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まえにいっぽ‐8‐
手痛い苦しみのみを何度も飲んできた。今度もまた苦しみを乗り切れる保障はどこにもないのだ。鏡太郎は自分自身に心の中で問うた。
(俺は椛に何を求めてるんだ? 最高の結末は? そして最悪は?)
鏡太郎の中にある躊躇いは大きい。これが道端で出会った時の、小さな手助け程度であったならば、まよいはなかったはずだ。あの夜、ゲロを吐き苦しんでいた椛にハンカチを貸したようにだ。しかし今度は違う。違うのだ。鏡太郎は、『何』、に介入しようとしているのかわからなかった。椛の生活を悪趣味に気にしている。心配だから、といった理由付けは無意味だ。
──しかし。




