誕生日以来の
温室の天井、そこからガラス越しに見える空を見上げている。
背中から地面に激突した回数、7回。
顔面から行った回数、14回。
普通に吹っ飛ばされた回数、3回。
僕:「…………いや死ぬ!これは絶対やばい死ぬ!!ギブギブギブギブギブギブギブ…………」
セト:「正直驚きました。頑丈ですね。」
話聞け!
めっちゃ傷できてるし出血してるし、頭ガンガンして今にも気絶しそうなんですが!?
これで頑丈って、あぁぁぁああああああああ、チィガぁあああ〜〜〜…………
やばいやばい、まじでやばい。
ここまでされるとは思ってなかった。
だってあんな容赦なく一本背負みたいにされて、地面に…………
セト:「流石に限界ですか。」
こいつ…………やべぇ…………
視界が白く塗りつぶされ、意識が遠のいていく感覚がした。
火事の時と同じ様に、いつの間にか…………
<それから>
僕:「…………………………ン?」
目が覚めると白い天井。
ぼんやりとした意識が徐々に徐々に戻ってくる。
…………………………あ〜〜〜、えっと…………
とりあえずクズ男は絶対今度殴る。
こんなにボロッボロにされたのはゼオくんやアルシエラくんにいいように弄ばれた時以来だぜ。
この世界の住人は加減ってもんを知らん。
もう全身ズタボ…………
治ってる。
完全にではないけど治ってる!
これも魔術?すげぇ!
凄いけどなんか複雑!
なんかこう、怪我したけど治ってるからいいやとはならないんだよねって…………
服も着替えさせられてる、白い服。
ここは…………何処?
つい最近まで監視付きで押し込められてた小部屋に似てるけど…………
僕:「そういえば子供召使服のまま指導(?)されたけど、いいのかな。」
セト:「うっかりしていました。」
僕:「………………」
怖すぎて声が出なかったよ。
いつからいた?ていうか何処にいる?
前?右?左?後ろ?何処だ何処だ…………どっから話しかけて……
セト:「服は新しいのを用意してもらいますので、ご心配なく。」
いや出てこいよ!
僕:「あのー、何処から話かけているんですか?」
セト:「怪我も大分治っている様ですね。」
無視しやがったぞコイツ。
敬語でもあの公爵に引けをとらねぇ厚かましさだ。
えぇ、ほんとに怖い、超怖い。
僕:「怪我が治ってるのって、これも魔術ですか?」
セト:「ええそうです。では私はこれで失礼します。食事はカルネさんに聞いてください。」
とんでもねぇ奴が先生になってしまった。
難聴?それとも聞こえてないふりか?
質問にまるで答えずに言いたいことだけ言って去っていった。
ある意味公爵よりもヤバいのでは…………
僕:「…………ここ何処!?」
場所ぐらい行ってから立ち去ってよぉおお!!
ここからどうするんだよぉ!
<さらにそれから>
まずは扉から出る。
「カルネさ〜ん、アルシエラく、あ、いや……坊っちゃま〜…………誰か〜〜」
部屋で待ち続けてからだいぶ時間が経った。
体感1時間ぐらい。
流石にもう待てないよ、夕飯の時間だし。
暗いし怖い、この屋敷で一人になりたくないよ。
誰かぁ〜〜……
僕:「誰かいませんか〜…………」
???:「カルネのところまで案内しましょうか?」
!?
そっと右を向くと、女の人がいた。
夕方で薄暗くてよく見えないけど、ドレス姿なことはわかる。
この間殺されそうになったばかりなんで、ちょっと勘弁してほしいんですが…………
僕:「え〜…………このお屋敷の人ですか?」
???:「ええそうよ。会うのは初めてだったわね。」
本当に?本当にこのお屋敷の人?
いやこのお屋敷の人達も信用できない部分が多いんだけどさぁ。
???:「息子の側仕えには慣れてきたかしら?」
僕:「息子?…………あ。」
<カクカクしかじかあって>
僕:「先程は申し訳ございませんでした……ビオラ様。」
ビオラ:「いいのよ、気にしないでいいの。」
僕に声をかけてくれた彼女、名前はビオラ・ジル・ディオルネス。
アルシエラくんのお母さんで公爵夫人!
いや急にそんな凄いお方が出てきてびっくりした。
だいぶ前、アルシエラくんの誕生日以来かな。
…………あの公爵の奥さんかぁ〜。
今アルシエラくんとカルネさんのところまで道案内をしてもらっている。
今の所いい人だと思う。
僕:「…………あの、このお屋敷って夜になると…………構造?内面が変わるんですか?」
ビオラ:「ええそうよ。」
僕:「どうしてそんな仕掛けが?」
ビオラ:「この屋敷はディオルネス公爵家の屋敷であると同時に、城砦でもあるのよ。」
彼女は話を続けた。
ビオラ:「私達の領地は国境と大きく隣接しているから軍事の権限も与えられているの。この屋敷、もといこの結界は軍の防衛手段の一つとして運用されているわけ。」
僕:「へぇ〜…………ん?それって戦争が起きたら此処が戦場になったり……?」
ビオラ:「戦場……籠城戦になれば確かに此処は戦場になるわね。」
嘘でしょ。
僕なんてところにいるんだよ。




