達也、村を発見する!
気付いたら三千文字に届きそうになってました。
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サバイバル 40日目
達也は鉄を求めて、新たな土地へと旅立つこととなった。
鹿や鳥、兎を狩って燻製を作り、皮を剥いで新しい装備を作ったりと、中々に忙しい日々であった。
そして、旅の準備が整った日の翌日、日の出と共に出発である。
旅の準備をしている間に、色々と足りない物がある事に気付いた。
そういった物も手に入れる為に、捜索リストも用意した。
鉄や銅などの装備関連。
塩や砂糖などの調味料や、衣服といった感じに足りない物ばかりであった。
まずは鉄がないと、今後の活動に支障がでるし、塩がないのは駄目だと思い出して、何処へ向かうのが最良かと悩んだ。
そして、当初の目的である人が住む町か村を探すことが、近道という結論に至る。
なので、前回と同様に川下へと向かうことにした。
「人が居るなら、塩も鉄も手に入るよな」
内心の不安もあってか、自身に言い聞かせるように呟くと達也であった。
職業を狩人にして、川の側をを川下へと向かって進み、森の中を警戒しつつ、見たことがない素材を調べながら、皮革に地図を書き込み進んでいく。
最悪、川から離れずに進めば、いずれ人里か河口へと辿り着くだろうと思っていたので、かなりいい加減な地図でもあった。
◇◆◇
川に沿って歩き始めて二日。
川と森に挟まれた岩場を進み、次第に川幅が広くなってきた頃、森の木々をよける機会が減り始めてきた。
そんな森の中の川沿いを歩いていると、次第に森の雰囲気が変わり始めてくる。
それ迄の、深く暗いヒンヤリとした森の湿った空気が徐々に薄れていき、川も蛇行から真っ直ぐに流れはじめ、常に空が見える様になっていた。
「随分とかわったな。 空気も軽く感じるし、心なしか気持ちよくなったな」
俺は目を閉じて、深呼吸をしてみる。 す〜、はぁ〜。
「うーん、いい空気だ。 森林浴って、こんな感じなのかー」
うちは旅行とか一度も行ったことは無いし、修学旅行すら俺は行けなかった。
ましてや、自然の中でこんな感じで過ごした事はなく、初めての体験だ。
「父さん達の子供の頃は景気が良くて、家族旅行はあったらしいけど、俺らはそんな金はないし、食ってく方が大事たったからな。 クリスマスは美優や冬也に家族旅行とか、プレゼントすれば良かったのかもな……」
今更だが、初任給の使い方も焼き肉とかだったし、何かの祝い事があっても、思いつくのは食い物ばかりだったんだよな。
ほんと、今更だよな。
あれこれと探索し、森の木々が減ってきた頃、俺の視界に一筋の雲のようなものが飛び込んできた。
「あれ? なんだろ…… おお!! け、煙だ、煙が見えるぞ! 人がいるかも!」
大興奮の俺の視界には、川のずっと先の空に向かって、モクモクと一筋の煙が流れていくのが見える。
人がいる。 居るはずだと、俺ははやる心を抑え、川沿いを早足で歩きだしていた。
やった。 意外と早く見つけられたぞ。 どんなところかな? 何人居るんだろう? あ、でも不審がられたりするかな? などと、頭の中で考えたけど、手持ちの素材や薬があれば、なんとかなるよなと思うことにした。
最悪、物々交換とか出来るといいな。
そんな事を考えていたら、いつの間にか視界から森がなくなり、草原に躍りでていた。
「ん? なんだ? 騒がしいけど、なにが起きてる!?」
気づかない内に森を出たけど、煙の出ている箇所がどんどん増えているし、その煙も色が濃く変わりだしている。
聞こえてくる音や声も騒がしく、悲鳴や怒鳴るような声が聞こえる。
「取り敢えず警戒して行こう。 戦争とかなら、撤退…… だよな」
ドキドキと心臓がなる。 視界も少し狭くなった様に思える。
俺はまだ弱い、こんな所で死ぬのは御免だ。 やる事をやらないまま死ぬくらいなら、逃げ切ってやる!!
◇◆◇
「うわぁ、こりゃヤバいぞ」
達也の視界には、ゴブリン達に襲われている、村が見えて来ていた。
『ゲギャギャ!』『グギャッ!!』
「きゃああー!」「この野郎おお! 離せええー!」「た、助けてー!!」「早く逃げるんだー!!」
と、村のあちこちから悲鳴や怒鳴る声が飛び交っている。
村のあちこちの家からも火の手が上がり、煙がもうもうと立ち込めていた。
達也は、逃げ惑う村人たちをみて、どうするか悩んだが、子供の手をひく親子に目が釘付けになった。
「こ、こっちよ、早くしないと……」
「ママー、こわいよー」
「おぎゃあ、おぎゃあ」
家の裏手に隠れ、赤子を抱きながらも子供の手をひく母親の姿を発見した。
『ゲギャ! ゲギャゲギャ!!』
「ああ、そ、そんな!?」
「うわーん! ママー!」
「おぎゃあ! おぎゃあ!」
母親たちはあと少しで、家の中に入れたという所でゴブリンに見つかってしまった。
「早く逃げろ!!」
いつの間にか、達也は親子に向かって叫び、ゴブリンに向かって矢を放っていた。
『グギャアア……』
「えっ!?」「「!?」」
「早く逃げるんだ!!」
突然現れたゴブリンの顔が苦悶の表情へと変わり、崩れ落ちていく姿を見た母親は、達也の怒鳴り声で気付き、子供たちを連れて家の中へと避難した。
「くそっ! やっちまった。 でも、仕方ないよな。 よしっ! やってやろうじゃないか!!」
親子たちのピンチを無我夢中で救った達也は、村の中を歩きまわるゴブリンを見ながら、弓を引き絞りその矢を放つのであった。
村中を走りまわり、村人たちを襲うゴブリンたち。
鍬や鋤などで応戦する村人と、武装した男たち。
そんな中を、両手にオノを持った達也がゴブリン達の背後から襲う。
「おらあ!」
『『ギャアアー!』』
「「!!」」
『ゲギャギャ!』『ギギャッ!ギャギャギャ!』
バリケードの前に陣取る武装した男たちがゴブリン達を抑え、堪えていたところに達也が現れ、場は混乱する。
その間に、二体のゴブリンが切伏せられたが、逃れたゴブリンたちが達也を囲みだし、その背後から一体のゴブリンが飛びかかる。
「「「あぶないっ!!」」」
「ふん!! でやあっー!」
『『グギャッ!!』』
達也の背後を取ったゴブリンは攻撃を交わされ、達也はその攻撃をそのまま利用してゴブリンを掴むと、力一杯ゴブリンへと投げ放ち同時に飛びかかった。
ものの見事に団子状態となったゴブリンたち。 そこへ達也のオノが襲いかかり、頭を勝ち割っていく。
ゆっくりと頭からオノを引き抜く達也を見た残るゴブリン達は、その光景に竦んだのか動かなくなった。 達也はその隙きを見逃さずに、残るゴブリン達の首を跳ね飛ばしていった。
『グギャッ!』
『ゲギャー!』
「ど、どうだ、ハァハァハァ……」
「「す、すげえ……」」
村人たちを背にして、切り捨てたゴブリンたちを睨みながら達也が呟くと、村人たちはぼう然とし、武装した連中は感嘆の声を漏らすしか反応はなかった。
「あ、ありがとうございます」
「ん? あ、ああ…… 終わったのか」
村人と思われる恰幅の良い中年男性と、その人を支える若い男が近寄ってきて礼を述べる。
達也は息を調えながら返事をしたが、中途半端な返答しか出来なくて焦っていると、武装した男たちが前に出てきて、肩を掴まれてしまう。
「あんた、すげぇな! 助かったよ」
「え? そ、そうですか?」
「「「はっはっは!」」」
達也は思わず敬語が出てしまったが、男たちは全く動じずに達也をかこみ、口々に惜しみない称賛の声を挙げた。
今週はここまでとなります。
次週は2/1の0時更新となります。
よろしくお願い致します。




