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黄昏の神女と執行者  作者: 神木 蒼空
第1幕 少女と記憶を失った剣士
43/49

6章―6 圧倒的強さ

 弾かれた短剣は宙を弧を描くように飛んでいき、地面に落ちた衝撃音がこの空間に響く。

 黒外套の男はその瞬間に後方へ飛び退(すさ)る。その額には冷や汗が見て取れる。男は短剣が弾かれる直前に手を引いていたために、手首から切断されるところを短剣が弾かれただけで済んでいた。

 ソルファとキレナは二人の少女を背にして外套の二人と対峙する。

 それも束の間、ソルファは男へ、キレナは女へとそれぞれ襲いかかるように距離をつめる。

 時間切れを悔やむように舌打ちをした黒外套の男は、キッと双眸を見開いた。


「冥府より再来せよ 【屍腐活祭(コープスパレード)】」


 男の素早い詠唱により地面から這い出でるように、人型をとる異臭を放つ物体が幾つも表れた。それによりソルファとキレナは行く手を阻まれる。

 ソルファは柄に手をかけていた剣を抜き出し、一閃。

 目にも留まらぬいく筋もの斬撃が乱舞し、異形の物体を斬り裂く。その間隙。薙ぎ払うように烈風が蹂躙する。ソルファの剣の刀身とキレナの槍には燃え盛る焔の如く、神素が迸る。

 剣で捉えきれず懐へ入られたやつには蹴りをくらわせ、あとに続くやつらを巻き込む。

 圧巻の光景にフィーナとセラは息をするのも忘れてその光景に見とれていた。これほどに圧倒的な強さ。なかなか観られるものではない。屍ゆえいくら体が脆いといってもこんなにも簡単に斬り伏せられるものではない。ソルファとキレナの莫大な神素が為せる破壊力ゆえである。

 押し負けていると思った外套の女は隙を伺ってキレナへと仕掛けた。槍を持つ彼女はリーチが長い分、至近距離にはすぐに対応出来ないと踏んでの行動。

 屍どもとの攻防の隙。そこへ入り込むよう一気に距離を詰めた。待ってましたと言うようにキレナは目線を女へ向けた。隙をついたと思っていたのは勘違いで、キレナ自身が意図的に作った隙だった。

 キレナの視線を見て直観的に危険だと悟ったがスピードは急には殺せない。

 間一髪のところで回避をする。しかし、外套の強固なはずの繊維をものともせず、皮膚を直接裂いた。

 後退を余儀なくされた女は血にまみれた腕を庇うように跳躍する。

 好機を逃すまいとキレナもまた跳躍するが、突如空間が闇に満ちた。相手が見えないのではどうしようもないと一度着地をする。

 四方八方どの方向から攻撃されても反応できるように気をめぐらせ注意を払いながら、闇をはらう神光術を発動する。


 開けた視界にはもう敵の姿はなくなっていた。屍も溶けるように地面へ消えていく。

 残されたのはソルファとキレナ、後ろで二人の戦いを見ていた少女二人だけ。

 

「お嬢様、遅れてしまってすみません」


 ひとまず落ち着いたことを確認してフィーナたちへと振り返る。そこには頼もしい二人の姿を見て安心しきった顔があった。


「セラごめんなさい。今までのことも今回のことも」


 間に合ったことによる歓喜からか、涙を目じりに浮かべたキレナは両手を広げてセラへほほ笑みかける。

 そこに少し恥ずかしそうに躊躇いながらもセラは飛び込み、キレナの胸へ顔を埋める。


「……怖かった……何されるかも、わからなく、て」


 普段見てきたセラからは考えられない姿にフィーナとソルファは思わず口を綻ばす。

 フィーナもそっとソルファへ視線を向ける。


「どうしたのですか?」


「な、なんでもないわ!」


 頬を赤らめてそっぽを向くフィーナ。ソルファはその動作に首を傾げる。


「すみません。間に合ったことは俺も大変喜ばしい事なのですが、まだやらなければあります」


 安堵した表情から一転、先程の戦闘時と同じようにソルファとキレナは真剣な顔付きになる。


「逃げた二人の外套とあの二人に連れされたのであろう生徒たちですね」

「ええ。何を施されたかはわかりませんが、急がなくてはならない可能性もあります。俺は二人を追いますのでキレナ様は生徒たちを!」

「分かりました。必ず探し出しますのでソルファ先生も必ず帰ってきてください」


 その言葉を合図にソルファは壁をすり抜け、あらん限りの速さで追跡を開始した。

 


読んで下さりありがとうございます!

戦闘描写を少し頑張ってみましたが如何せん、語彙力か足りず拙い文章となってしまいました…

少しずつでも語彙力を上げていかなければですね!

ひとまず第1幕を終えましたら改稿作業に移りますので、そこで進化した文章にしたい!

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