表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
金色の御子伝説  作者: 世捨人
レジアス領編
PR
25/50

16話

アーサーが逗留をはじめて一月が経過した。


「やったぁぁぁ はじめてシロに触れたぁぁぁ」


「今度はわたくしの番ですわっ」


はじめの頃はドタバタと動きに無駄が多かったが、最近ではシロの動きに惑わされることもなくなり無駄な動きもなくなっていた。


「やりましたわっ わたくしも触れました」


「リア、クレアさん、明日からはシロにも攻撃させるから覚悟しといてね」


「「うええぇぇぇ」」




朝食の時も興奮さめやらぬ気持ちを抑えることができず、騎士団に自慢してはしゃいでいた。


休憩の後、いつも通りふたりで向き合って構えていると、アーサーはふたりに木剣を手渡した。


「久しぶり、剣をふるって対戦してみて?」


とまどいながらも、ふたりの対戦は始まった。両者の凄まじい攻防に騎士団や衛士隊の面々が集まってきて観戦をはじめた。


「す・すごいっ」


「以前とは比べ物になんねぇや」


「俺達とは次元がちがうぜ」


口々に褒め称えたり、悔しがったりしていた。


対戦を終え、ふたりがアーサーの元に駆け寄ってきた。


「アーサー君、嘘みたいに身体が動くのよ」


「アーサー様、姫様の動きが手に取るようにわかりますのっ」


「それは、ふたりの努力の賜物だよ」


「なんで、こんなにちがうの?」


アーサーは種明かしをした。


「まずシロとの鬼ごっこで、無駄な動きがなくなったことと、足さばきが上達したこと。

次に相手の重心移動や力加減を感じて、攻撃がフェイントか本物か区別できるようになったこと。

それと身体が柔らかくなったことで、しなやかに受け流せるようになって、体勢が崩れ難くなったことだね」


「柔軟は辛かったけど、効果があるものなのね」


「わたくしは、楽しかったですわ」


「そうね、私も楽しかったわ。鍛錬って辛いもんだと思ってたから」


「このまま頑張って鍛錬続けてください。今日から剣を使った鍛錬もやって良いですよ」


「クレアと二人だったら、騎士団全員とやっても勝てそうな気がするわっ」


「おいっ お前ら嘗められないように鍛錬しろよっ」


と騎士団長が檄をとばした。




昼食後ランバートに呼ばれたアーサーは書斎を訪れた。


中にはランバートと騎士姿の紳士が座っていたが、アーサーを見て跪き臣下の礼をとった。


「アーサー様、これが愚息ロバートでございます」


「殿下、お初にお目にかかります。ロバート・アーノルド・レジアスでございます」


「はじめまして。アーサーです。どうか普通にしててください」


3人はソファーに座り話はじめた。


「父からの手紙を見て、直ぐに参上するのが筋でございましたのに、遅くなって申し訳ございません」


「アーサー様の事情も書き連ねておりますので、安心してお話ください」


「それでは、新たにわかったことをお伝えします。シルフ、君の調べたこと話して」


スッと突然アーサーの横に現れた緑色の髪をした女性に驚きながらも


「あなたは?」


と声をかけた。


「アタイは風の精霊王シルフだ。

名前くらい聞いたことあるだろ?

アーサーの世話役のひとりだよ」


ランバートとロバートは驚きながらも深々と頭を下げた。


「『神の加護』を得た人間はすべて命を奪われてたよ。

アタイ達精霊と契約した人間も有名になった者も全員ね。

契約してた精霊や神にも気付かれず突然襲われた手口もあの事件と同じだったよ。

犯人は悉く自害したみたい。

ただ、自害した犯人から黒い魔力が抜けていくのを精霊が目撃してたらしい。

黒い魔力自体が何か意思を持っているように見えたって言ってたよ。

今『神の加護』を受けているのはアーサーだけだよ。

アタイ達も気をつけるけど、アーサーの周囲の人までは守りきれないかもしんない。

みんなも、身の回りには充分注意しなよ」


と話し終え姿を消した。


「大神殿からは、そのような話はでておりません。どういうことなんでしょうか?」


「大神殿の神官は『神の加護』を受けていないということです」


「それでは、どうやって神託をしているのでしょう?先日も陛下にある貴族を昇格させるよう神託があったと進言しておりましたが?」


「あははははは 神は人間の地位や名誉なぞ気にしてませんよ。

誰かに都合の良い神託でしょう。

以前にリアやクレアさんとも話したんですけど、大神殿は巨大詐欺組織だと」


「許せぬ行為ですな。国政にまで口出ししてくるとわ」


「ロバートよ、大神殿への寄付金の流れを調べて、神託と照らし合わせてみよ。もしかしたらバーニング男爵助命の神託がでるやもしれんぞ?」


「それは面白そうですな父上。早速、手のものを動かしましょう。アーサー様、『神の加護』を受けた者の見分け方なぞないのでしょうか?」


アーサーは両手にはめた篭手をはずし、腕をみせた。


「右手にあるのが『知の神』の紋章、左手のが『生命の女神』の紋章です。『神の加護』をうければ身体のどこかに刻まれます」


「それで、いつも隠しておられたのですね」


「人に見られたくなかったものですから」


「アーサー様、王都においでいただけないでしょうか?」


「僕も、そろそろ行こうかと考えていました。しかし、フローリア姫とクレアさんの鍛錬が中途半端に終わってしまっては可哀想です」


「それなら問題ありませんよ。フローも王都に呼び戻すつもりでしたから。あいつ勉強を嫌がって武術の鍛錬を理由にこちらに逃げてきてただけですから」


「それなら、いままで通りリアの練習相手という名目で同行させてもらえますか?」


「殿下、何故身分をお隠しになるのですか?」


「ロバートさん、まだ敵の正体がつかめていません。

それに、今正体を明かせば政治利用されるでしょう。

そうなると敵を察知し難くなるんです。

今のままでしたら、僕に悪意を向けるものは少数ですが、正体を示せばそうはいかなくなるんです」


「確かに、その通りでございますな」


「僕の正体は、お二人が信頼されている方々にだけにしてください。

伯父上にはどのように知らせてあるのですか?」


「陛下には手がかりが見つかったとだけお伝えしております」


「直接会って驚かせたほうが面白そうですね。


「問題ありません。それと陛下を驚かす段取りもお任せください」


3人は大笑いした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ