論争
それは、あるマスコミの論争から始まった。
あの空中要塞
そしてアポストールとは一体なんであったのか、と
当時は皆、異世界からの侵略者「神聖ヴェルガル帝国」と
それを打ち滅ぼし世界を救った救世主「アポストール」
そんな構図を頭の中に思い描いていた。
だが戦いが終わり
復興も少しずつではあるが目に見えて進み始め
余裕を持ち始めると考えは変わるものである。
あれはどこかの国が開発した軍事兵器ではなかったか?
あの国が怪しい
いやあの国ではないのか
そもそも、世界中の軍隊が手も足も出なかった相手を
剣一本で壊滅させることが果たして可能なのか?
あれはどこかの国の自作自演ではなかったか?
自分達が開発した兵器の性能をテストするための
世界征服のリハーサルではなかったか?
だがあれが実際に異世界からの侵略者だと仮定して
それをいとも簡単に壊滅させた
アポストールの力は危険ではないのか?
世界中の軍隊を相手に優位にあった敵を
一人で壊滅させたあの力が
もし今の世界に向けられたとき
誰がそれをとめることが出来るのか
あれは危険だ
人々の脳裏にあるアポストールの像が
「救世主」から「恐怖の対象」へと変わっていった。
すぐに正体を突き止め
然るべき組織の施設で、監察下におくのが相応しい。
そして世界中の国がアポストールの正体を求め
静かに動き出した
アポストールのいう鎧を纏い戦った彼も・・・
そして人々の救世主に対する畏敬の念も・・・
静かに闇の中へと消えていった・・・