クラスメイト
「ママー。来てー。どうしよう」
小学校一年生の一学期の終業式が終わり、リビングにいた娘のアマネに呼ばれた。
キッチンから向かうと、ランドセルの中身が散らかった床で一枚の色紙を手にしたアマネが不思議そうに首をかしげていた。
「これ、わたしのじゃないよ。だれかに返さなきゃいけないよね…。」
アマネが渡してきた色紙は、転校してゆくクラスメイトへ書かれた寄せ書きだった。
もちろんアマネが転校するわけではない。帰ってランドセルを開けたら中に入っていたらしい。
「これが本当にランドセルに入ってたの?」
「うん。わたしが入れたんじゃないよ。うそじゃないよ」
「ごめんね。アマネを疑ったんじゃないの。もちろん信じてるからね。大丈夫よ」
「…だいじょうぶなの?」
「大丈夫よ。これはママが返しておいてあげるね」
「わかった。ママありがとう」
キキョウちゃんへ
●●小学校5年2組
――ちがう学校に行っても元気でね☆☆また遊ぼうね!
網野しおり
「キキョウちゃん」は、私「網野しおり」のクラスメイトだ。
彼女は一学期の終業式の帰り道で事故に巻き込まれて転校することが出来なかった。
これは誰に返せばいいのだろうか。
キキョウちゃんはもういないのに。




