57/94
まえにいっぽ‐5‐
「私はあなたが好きです」
「……はい」
「でも鏡太郎くんが、他の人を避けている──いえ、苦手としていることも知っているつもりです」
「それは」
「否定させませんよ」
薄笑の小雪とは逆に、鏡太郎の顔は引きつった。よく見られていた。そして勿論、鏡太郎は小雪の確信的予想を否定できず、もしするのならば、それは嘘だ。
「そんな人間嫌いの鏡太郎くんが、あろうことか人間を家に招いたとなれば一大事でしょう」
「ちょっと待ってください。小雪さん、どうして知ってるんですか」
「ふふふ。……椛さんと言うのですよね?」
「!」
読心術でも使われたのか。そう錯覚してしまうほど、小雪の出す情報は正確だった。




