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第六話 古城崩壊し、冒険者ギルドへ

「……一週間ほど前だ。北の古城に魔族が住み着いたんだ。

 そいつは街に現れて“生贄をよこせ”と要求してきやがった。

 領主様も冒険者を差し向けたが……全く歯が立たなかった」


「頼む! あんたなら……魔族を倒せるだろ!

 もちろん報酬は、この街の領主様が十分に用意してくださる!」


ノクターリアが面白そうに笑う。


「ねえ、聞いた? 魔族ですって!キョウセイなら余裕で勝てるわ」


――だが、胸の奥には熱は湧かなかった。

牙堂を殴ったときの衝動も、赤竜を焼いたときの焔もない。


「……断る」


「な!? ……なあ! 頼むよ!」


俺は無言で立ち上がり、そのまま背を向ける。


「俺の……娘が……魔族の生贄にされそうなんだ! だから、頼むよ!!」


足が止まる。

しばらく黙り込み、深く息を吐いた。


「……で、その城はどこにある」


――しばらくして。


俺は古城の前に立っていた。

気乗りはしない。だが、そのまま城へ足を踏み入れる。


広間の奥、玉座に人影。

そいつがゆっくりと立ち上がった。


「また懲りずにやってきたか……愚かな人間ども。

 我が名はドラヴァン! 魔族の序列において“子爵”の位を授かる者だ!

 ふはは! 我が目的は――」


勝手に語り出す。

聞いてもいないのに、長々と目的まで喋りはじめた。

胸の奥で苛立ちがじわりと燃える。


「――それが我が野望だ!!

 さあ! 人間よ! かかってくるがいい!

 力の差というものを――」


城が――爆ぜた。


轟音とともに石壁が吹き飛び、瓦礫が宙を舞う。

黒煙が立ちこめ、古城は跡形もなく消し飛ぶ。

赤黒い炎だけが、そこに残った。


「……さすがにちょっと、かわいそうね」


街に戻ると、人だかりができていた。

ざわめきが広がり、みんな一斉にこちらを見る。


あの男が駆け寄ってきた。


「城の方で大爆発があったが……いったい何があったんだ!?」


額に汗がにじむ。俺は肩をすくめ、言葉を濁した。


「ああ……あの魔族が、自分で城をぶっ壊したんだ。

 危なかったが、なんとか倒した。もう安心だ」


「そんなに強い魔族だったのか……!」


横でノクターリアが呆れ顔を向けてくる。


すると男が慌ただしく声をかけてきた。


「領主様がお会いになりたいそうだ! ついてきてくれ!」


城を消し飛ばした事実と嘘を重ねたことに、小さな罪悪感を抱く。

言われるまま、男の後を追った。


領主邸に着くと広間に通される。


しばらく待つと恰幅の良い男が現れた。


「私はこの街の領主を務めています、エバンと申します。

 この度は街の危機を救っていただき、感謝申し上げます」


にっこりと笑いながら、続ける。


「しかし……あの魔族は城を吹き飛ばすほどの力を持っていた。

 それを倒すとは……あなたは本当に強い方なのですね」


胸の奥がチクリとうずく。けれど、表情には出さない。


約束の報奨金を受け取り、部屋を出ようとしたときだった。


「お待ちください。これからどちらに向かわれるのです?」


言葉に詰まった俺の代わりに、ノクターリアが即答した。


「北にあるS級ダンジョンよ。そこで力試しをするの」


「なるほど……それなら冒険者ギルドに登録されるとよいでしょう。

 北のダンジョンは国で管理されており、入るには冒険者カードが必要です。

 よろしければ推薦状を書きましょう。ギルドでも便宜を図ってくれるはずです」


俺が名前を告げると、エバンは推薦状を書いてくれた。

礼を言い、それを受け取り館を後にした。


外に出ると、あの男が駆け寄ってきた。


「待ってくれ!! 本当にありがとう。これで俺の娘も、街も救われた。

 俺はオルドっていうんだ。あんた名前は?」


「……キョウセイだ」


「キョウセイか!俺はこの街で鍛冶屋をやってる。今度街に来ることがあれば是非訪ねてくれ」


――数日後――


俺たちはストンヘルムという街にいた。

この辺りでは規模も大きく、冒険者ギルドもあるらしい。


石畳の大通りを進む。人の数はこれまでの街とは比べものにならないようだ。

雑踏の中を抜けると、紋章が掲げられた冒険者ギルドが視界に入った。


ギルドの中へ入ると、カウンターにいた職員に推薦状を差し出す。


職員が紙を受け取り、目を通した瞬間、表情が固まる。


「……少々お待ちください」


慌てた様子で階段の奥へ消えていく。


しばらくして、階段からガタイの良い男が降りてきた。


「お前が……キョウセイか。噂は聞いてるぞ。

 ドラゴンや魔族を単独で倒したそうだな」


……また面倒なことになりそうな予感がした。


「すまないが、上の部屋へ来てくれ。そこで話がしたい」


仕方なく後に続く。


部屋に入ると、男はどっかりと椅子に座った。


「俺はこの冒険者ギルドのマスター、ヴァルだ。

 実はお前に……相談したいことがある」


やっぱりな。嫌な予感は当たる。


「この街が管理を任されているA級ダンジョンがある。

 そこに潜ったまま戻らない冒険者が一人いるんだ。

 ――探し出してきてほしい」

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