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すっごく、苛々した。
すっごく、苦しかった。
すっごく、悲しかった。
駆け出した梅田の街は、沢山の人と笑顔と美しさと楽しさが、あちこちから溢れて湧き出てて、ボロボロ零れる涙を拭く事もしないで歩みを進める。
阪急百貨店のショーウインドーの中で、機械仕掛けの人形が笑ってて、沢山の子供たちが楽しそうに笑ってる。
何処までも何処までも歩き、大阪駅の近くで、初めて足を止めた。
小さなお店が並ぶ通路。
可愛い服や小物の店が並び、これを付ければ可愛くなれるよ、と声がする。
私には似合わない。
頭の中にいる自分が、それを黒く写す。
梅田という都会のど真ん中で、声を出して泣いた。
普段の私には絶対出来ないそれを、恥ずかしげも無く。
沢山の人が私を見ながら通り過ぎる。
それでも私は、泣き続けた。
今までのもやもやと苦しみと悲しみを吐き出すように。
どんなに努力をしても叶わない、美しさへの憧れを、どんなに願っても叶えられない、自分自身の変化を、諦める事への勇気を持つために。