第7話 疑惑
「聞け、お前ら」
「ほーい」
「うい」
「制汗スプレー取って」
「ほれ」
「ありがと」
「知っての通り、我が三条院女学院は創立110年を超える伝統校。これまで各界に優秀な人材を輩出してきた」
「へー」
「ほー」
「という設定だな」
「事実だよ! 続けるぞ」
「りょ。でも巻きで頼む」
「だが最近、三条院を良からぬ目で見る輩が増えている。これを見ろ!」
「え? なになに……。三条院 制服ダサい」
「三条院 ブサイク」
「三条院 彼氏なし」
「三条院 ですわ」
「三条院 ざます」
「……サジェストがひどい」
「でも大体合ってる」
「ざますは使わないざます」
「あと……三条院 百合」
「三条院 GL」
「ん? GLって何だ?」
「ゴルフ・ラブだろ」
「私、やったことない」
「パパンと打ちっぱなしに行ったことある。3スイングに1回は当たる」
「どヘタクソ」
「ゴルフ・ラブじゃない、ガールズ・ラブだ! つまり、私たちが外部から百合百合していると思われてるわけ」
「……それはない」
「何が悲しくてブサイクどもとラブせにゃならんのだ」
「黙れ、ブサイク」
「アタシにもスプレー貸して」
「ほいよ」
「サンキュー」
「私もそう思う……。だが、普段の自分を省みろ」
「……ん?」
「まずお前、なぜクラスメイトを膝抱っこしている?」
「グミ食べさせてた」
「お腹減った。もっと」
「距離が近すぎる」
「次、お前ら。何で手を繋いでいる?」
「隣にある手が寂しそうだったから」
「寂しかった……」
「次! 誰彼構わず、水筒やペットボトルを回し飲みするな!」
「喉乾いた」
「それ、間接チュウだろ!」
「小学部の頃からずっとだぞ」
「はっ?!」
「どうした?」
「知らない間に、私の間接初チュウが奪われてた……」
「まあ……破廉恥」
「すみません……って、お前にだぁ!」
「いや、私かもしれないけど、クラスの他のヤツかもしれないだろ」
「違う……。××が一番最初だもん」
「ごめん」
「謝らなくていい。責任取って」
「わかった。付き合おう」
「……うん」
「それだよ! GLは!」
「これがゴルフ・ラブか。早速ドライバーを買いに行こう」
「わかった。パターはいいの?」
「ゴルフから離れろ!」
「えー」
「てか、間接チュウくらいで責任取るな」
「ネタに乗っかっただけだよ」
「そんなのわかってるよ。でも、傍から見ると本気に見えるんだろ」
「これくらい女子なら、どこの学校でも普通でしょ」
「普通じゃない」
「そうなのか?」
「ああ」
「お互いの髪をとかしたりは?」
「滅多にしない」
「お熱の確認は?」
「おでこをくっつけるの? やらない」
「ハグはするだろ?」
「文化祭や体育祭で盛り上がったときくらいらしい」
「他校のヤツら、メンタル強すぎだろ」
「お前らが弱すぎ!」
「お前もな」
「それは否定できない……。だが、三条院のイメージアップのため、明日から全面禁止!」
「ちょっと待て! 私はいいけど、こいつら泣くだろ。せめて猶予を一カ月くらいは」
「長い」
「じゃ、じゃあ一週間で」
「明日から」
「お、OK! ドーンと来いや。ははは」
「…………」
「…………」
「…………やだ」
「ん?」
「私もいやぁあああ!」
「百合でもGLでも何でもいい! 今のままでいさせでぇええええ!」
「○○の意地悪ぅうううう!」
「私だって平気じゃない……。でも、皆や三条院のことバカされたくないぃいい」
「嫌な役させてごめ”んん」
「私こそごめんねぇええええ!」
「ふだりとも悪ぐないぃいいいい」
「ぐすっ」
「こほん。遺憾だが本案は撤回する。ただし……」
「ただし?」
「チュウは禁止」
「……え?」
お越しいただき誠にありがとうございます。
お時間がございましたら「ブックマーク」「いいね」「評価」「誤字修正」「感想」「ご意見」など頂けましたら幸いです。




