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またたきのあいだ‐14‐
椛と別れてドアにチェーンロックをかけた。電話番号を聞いておくべきだったかな? と下心とともに返してもらったハンカチを握る。あたりまえのことではあるが、すでに椛の手の熱は冷め切っていた。しかし鏡太郎は確かに、温かさを感じだ。
ふと、鏡太郎は椛の姿を思い起こした。狼の群れが足であるのは相変わらずで目についたが……服が、昨夜と同じスーツ姿だった。酒の臭いはなかった。たぶん、替えのスーツだろう。昨夜は吐くほどに酒を飲んで、今日は朝から出勤であることがうかがえた。




