第64話 デザイン優先の1ミリも機能性がない汚物が出来ても困るでしょ?
「という訳でして。建築ギルド長であるハイラルさんにご相談したいなと」
「うんうん、それが遠近法だよ。システィちゃんは本当に筋がいいねぇ! 末は絵画の大先生かなぁ!」
「聞いてます???」
朝食の場で孤児院の隣に立つ教会についての相談を受け、賢い俺は考えた。そんなん本職に丸投げするべきじゃん、と。餅は餅屋というし、暇さえあれば妹に絵画の指導をしにくる本職建築ギルドの長が居るんだからそっちに相談するのが筋だろ。
という訳でハイラルさんが孤児院にやってきたタイミングで相談をしてみたのだが。
「そう言われてもねぇ。建築物は現場の環境に合わせて、その前提で建築家の美意識を組み合わせて作成するものだからね。素人から『これこれこーいうデザインで!』とか言われたら担当の親方も困ると思うよ?」
「あ、この街だとそうなんですね」
「うん。実際に作ってみてデザイン優先の1ミリも機能性がない汚物が出来ても困るでしょ? 三日で崩れる塔とか人が渡れない渡り廊下とか」
ハイラルさんの言葉に思わず頷きを返す。それは間違いない。渡れない渡り廊下の存在意義ってなんだよ。廊下ですらないじゃないか。
「とはいえ施工主の要望を完全に聞かないわけでもなくてね。例えばこういう部屋が欲しいとか、部屋の数とかさ。そういう点は計画段階で伝えてくれれば考慮できるんだよ。どうしてもスペースが足りないって場合もあるけど」
「なるほど」
完全に施工者任せって訳でもないわけだ。少し考えてみるか。専門知識がない俺やレンツェル神父では大雑把な内装くらいの相談は出来ても、建物自体の外観なんかはそもそもどう伝えて良いかも分からない。ここが問題だ。ただ、どうせ作るなら豪勢なものにしてもらいたい。これは俺とレンツェル神父双方の意見である。
この豪勢ってのが中々曲者だ。俺としては前世で旅行番組なんかで見た西洋の教会みたいなのが良いんだが、それを口で伝えるのは難しいし絵で伝えるのも難しい。流石に古い記憶過ぎて大まかな外観しか覚えてないんだよな。
写真なんかがあれば一発で「こういうのを作りたい」って伝えられるんだが。そこまで考えて、夢想具現スキルが頭を過る。コンビニに置かれてる雑誌でそれっぽい建物が乗っていたらそれを創り出せば一発で解決するんだが、雑誌とかは誰にも見せた事が無いんだよな。そういうのが作れるってのはあんまり外に広めたくないのが本音だ。
ただ、ハイラルさん自身はかなり信頼できる人だと思ってるから少し悩むんだ。この人、レイラさんとのやり取りみたいに欲望に率直な所が見て取れるけど、だからこそ自分の欲望を満たしてくれる人間には鷹揚で懐が深いのが分かるんだよな。芸術家肌っていうかね。
今のところ、レンツェル神父やザンムたち以外には俺の夢想具現は美味しいラーメンを作るスキルだと思われてる。それが雑誌とかまで作れるとなったら、他にも出来るんじゃ? と疑われる元になるかもしれない。ロゼッタくらい長い付き合いの相手なら兎も角、ハイラルさんは流石にまだそこまでの付き合いとは言えないからね。
さて、どうしようか。うんうんと唸っていると、様子を見に来たレンツェル神父が顔をのぞかせたのを見て、一つ名案が頭に浮かびあがった。
そうだよ。別に俺が出したって事にしなけりゃ良いんだ。
「こちら、神父様がかの名高き『一の勇者』から預かった異界の書物になります。そうですよね、レンツェル神父様?」
「ウン、ソーダヨ」
「おお! なんと、まるで本物が本に閉じ込められたかのような光沢! かの魔王戦役の時代の書物であれば劣化していてもおかしくないのに、まるで新品のように汚れもない! まるで磨き上げた鏡のような手触りの紙といい、正に異界の品物!!?」
ちょっと席を外してレンツェル神父とお話しした後、一先ずそう言う事として口裏を合わせた後。ハイラルさんに旅行雑誌を渡してこれこれこーいう教会を建てたい旨を説明する。
外観だけだが、その外観を説明するのが一番難しかったんだ。ここから先はこの外観に合わせた内装を、と伝えるだけで後はプロがやってくれる筈。
「ううぅむ、凄い……流石は百の勇者の一人、このような貴重な書物を惜しげもなく貸し出していただけるとは」
「あ、流石に貴重な物なので保管は孤児院でやります」
「そんな殺生な!!?」
「見たい時はここに見に来てください。それだけの価値はある書物だとお分かりですよね?」
俺が念を押すようにそう言うと、ハイラルさんは不承不承という感じで頷いた。本当は持っていかれて変なボロが出ないかが怖いからなんだが、この世界はそもそも書物自体が高価だから俺の適当なホラをハイラルさんは信じてくれたみたいだ。
そのまま「この写しげふんげふん。写本の建物をモデルにしたいです」と伝えると、ハイラルさんはさらさらっとその写本を超絶綺麗な絵で書き写していった。早速それを元に建築家と相談してくれるそうだ。
一度決まるととんとん拍子で物事進むなぁ。やっぱりトップに話を通すのが一番手っ取り早い。ただ、これ多用するとその下の方からの反発がえげつなくなるから注意が必要だけどね。
タロゥ(7歳・普人種男)
生力28 (28.0)
信力99 (99.9)ー
知力28 (27.0)
腕力34 (34.0)
速さ28 (28.0)
器用29 (29.0)
魅力28 (28.0)
幸運19 (19.0)
体力31 (31.0)
技能
市民 レベル3 (100/100)ー
商人 レベル3 (82/100)UP
狩人 レベル3 (100/100)ー
調理師 レベル3 (100/100)ー
地図士 レベル2 (60/100)
薬師 レベル2 (21/100)
我流剣士 レベル3 (46/100)
木こり レベル2 (45/100)
楽士 レベル2 (46/100)
教師 レベル1 (83/100)
パチン・コ流戦闘術 レベル3 (45/100)
テイマー レベル0 (40/100)
絵師 レベル2 (45/100)
語り部(紙芝居) レベル4 (43/100)
スキル
夢想具現 レベル2 (93/100)UP
直感 レベル2 (79/100)
格闘術 レベル2 (11/100)
剣術 レベル3 (100/100)―
弓術 レベル2 (63/100)
小剣術 レベル2 (63/100)
暗器術 レベル2 (63/100)
斧術 レベル1 (51/100)
フォークダンス レベル5(35/100)
フォークマスター レベル0 (35/100)
念話 レベル0 (40/100)




