Ⅸ◆報告
お久しぶりです(●^o^●)
サブタイトルが相変わらず微妙です(汗)
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とくに治療するべき怪我も無く、体調も至って良好という事で、私たちはおじいさんの執務室に場所を変えることになった。
着替えを各々用意してもらって、それに手早く着替える。
本当は、風呂に入るなりして拭いきれなかった汚れを流してから改めて、って方がいいのだけれど、私の処遇含め早急に話し合う必要があるとの事だった。
ホント、すみません。
私が念のために足に包帯を巻いてもらってから、
医師たちの好奇の目に見送られて医務室を後にする。
ジークが私を再び抱き上げようとしたので必死に抵抗して、患者さん用のスリッパを借りた。
今更だけど、あの化け猫に落とされてからずっと裸足だったんだよね。
ジークに手を引かれて歩く廊下に敷かれているライトベージュのカーペットがとても高級そうで、汚したりしたらえらいことなので、喩えスリッパでも有難かった。
というか、底が木製の靴はまだ流石に痛いかなって思うし。
ジークがすごく心配そうな目で私を見るから、顔には出したくないんだ。
申し訳なくも歩調を合わせてもらい進んでいくと、重厚そうな扉の前に来た。
待ち構えていた兵士におじいさんが片手を上げて合図すると、さっと扉を開けてくれた。
そそくさと後に続くが、通り過ぎるときに兵士さんにぎょっとしたような目を向けられたような気がした。
フィルメスがご苦労様と声を掛けると、我に返ったように胸に拳を置いて礼をした。
カッコいいー
部屋は二十畳ほどで、扉正面の一番奥に紙の束や本がどっさり乗った机があり、その前にはローテーブルとソファーが向かい合わせに置かれていた。
おじいさんは私達をそこに誘導すると、向かいのソファーに腰を下ろした。
私は当事者とはいえ、二人に挟まれるように座らされ、なんとも居心地が悪い。
ソファーはふっかふかで体が沈んでしまい、格好がつかないのがまたなんとも…。
背が隣の二人よりもだいぶ低い、私より年下だろう少年がお茶を用意してくれ、彼がおじいさんの後ろに立ったまま控えると、ようやく会談?が始まった。
「おほん。お嬢さん、まずは自己紹介を。
わしはここ、カルディナ王国の宮廷魔術師団長タグザード・クロエと申す者じゃ。息つく間もなくすまんかったな。」
「いえっ、こちらこそご迷惑をお掛けします。
君沢雪です。よろしくお願い致します。」
やっぱり、おじいさんは魔術師長だった。こんな部屋まで与えられてるということは、師団長の肩書きはそれなりの地位を持つのだろう。
私は深々と頭を下げた。
別に、長いものに巻かれとこうとかそんな気持ちからではないですよ?
あくまで、年長者に対してのマナーです。
「そんなに畏まらなくても構わんよ。
雪殿、そなたにはいろいろと尋ねたいことがあるのじゃが、協力してくれるかの。」
「はい、もちろんです。」
身元を証明できるものを持たない今の私に、話を聞いてもらえる機会を設けて貰えていることがどれほど有難いことか理解しています。
「ただ、私自身が自分の身に何が起こったのか、ほとんど分かってなくて。」
取り敢えず、フィルメスが森であった出来事を説明してくれることに。
討伐任務そのものは、魔術師長サマもご存じだったみたい。
隊の中にも魔術師団から派遣された人が数人いたそうな。
―――わたしの出現で、魔物が跡形もなく消し飛んで(えー?)、周辺を包んだ光と土埃が収まり現状を確認しようと即座に動き出そうとしたときには、それまで負っていた傷は癒え、痛みも引いていた。
フィルメスの話は端的かつ分かりやすくて、なんだか報告書を読んでいるかのようだった。
ファンタジックな要素を多大に含んだそれを、わたしはどこか他人事みたいに感じながら聞いていた。
だのに
―――上空から眩い光の玉のようなものと共に落ちてきたのが美しい人型をしていると分かったとき、
天からの使いかと思いました―――
飲むでもなく両手で持っていたカップを危うく落とすかと思った。
すっとジークの手が伸びてきて事なきを得たけれど。ちょっと中身がジークの手にかかってしまったが、彼はピクリとも動じなかった。良かった。
それにしても、な、なにを言ってるんだ、この人。この場でいうこと?
あ゛ぁ、柔らかな笑顔で身体ごとこちらに向けてそんなこと言われても…
口の端がひくつくばかりだ。せめて心の中に留めておいてほしかったよ。
魔術師長サマは顎に手を当てて黙考しているようで、今のフィルメスの発言についてはノーリアクション、ノーコメント。
お茶を持ってきてくれた少年はずっと無表情でこちらを見ているし…
…なんだかアウェイな気分です。
膝の上に置かれた雪の手を、ジークは離していません。
本人はちょっと動揺してるので、気づいていないようですが。




