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わからないきずかない‐15‐
「もし──」
椛が布団を抜け出すのを感じた。鏡太郎は起き上がった。明かりを許さない夜だ。しかし夜の中で動く影は見えた。鏡太郎に纏わりついた狼の群れが引く。
「──この身で頼れることがあれば頼ってください」
「鏡太郎……本当に?」
「変なことじゃなければだが」
「うん。その変なことについてどんな線引きか、ちょっと論議しようじゃないか、鏡太郎くん」
「しないよ、そんなこと、わざわざ」
「童貞でもないだろ。何を恥ずかしがってんだ」
「椛さんは……距離の詰め方がエグすぎる」
「そうだろうか?」
「絶対そうだよ」
「イイじゃないか。お互いに大人なんだ。のんびりと関係を育ててちゃ、時間が足らなすぎる」
「そんなこと……」
「鏡太郎くん。あるんだよ」




