14/14
14 別れ、そして旅立ち
「ではな」
アウィンは再び家族に背を向けた。そして、歩き出す。
「アウィンさん! ありがとう! この街に来たら、また来てね! 絶対だよ!」
振り返るとマイカがぶんぶんと勢いよく手を振っているのが見えた。
マイカの母と姉は深々と頭を下げている。
マイカに向かってアウィンは頷いた。マイカの顔がパッと輝く。それを見届けてから、アウィンは今度こそ振り返らずに歩き出した。
隣にゼオの気配がした。
「なんだ?」
「ご隠居様、次はどちらへ?」
「さあな。またどこかで私を待っているものがあるだろう」
「はい。どこまでもお供いたします」
「今回もゼオには色々と世話になった。が、本当にいいのか? 俺はもう魔王ではないのだぞ? ただの一人の魔族だ」
「ご隠居様がどう思われようとも、私が仕えるのはただ一人でございます」
「そうか。好きにしろ」
「はっ」
アウィンが答えると、ゼオはまたどこか影に消えていった。だが、きっとどこまでもアウィンについてくることだろう。
「よし、行くか。どこまでも、な」
アウィンの見上げた人間界の空は、魔界のそれと変わらずすがすがしかった。




