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僕の彼女は王子様  作者: 朱音小夏
二年生

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9/10

借り物競争

 九月某日。

 雲一つない晴天。

 絶好の体育祭日和である。

 運がいいことに、僕も麗さんも同じ赤団である。


「麗さん。頑張ろうね」

「......意外だな。朔弥が体育祭に乗り気なの。去年は雨で中止だったし、中学の時はサボってただろう?」

「......僕の黒歴史をほじくり出さないで」


 僕らの学校のメイン競技は"借り物競争"だ。

 もちろん、人気者の麗さんはエントリーされている。

 僕は足の速さを買われて、団対抗リレーに駆り出される予定だ。


 それにしてもこの学校は変わっている、普通メイン競技といえば"団対抗リレー"だろう?

 それが"借り物競争"。

 先輩たちは、「借り物競争では目立ってなんぼじゃー!!」と力が入っている。

 あまり麗さんに無理はさせたくないなぁ。

 

 そんなことを考えていると、借り物競争の時間となった。


「それじゃ、朔弥。行ってくんね!」

「ん。いってらっしゃい。何かあったら頼ってね?」

「モチ!!」


 借り物競争の生徒達が集合して、走順に並び始めた。

 ......麗さんはラストか。

 学校側の陰謀を感じる。


「位置についてー、よーいドン!!」


 最初の走者が走り出した。

 皆お題に苦戦しているようだ。

 あ、あの人教頭のヅラが借り物かぁ......

 どっちもご愁傷様。


 そして、二走、三走と行くうちに、とうとう麗さんの番。

 ラスト走者になった。

 

 スタートのピストルが鳴ると、みんな一斉に飛び出す。

 そしてお題の紙を広げていく。

 ......あれ?麗さんがこっちに走ってくる。

 もしかして、僕の出番?


「麗さ「美玖!! 一緒に来て!!」」

「ほいな~」


 麗さんは櫻井さんを呼ぶと、なんと姫抱きをして走り去っていった。

 僕は、荒井から「ドンマイ!」といい笑顔でいわれたので、頭を握りつぶそうとしてやった。


「赤団一位~!! お題は......『女子生徒をお姫様抱っこ』!! クリアでーす!!」


 ......はなから僕はお呼びでない感じであった。

 

 そうこうしているうちに麗さん達借り物競争勢が戻ってきた。


「......麗さん、カッコよかったよ」

「あんがと! その割には不貞腐れてるじゃん」

「......べっつにー。僕リレーの集合だから行ってくる」

「あ、うん。」


 こうなったらこの苛立ちをリレーにぶつけてやる!!

 

「位置についてー、よーいドン!!」


 僕は最終走者なので、皆の様子を見ていた。

 が、遅い。実に遅い!!

 なんと赤団が最下位。

 もうやる気のない奴らばっかり!!


 そして僕にバトンが渡る。

 僕は全力疾走で他の団をごぼう抜きしていく。

 それでも、二位の団にはなかなか届かない。

 ――そんな時だった。


「朔弥―!! 頑張れー!!」


 麗さんだ。麗さんの声援が聞こえる。

 これは期待に応えなければ......!!

 

 僕は加速装置がついたかのようにスピードアップして、二位の走者を抜き去りゴールした。


「一位! 赤団!! いやぁ、凄い追い上げでしたね!! 決め手は?」


 実況をしていた情報委員がインタビューに出てきたので、僕はすかさずこう答えた。


「愛の力です!!」


 そして麗さんに向けてピースをすると、麗さんは顔を真っ赤にしてその場にしゃがみ込んだ。

 フィナーレは僕と踊ってもらいますからね!!


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