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「ふっざけっるなーーーーっ!」


撲殺単于はリズミカルに叫ぶとドンドンと輿の上で足踏みし、奴婢が一人力尽きて倒れ込み、後続の者はそれを踏み砕いて進み、すぐに臣は奴婢を補充する


奴婢兵は幾ら死んでも良いが弓兵は困る、幼い時より修練を積み其(そ)の激烈なる事は体が歪み腕と指が変形している事に現れている、その狙いは百発百中、飛ばせば800百メートルも飛ばすことが出来た、このユニットは高価である、容易に補充が効かぬのである、それが次々と打ち倒されている、奴等の投石兵もバタバタ倒れているが人だけは幾らでもいるカヤバンダの事、あれも廉価品に違いない


「これでは赤字ではないかーッ!」


撲殺単于は絶叫する、臣ポレンタがぼそりと呟く


「山に陣を張っている相手に正面から突っ込むから」


撲殺単于は懐より抜く手も見せずに手裏剣を打つと其(そ)れは臣ポレンタの頭にぶっ刺さり、体はバッタンと後ろに倒れる


撲殺単于は周囲をぐるりと睥睨して


「貴様らア、恥ずかしくないのかあ、あんな安物に我が精兵を倒されて!」

「キングモアチョイ!」


臣キングモアチョイが進み出て恭しく拱手する


「あの藁人形どもを根絶やしにしろんッ!」


「SER!、YES!、SER!」、とキングモアチョイは絶叫し馬に飛び乗りかけていく、その頃ポッピペチョは後ろに下げた精鋭投石兵に前進を命じた


精鋭投石兵は棍棒を持って進み、雨あられと矢の降りしきる近衛投石兵の間を射貫かれ、また射貫かれしながら走り下り、疎らに残った奴婢兵と盾兵と投石兵の乱闘の間に押し寄せていって、奴婢兵を囲んで殴り殺し、殴り殺し、落ちている投げ槍を拾って投げつけて投げつけて、その尽くを殺しあるいは追い立てて、足を血に濡らしながら、何人かは滑って転び


石の山に取りつき囲み、投石紐を回して弓兵に向かい石を放ち始めた、鉛弾の軌道に拳大の石弾の軌道は混じり、腕を打ち指を打ち足を打ち弓を打って、弓兵に血の赤の滲む者さらに増えていき


その後ろを騎士の大集団の威容は左に向かって進み、キングモアチョイの率いるそれは密集隊形を成してフワトロ山の西方、カヤバンダ軍から見て左側面に遷移した


ポッピペチョは長柄槍兵と長棍棒兵からなる3万、サスマタ兵からなる1万を左側面に展開する、騎士の大群は徐々に速度を上げながら前進する、しかし斜面である、山は馬より強い、いまいち速度が出ないまま、騎士はゆるゆると上っていき、長柄槍兵と長棍棒兵はその長大な槍先を並べ突き出して槍衾を成して、片足を出してもう片方の足で石突を踏みおさえ


騎士は騎槍(ランス)を水平に下し、それは次々と水平に下されて、人馬と甲冑と馬甲の1トンを優に超える重量が速足で進むほどの速さで槍衾の中に突っ込んでいく、黒曜石の穂先は馬甲に弾かれて、柄は大きく撓り跳ね除けられ長棍棒には穂先が無くただぶち当たるばかりで跳ね除けられ、黒曜石の穂先は馬甲の隙間に突き刺さり深くまで沈んでいき馬はいななき、前に動き倒れ柄は折れ木屑は散り


槍衾を押し除けて跳ね除けて、馬の巨体は崩れ落ち撓う長柄槍の柄に兵は弾かれてよろめいて周囲の兵に背より押し込んで隊列は乱れ、騎槍(ランス)は人体を易々と貫いて根元より折れ跳ね飛んで、人体は分かれ肉より離れたる背骨は絡むようにして湾曲し地べたに落ち跳ねて、刺し貫かれたる馬は急激に力を失いて血を迸らせながら右へと横倒しに倒れていき


背の騎士は両手を大きく振り回しながら横倒しに地面へ叩きつけられ何かを叫びながら跳ねるようにして上体を動かすも足は馬の下に動かない、騎槍(ランス)の突端は撓う長棍棒の横に大きく逸れるを横目に突き進み喉を貫いて頭は胴と分かれ穂先に乗って水平に後ろへと両側の皮は長く伸び未だ胴とつながって血潮に噴かれながら


3列より成る長柄槍と長棍棒の戦列は次々と崩れ騎士の大集団は次々とこれを突き抜けて、しかし其(そ)の前方には十重(とえ)二十重(はたえ)にも槍衾は立ち塞がり、ポッピペチョはさらに1万の長柄槍兵と長棍棒兵を左方へ展開させ、近衛投石兵を左側面に展開したる戦列のさらに左側より迂回させ騎士を正面左方に捉える位置まで前進させ、この少し前には各種の兵より集めた鉛弾を補充させている

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