前へ目次 次へ 58/94 まえにいっぽ‐6‐ 「偶然です。偶然しれたことなんですよね、この情報は」 「……椛さんが、どうかしたのですか?」 「気になりませんか?」 「そんなことを訊いてどうするつもりです」 「別に」 瞬間。凍りついた空気が肌を刺す。何事か。小雪の目が細く、見つめていた。その目は切り裂かれた現実であり、深淵よりの深い夜が覗けた。 「ただ私は、これが分水嶺だと考えたのです。あなたが見つめざるをえないものとの向き合いを決める、最後の好機かもしれない、とです」 「大きなお世話というものですよ」