仕事
『ヒト』は『人』に差別されているとはいっても、働かなければ生きてはいけない。だから働き口は少なからず存在している。しかし、それは過酷な労働であるのだ。もっとも、例外である僕が働いていく場所などない。では何をしているのか。それは表立てては言うことのできない仕事である。
ある日の夜、粋がっている若者や酒飲みで溢れ、賑わっている町の裏道に僕は息を潜めていた。目立たないように黒いコート、黒いマフラーをつけて。勿論、右腕を隠している。ある集団が裏道に入ってきた。この辺り一帯を縄張りとしている暴走族の一味である。目立たないとはいっても、当然存在には気づく。
「てめぇ、何だよ。勝手に人の縄張りに入んなや!!」
次々に浴びせられる罵声、怒号。しかし、僕はあえて無反応を続ける。するとリーダーと思われる筋肉質の男が目の前に立った。
「言って退かんよーやったら、痛い目見てもらおうか!!」
そう言って勢いよく僕に殴りかかってきた。他の奴等も飛びかかってきた。ここからが僕の仕事である。僕はリーダーの拳を左手で受け止め、右手を相手の腹に思いきり突き立てた。すると男は力無く倒れていった。それを見た他の奴等は怖じ気づいたのか、一目散に逃げていった。
「さて、こいつどうするかな。」
と、呟き、目の前で腹から血を出して倒れている男に目をやった。そう、僕の仕事は暗殺業、つまるところの『人』殺しである。




