私の中に眠るもの⑧
まだいるよー。
もう一度確認したら電車の中に乗り込んでも、なかなか離れないその男は本当になんだか気味が悪い。
とりあえず駅員の近くが安全だろうという考えで、前の方に座ったのだけど……
なんだろう、逃げ場がなくなって逆に変な感じがする。
これが不安というものなのかな?
でもだからって本当に私が付けられているわけじゃないと思うから大丈夫かな?
まぁ、もしもの時はなんとかすればいいよねー。
その時に考えればいいっていうやつだ。
音楽プレイヤーで音楽を流しながらスマホをいじる。
おお、なんかこれって今の子みたい。
そんなアホなことを考えていると時間がたっていく。
そろそろ降りる駅に着くかなというところで視線をあの男が座っている場所に向けるけど、そこには誰もいない。
よかったー……
この時間なので改札員の人はいないので一番前の駅員さんに切符を渡して電車を降りる。
よし、自転車でさっさと帰ろう。
もう九時まわっちゃったなー。
そんな適当なことを考えていたときだった……
ぞわっとなんだか悪寒がした。
慌てて悪寒がした方を見るとそこには私をつけまわしていた男がいた。
え……
言葉もでないまま、私は自転車に乗って逃げようとするけど思いのほか自分の気が動転していて、上手くこぎだせない。
大丈夫。
そう自分に言い聞かせてなんとかペダルを踏み出した私はその場所を離れた。
流石にというか走ってでは自転車に追いつけるはずもなくて、私はその男を置いてきたけれど、本当になんだったんだろうか?
あれがストーカーというもの?
とりあえず気味悪い。
なんとかペダルを進めた私は家に帰った。
遅いなどと乃絵ちゃんに心配されたけれど、すぐに残っていたご飯などを乃絵ちゃんが温め直してくれてそれを食べる。
うう、優しい。
ちなみに戦利品は既に部屋の中に持ち込んでいる。
そのあとはいつも通りお風呂に入った。
頭を洗った後で後ろを向く。
誰もいないのになんだかホッとしてしまった。
もし、乃絵ちゃんとかにあの不審者のことを言ったら心配されるのかな?
って、私にそんな価値なんてないのに何考えてるんだろ。
私は誰かに心配される資格もないし、誰かに悩みを言う資格だってないんだから……
だから私はもっと一人で強くならないといけないよね。
あんな不審者なんかなんだー。
私の敵なんかじゃない。
それに変な時間に出歩かなければ出くわすこともないだろうし……
まぁ、俗に言うあれは虫よけスプレーをかけた状態で伝説のポケモンに出会うくらいの確立だと思うな。
だから心配するな私、今度は虫よけスプレーがないところというか人があんまりいないところには近づかないようにしよう。
それで、大丈夫だよ。
そう私は強気になって考えていた。




