第一章(4-2)
そんなことを考えている間に、いつの間にか神社の前にまで来ていた。
ふと神社の方を見ると、神坂が拝殿のところでお参りをしているのが目に入った。
なんとなくその姿がはかなそうで、気が付けば神社に自転車をとめて、彼女のもとに歩いて行っていた。
「よお」
神坂がお参りを終え、顔を上げたところに声をかけてみる。
「こんにちは、今日はどうしたの?」
突然声をかけたにも関わらず、別段おどろいた風もなく聞いてくる。
こういう、なんでもお見通しといった感じが彼女を近づきにくくするのだろうか。
「いや、特に用事はないんだけど、またお参りでもしようかと……」
実を言うと、まったくここに来た理由なんてまったくなかったのだが、とりあえず適当な理由を作って置いた。
「そう。自由にしていってね」
そう言って、神坂は奥の方に下がっていこうとする。
だが、俺はそれを認めることができなかった。
「あ、ちょっと!」
「……どうかしたの?」
まだいなくなって欲しくないと思い、勢いで引きとめてしまったが、何を言うかも考えていない。
言うべきことが思いつかずに、静かな間ができる。
いつまでもこの微妙な間を続かせるわけにもいかない。とりあえず、何かしら言わなければ……
どうすればいいかさっぱり分からないが、流れに任せてしまおう!!
「えと、その、あの……今度お茶でもどう?」
任せ過ぎた。なにもかも流れさんにお任せしたら、とんでもないのを出されてしまった。
やはり人任せにしてはいけないということか……
今後いっさいレストランとかで、店長おすすめのお任せメニューは注文しないようにしよう……
「遅かったね……けど、誘ってもらってよかったの?」
「あ、そちらさえよろしければ……」
「そう、ありがとう。今日は忙しいけど、また今度詳しい話をしてね」
「あ、ああ。また今度」
神坂は本当に急いでいるのかは分からないが、急ぎ足で奥の家に帰って行った。
けど、その表情はいつも無表情より少し嬉しそうに見えたのは気のせいだろうか?
よくわからないが、流れでいろいろしゃべったが、うまくいったようだ。
「流れさん、ありがとう……」
にしても、俺も意外と行動力あるな。別に同情や憐れみじゃあないが、なんとなく一人にしたくないと思った。
けど、遅いってなんだ?
確かに最初、神坂は遅かったと言った。小さい声だったが、確かに聞こえた。
言葉を切りだすまでが遅かったという意味だろうか?それとも、俺の誘いを待っていた?
いや、さすがに自意識過剰すぎるか……別に神坂とはそこまで親しかった覚えはない。
やっぱり女心はわからんな……これ以上考えても仕方ないな。
まあ、せっかくだしお参りでもして帰るか。ごまかすためと言え、お参りに来たって言ったわけだし。
俺はそのまま適当にお参りを済ませて、家に帰った。




