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ドッグランは歩いていける距離なので、りくくんにリードをつないで散歩していった。
僕のアパートがある町は、静かな住宅地だけど、少し歩くと畑が広がっている。
畑の横の雑木林の中にドッグランはあった。
カフェも併設されているので、だいきにはそこにいてもらえばいいだろう。
「いらっしゃいませ……」
受付に近づくと、ボーダーコリーっぽい耳のお姉さんが挨拶をしてくれたが、だいきに気づいて固まってしまった。
事情を説明して、身分証を持っていないりくくんと、ハイエナ族のだいきの身元保証人としてサインをして、やっとこさ入れてもらえた。だいきの家族になったみたいで恥ずかしくて、手汗がすごいことになった。
だいきを併設されたカフェのほうに促してから、ロッカーで準備する。りくくんに先にドッグランに行っていていいよと言ったが、一緒がいいらしい。
更衣室兼ロッカーだ。荷物を預けて犬の姿になり、ドッグランに向かった。
広い芝生が広がっているだけで、だいきのみぞおちくらいの高さの柵で囲われている。
休日なのでそこそこ混んでいた。
小型犬や中型犬がほとんどで、大型犬はゴールデンレトリバーが一匹いるだけだった。
隣を見るとりくくんは端のほうから匂いを嗅ぎまわっている。目を合わせて少し合図をして、僕は走り出した。
それにしても広い。嬉しくなって久しぶりに全力疾走してみる。つられて走り出した数匹とそのままおいかけっこをして、挨拶をして、しばらく何もかも忘れて走り回った。
犬になると地面が近い。走るたびに足元から土と芝生の香りがする。
目の前で揺れるしっぽを夢中で追いかけながら、ぼーっとしてる犬の間をすり抜ける。ただそれだけなのに、やめられなかった。
しばらくするとだんだん体が重くなってきて僕はおいかけっこから離脱した。
トボトボと歩きながら、りくくんを探すと今度は同じ柴犬の匂いを嗅いでいた。
ドッグラン、喜んでたけど走りたいわけじゃなかったのかな。
水を飲んでいると頭上から声がかかった。
「おい、しゅん」
見上げるとだいきがいた。
すると周りにいた犬たちがあっという間に散っていった。
僕は苦笑いをしながらだいきに視線を戻した。
だいきはなにやらゴソゴソとビニール袋をあさっていた。
お、あれはもしや!
だいきが取り出したのは犬のおやつだった。
しっぽが勝手に揺れるのがわかった。
なんてタイミングだ。
だいきが棒状のそれを投げてよこしたので、空中でキャッチしようとしたが、失敗した。ちょっと恥ずかしいが気にせずパクつく。
りくくんも!と思って振り返って探すと、遠くのほうに座ってこちらをガン見していたが、おやつアピールしてもびくともしなかった。いらないらしい。
僕は三回目でやっと空中キャッチに成功した。
胸を張って自慢すると、だいきもなんかニヤニヤしていた。
他の犬たちも、おやつにつられてそろりそろりと近づいてきたが、だいきは追い返すように手を何度か振ると立ち去ってしまった。




