表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夜夜一夜(よながよっぴて)~奇の断片~  作者: 夏の月 すいか


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
20/21

地蔵が見せた夢と母

 幼稚園の頃のことだから、それは僕が見た夢だったのかもしれない。

 でも…。


 家族で行った地元の小さな遊園地の隅に地蔵が3つ並んでいた。

 地蔵堂のようなものはなく、剥き出しの地蔵が3体いた。

 3体とも頭に帽子や布を被っていて、遊園地の客か管理者が日除けのために被せたのだろうと父が言った。

 さあ地蔵よりアトラクションに乗ろう、と父と母が歩き始めた後ろで僕は地蔵の頭に被っていた帽子や布をいたずら心で外した。


 その晩に夢を見た。

 夢の中で僕と父と母は地蔵になって並んで立っていた。

 暑い日差しの中で苦しかった。

 母が僕の方を見下ろし、にこにこしていた。

 父の顔は見えなかった。


 夜中に目が覚めた僕は汗をかいていた。

 怖くて不安になり、隣の布団で寝ている母の方を向いた。

 布団に母はいなかった。

 代わりに、布団の上には地蔵が一体立っていた。

 奥の父の布団の上までは暗くて見えなかったが、同じように地蔵が布団に乗っていたような気がする。

 少なくとも母の布団に乗った地蔵は僕の方を向いて立っていた。


 僕は地蔵と目が合わないように、すぐに目を逸らして布団を被った。

 そのあとは怖くて眠れなかったような気がしたが、すぐに朝になったので結局すぐに眠ってしまったのだと思う。

 朝起きたときには母の布団に母はいなかったが、地蔵もいなかった。

 母がいないのは、毎日僕より早く起きて朝食を作っているのでいつものことだった。父は僕が起きる頃には会社に行っている。

 

 テーブルにいつものような朝食は無かった。

 焼いてない食パンといちごジャムが置いてあるだけだった。

 父のお弁当は作らなかったのだろうか。

 母は椅子に座ってにこにこしていた。

 

 いつも幼稚園バスの見送りに一緒に家を出る母がその日は見送りに来てくれなかった。

 見送りに来てくれなかったのは後にも先にもその日だけだったから、その日の朝のことはよく憶えている。



 ただそれだけの話。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ