0.プロローグは追放から
新連載を始めました!
どうぞよろしくお願いします!
「ライ、君をこのパーティから追放する!」
興奮した声で宣言したのは探索者パーティ『リミットブレイカーズ』のリーダーで、名前は……えーっと、なんだったかな。アレス? アレン? まあどっちでもいいか。
他のメンバーたちも揃って俺を睨みつけている。
ってことは、みんな同じ気持ちってことか。
あーあ、また追放されちまったよ。
これで3回……いや4回目かな。
「参考までに理由を聞いてもいいかな?」
「理由!? そんなのいくらでもあるさ! まず君は偵察士なのにほとんど罠を解除できない!」
ああ、その通りだね。
今日は三つの宝箱全部で罠解除に失敗しちまった。だって難しいんだもん。
毒針に麻痺煙に警報とフルコースをお見舞いされたけど、中身は無事に取り出せたよ?
「魔法薬代で赤字だっての! 次に、君は戦闘でもほとんど役に立たない! ただ立ってるだけじゃないか!」
戦闘できるんだけどさぁ……ちょっと燃費が悪いんだよね。
それに戦闘は俺の本職じゃないしさ。
「だって偵察士の役目は偵察や罠解除だろう?」
「そもそもそれすらライは出来てないじゃないかっ!」
まあおっしゃる通りで。
「極めつきは、先ほどの君の言葉だっ!」
「あれ、俺なんか変なこと言ったっけ?」
「ああ言ったとも! 『俺は銀曜日しか働けません』ってな! 誰が週一日しか稼働できない偵察士と組むかっての!」
あーやっぱりダメかぁ。
でもさ、俺にも平日は本業があるから週一以上は参加できないんだよね。
「以上が君を追放する理由た! わかったか!」
「ああ、わかったよ。世話になったな」
俺はぷんすか怒っているリーダーのアレンだかアランだかに手を振ると別れを告げる。
あーあ、やっぱりダメだったか。
初心者相手ならいけると思ったんだけどなぁ。
さすがに週一稼働じゃ受け入れてもらえないか。
こうなったらもう──自分でパーティを募集するしかないのかな。
そんなに本格的に冒険士をやるつもりは無いんだけどなぁ……まいっか。
俺はため息を吐きながら、ギルドの受付に『パーティ募集』の提出しに行ったんだ。




