普通に歩いてるようにしか見えないぞ?」


「隙がないんだ それも恐ろしいほどに自然体で……」


「そうは見えんけどなぁ~」




一方、アーサーはシロとじゃれ合いながら暢気に歩いていた。


「シロ 後ろの人達って野盗って人達かな?」


<悪意の篭った目で俺たちをみてるからなぁ~>


「面白そうだからこのまま様子をみよう」


<犬ッコロは俺が相手するから、人間はアーサーが相手しろよ>




街道から町が見えなくなった所で、二人の男と猟犬2匹がアーサー達を追い抜き振り返った。


「おい小僧っ さっき受け取った金全部置いてけ 命だけは助けてやる」


「ん?おじさん達 組合ギルドで見てたの?」


アーサーは特に慌てた様子もなく平然と答えた。


男達は猟犬を嗾けようとするが、猟犬は尻尾を下ろし耳を伏せ尻込みして動こうとしなかった。


「おい犬の様子が変だぞ?」


「そんな馬鹿犬ほっとけ!!」


と男達は全員剣を抜き放つとアーサーを威嚇するように前後からジリジリと近寄って行った。


「大人しく渡さねえと痛い思いをすことになるぞっ」


「おじさん達 悪い事は止めたほうが良いよ。いつか捕まって酷い目にあうのは自分達だよ?」


「うるせぇっ ガキに説教される覚えはねえ 身包み剥いで売り飛ばしてやるっ!!」


「やっちまえっ」


男達は一斉に飛び掛って行った。



  ガキィーーーーン



男達はお互いの剣をぶつけ合っていた。


剣の下に蹲っていたアーサーは、全員鳩尾に拳を放ち意識を刈り取った。




「おーい 木の陰にいるおじさーーん」


「「誰がおじさんじゃっ おにいさんとよべ」」


「助けてくれないなんて酷いじゃないですか~ この人達捕まえにきたんでしょ?」


「いや~悪い悪い……君が強そうだったから見学させてもらってたんだ」


と笑いながらアーサーの肩を叩いた。


一方猟犬達はシロの前に伏せ、まるで子分のようにおとなしくしていた。




騎士達は男達を縛り上げ、一人は町に護送用の馬車を取りに走って行った。


「しかし見事な体術だなぁ」


「いえ大したことないですよ。あの程度だったら森の獣達のほうがよっぽど怖いですよ」


「はっはっはっ 俺も剣術には自信があるほうだけど、あんなに素早いのは久しぶりに見たよ」


「おにいさんだったら一瞬で倒せたんじゃないですか?」


「あいつらは問題にならないよ。それより君の動きは俺の師匠以上かもしれんなぁ~」


「おにいさんの師匠だったら強いんでしょうね」


「うむ レジアス公爵って言って、この国でも有数の剣士なんだぞ」


「レジアス公爵ってランバートさんのことですか?」


「おっ よく知ってるな。そうランバート・アーノルド・レジアス公爵だ」


「僕その人に会うために旅してるんですよ」


「弟子入りかい?もう引退されたと聞いてるが?」


「いえ 父の師匠がランバートさんで、ロバートさんとは仲が良かったそうなんです。それで父の修行時代の話とか聞けたら良いなぁ~って」


「そうか お父さんは一緒じゃないのかい?」


「ええ僕が生まれてすぐに他界しました」


「そりゃ悪い事聞いたな。すまない」


「いいえ気にしないでください」


「そういえばロバート卿の奥様は、ここの領主シュベルト伯爵の妹さんなんだ。その縁で俺はランバート様の弟子になれたんだ」


「どんな方なんですか?怖い人?」


「剣術の修行は厳しかったけど、普段は豪快で面白い人だ」


「よかった~ 怖い人だったら会わずに帰ろうかななんて・・・エヘヘ」


「公爵様のお城に行ったら門番に話をしたら気軽にお会いしてくれるはずだ」


「ありがとうございます。ランバート卿の武術にも興味があります。見学くらいできますよね」


「誰でも見学は許されると思うぞ。俺がいた頃にもたくさん見学者がきてたからな」


「楽しみです。できれば手合わせとかできれば嬉しいかも」


「叩きのめされる覚悟があれば受けてくれると思うぞ。なにせ『武術の里』って呼ばれるくらい好戦的な連中が多いからな アハハハハ」



しばらく武術談義に花を咲かせていたら馬車が到着した。



「それじゃあ俺達は野盗共を護送してルディアの町に戻るんだが、申し訳ないがこいつらのことで聞かなきゃならんことがあるから同行してくれないか?」


「構いませんよ。別に急いでるわけでもないですから」


「そうしてもらえると助かるよ」


騎士達は馬車の荷台に作られた檻に野盗達と猟犬を入れ、自分達は御者台に乗りアーサーに声をかけた。


「君も乗ってくれ」


「えっ いいんですか?」


「当たり前じゃないか」


「僕、馬車って始めてなんです」


シロを抱きかかえて、アーサーは御者席に腰掛けた。

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