津丹島2
「うう、ああ。わかってる!わかってて、わかってるけど。もうなんなの。
あ、そうよ!
"無敵のしおねえを破る力があれば、世界の理だって抗えるわ!"」
何か、いや空気が都に集まり、都はそれを纏う。
「は?」
「ふ、ふへ、ふへ、あはははははは」
纏う空気はどんどん多くなる。
狂ったように笑い続ける。
「ちょ、都⁈
あんた結界系でしょう!」
「だから?
結界でも攻撃できるのよ。」
詩織の手の周りに青い光がまとわりつく。それは空間と詩織の手首を縫い付けるものだった。当然のごとく手は動かず。都は少しづつ片手を上げていく。その間にも球体の青い光がとてつもない量詩織に向けられる。それら一つ一つは結界であることが容易に理解できる。
「ねえ、この結界なら。この、空間と結びつける結界なら、世界の介入する余地はない、そう思わない?」
「ムリね。あなたがこの世界にいる以上、どんな仕切りを作ろうが、世界の改革、世界の変化そのものである神々の伝説には紙切れひとつにもなり得ない。」
「っ!そんなこと言ってられるのは今のうちよ!」
手首の空間を結びつける結界が邪魔で保護結界を貼れないのだ。手は手首から近い影響で結界を貼りにくい。手首から先は詩織の結界では守れず、手には痣がみえる。痣は手首の方には見られず指や手の平などに目立つ。
結界と結界がぶつかる一瞬。詩織の保護結界に穴が開く。
辛うじで破れないだけで今にも保護結界が破れてしまいそうな状態だ。
貼り付けられた手ではとても魔語などかけない。縫い付けられた空間が手の自由を奪う。
結界の弾幕で見えなかった都の姿が見える。
ぼんやりと青白い光は弓の形になっており、はっきりとした強い青い光は矢の形で、それらはいつでも打てる状態になっている。
「Good bay月鈴詩織。」
矢が放たれる。矢の先端は空気を切り裂き煙を出している。詩織の目の前で保護結界が止めている。が、矢は結界を破る。結界はその波紋に合わせてゆっくりと消えていく。そして煙を発しながら詩織のお腹に突き刺さる。突き刺さった瞬間矢はお腹、いや、詩織の後ろの空間のみを切り裂いた。もともと両サイドの空間に存在していた詩織の体は切り裂かれた空間の分だけ離れたのだ。
「うふ、うふふふ。あははははは。
ざまあないわね月鈴詩織ちゃん?
きゃはははは!」