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金色の御子伝説  作者: 世捨人
王都編
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17話

自ら不正な税を徴収していることを白状したような返事に苦笑しながら


「他に意見のある者はあるか?」


とのロバートの問いかけにバーニング男爵の次男が手を挙げた。


「4と5についてですが、僕は公爵家に害をなす意思などありませんでした。

レジアス領地内の事件は狩人が無礼を働いたので手打ちにしようとしただけです。

ご令嬢を暗殺しようとしたこともなく、無礼を働いた狩人を倒そうとしたら、近くに令嬢がいらっしゃただけです。

すべては狩人が悪いのです」


「領地の件、暗殺未遂の件、両方とも娘は目撃しておるが、見誤るほど未熟者だということか?」


「まだお若いですから、見誤られても不思議はないかと思います。その狩人を呼んで私に尋問させてください」


「娘は俺と互角に戦える剣士ですぞ?見誤ることはありえぬが、証人を呼ぶことには同意しよう」


ロバートは近衛騎士に目配せをし審判を続行した。


「証人が来るまで、他になにかないか?」


貴族達に手をあげるものはなく、ロバートは大神殿の神官長に目をやり


「何かご意見はございますか?」


と問いかけた。


「バーニング男爵家は敬虔な信者でございますから、託宣をしてまいりました」


「ほお、では神のご神託を賜れるのですな。ご神託をうけた者から直接聞きたいゆえ、ご本人をこれへ」


近衛騎士に先導され『神の巫女』が入って来た。


「神の巫女殿、ご神託をお聞かせくださいますかな?」


神の巫女は恭しく一礼し、胸の前で手を合わせ目を閉じ語りはじめた。


「バーニング家の者の行い許しがたきことなれど、命を奪うことは許されん。

爵位、領地を返上し、本人達は大神殿の下働きをして罪の償いをさせるべし。

財産はすべて大神殿に寄贈し神を敬う人々の為につかうべし」


語り終わり目を開け「以上です」と一礼した。


「神が人間の身分や財産のことを口にされるのは初めて聞いたな」


「レジアス公爵殿、神を愚弄するようなお言葉は控えなされっ」


神官長は真っ赤な顔で怒りを顕わにしたが、ロバートは無視し入り口の方を見た。


近衛騎士に付き添われ、白銀の髪をした狩人姿の少年が俯きながら入って来た。


「ご要望の証人が到着したようですな」


少年は部屋の中央で片膝をつき頭を下げた。


「そいつですっ そいつが無礼を働いた狩人です」


ロバートが手で制し、少年に語りかけた。


「そなたが見たことを正直に話してくれるか?」


「はい。まずはご領地であったことですが……

 路地から談笑しながら出てきたお3方が、大通りを歩いていた少女にぶつかり無礼打ちにしようと大柄の従者が剣を抜き斬りかかりました。

僕が咄嗟に飛び出し少女を助けましたら、僕に斬りかかってきたので已む無く投げ飛ばし気絶させました。

次に細めの従者の方が火球の魔術を放ちましたが、連れていた魔狼の子が魔術障壁で弾き返し魔術を放った従者を昏倒させました。

最後に貴族の方が抜刀して斬りかかってこられましたので、已む無く拳で一撃を加えました。

その後にレジアス公爵家のご令嬢が到着なされて場を治めてくれました。

次にレジアス公爵家のご令嬢に、ロレンツォから王都に同行させていただいている時ですが、ご令嬢と侍女のクレアさんと一緒に昼食用の水汲みをしているとき、林の中から3人が現れ襲撃をうけましたが、皆で協力し捕縛することができました。以上です」


「うむ、調べと齟齬はないな。いかがかな次男殿」


「嘘だっ 平民風情の言うことと、貴族の言うこととどちらを信じるのですかっ」


「この者は自分で平民といいましたかな?」


「自分で平民という平民なぞおりません」


ここでアルフレッドが割って入った。


「この者は嘘をつくような者ではないぞ?」


「なぜそのようなことがわかるのですっ」


「この者の父親は先代レジアス公爵の弟子で、そこのロバートの親友でもあった。俺も良く知ってる尊敬する人物だった。頭を上げて名乗るが良い」


アーサーはスッと立ち上がり貴族達を見渡し口を開いた。


「僕の名はアーサー。アーサー・フォンライン・ローレンシアです」


部屋中の空気が凍りついたように誰も微動たりともできなかった。


「なにを驚いておる?皆も一度会っておるぞ。俺の婚約発表の折にな」


と手にした鬘を振ってみせた。


「アーサーよ、先ほどのご神託聞いておったな?お前の意見はどうじゃ?」


「はい、伯父上。巫女殿にいくつか質問したいのですがよろしいですか?」


「かまわん。なんでも聞いてみるが良い」


アーサーは神の巫女のほうに向き直り質問をはじめた。


「これから聞くことに正直に答えてください。嘘があれば誰も貴方を救うことはできないので、心して答えてくださいね」


「はい、なんなりと」


「あなたは『神の加護』をうけていますか?」


「はい」


「『神の紋章』はどこに刻まれていますか?」


「『神の紋章』でございますか?」


「紋章を知りませんか?『神の加護』の印なのですが……おかしいですね」


巫女は神官長のほうを見てオロオロしはじめた。


「もう一度聞きます、あなたは『神の加護』を受けていますか?」


「……申し訳ございません」


「それでは、ご神託は誰から聞きましたか?」


「父上から指示をうけました」



「おいっ 父親をうらぎるのか」


「レイノルド伯爵を捕縛せよっ!」


ロバートの鋭い声が部屋に響き、近衛騎士によってレイノルド伯爵は取り押さえられ連れ去られた。


アーサーは悠然とアルフレッドに振り向き頷いた。


「神官長、どういうことかは詳しく聞かせてもらうぞ。

それまで大神殿内で待機しておれ。

風王騎士団、神官長をお送りしろ。

調べが終わるまで、大神殿にだれも近づけてはならん」


「ご神託は無効ということですな。陛下、ご裁可をお願いします」


ロバートはアルフレッドに向かい頭をさげた。


「裁定を申し渡す。爵位と領地は返上。財産は没収の上、本来の持ち主である領民に返還する。そして被告人は極刑に処す。以上だ」


判決を言い渡したアルフレッドは審判の間から退出した。



ロバートはアーサーのもとに駆け寄り臣下の礼をとり


「殿下、お手数おかけしました」


「ロバートさんも大変でしたね」


ロバートと一緒に退出するアーサーを見送る貴族達は硬直したままだった。

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