第5話 ㊙パ〇チラ防止!
「スカートって、ガチの強風が来たら負けるじゃん」
「だな……」
「だから、私は考えた」
「何を?」
「お気に入りのスカートの端に、20gの重しを20個つける魔改造をした」
「ってことは400gか。なんか腰が疲れそう」
「そうなの、しかも歩くと重しがガンガン足に当たって痛い」
「青あざができそうだな」
「そのうえ、400gでも強風に負けた」
「大自然の前には無力だったか」
「くやしーー! この~地球め~!」
「戦う相手のスケールがデカすぎる。諦めろ」
「大人しくパンチラを受け入れろというの? 屈っせぬぞぉおお!」
「そこまでは言ってない。風の強い日はズボンでいいだろ」
「ダメ! 女子として生まれた以上、スカートで勝負したいの!」
「だからお前は誰と戦おうとしてる?」
「声には出さないけど、こっそり私のことをかわいいと思って見てる誰かさん」
「いるかどうかわからん人のために頑張るな!」
「それに、普段から小さな努力は大切だぞ☆」
「急に正論を言うな。じゃあ金輪際、ズボンは履かないと?」
「お腹が痛い日は履くよ。冷えたら困るし」
「スカートへのこだわりはどこに行った?」
「こだわってるよ! でも、白花《他校》のスカートって、どうしてあんなに短いの?」
「最近の流行りはそうでもない。ミニはかわいいけど、お前の言う通り、強風だと危ないし」
「じゃあ、三条院のスカートはどうしてこんなに長いの?」
「そりゃ、校則で定められた長さの基準が70年くらい変わってないから」
「シーラカンスかぁああ!」
「ん?」
「生きた化石ってことだよ」
「そう言えなくもないな。ウチは伝統を重んじる。変わらないことで、淑女としての品位を守るんだ」
「守れてる? 今朝のクラスの子たちの挨拶、聞いたでしょ。『おはおっぱい』」
「……小学生か」
「幼児舎から10年以上も『ごきげんよう』を言い続けたから、飽きたんだって」
「だからって『おはおっぱい』にはならんだろ」
「そうだよねぇ。『おはおっぱい』は男子相手には使いづらいし」
「使うことを想定するな。まぁ戻るだろ。私は『ごきげんよう』のほうが好き」
「どうして?」
「『ごきげんよう』には、相手を思いやる気持ちが含まれてる。いいじゃん、そういうの」
「ふ~ん……そうだね、ふふふ」
「わかってくれた?」
「でも、『おはおっぱい』にも、『ブラきつくない? 大丈夫?』っていう気遣いが含まれてるよ」
「ないだろ! 要らぬお世話だよ、それ!」
「ううん、と~っても心配してるよ。今、きついでしょ?」
「ちょ?! な、何でわかるんだよ!?」
「10年以上一緒にいるから、××のことは何でもわかるよ」
「私はお前のこと、全然わからないのに……」
「いつかわかるようになるよ。ずっと一緒なんだから」
「おっ? ……おう」
「あ~、照れてる。かわいい」
「ちげーよ」
「そろそろ帰ろ。今日もスカートを魔改造するぞぉ!」
「もう諦めろよ。……って、ん?」
「どうかした?」
「今、誰かが私らの話を聞いてる気がした」
「誰もいないよ?」
「……だよな。まぁ、こんな小話を聞いても困るだろうし」
「そうだね。……では、ごきげんよう」
「ごきげんよう。って、お、おい、手を引っ張るなって!」
「や~だ。離さない」
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