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話しは少しだけ遡る。

旧クロフォード城攻略後、お宝を持ち帰って物色している時にみんなが昏倒し、ナナだけが目を覚ましていない時の事だった。


「あー! 今月ナナの誕生日ー」

「きゃー! 忘れてたー」

「にゃー! 10月24日はナナがこの世界に生まれ落ちた日だー」


誕生日プレゼントを用意したい3匹は、だが、ナナにお小遣いをもらっていない事に気付いた。

だって、欲しい時は言ったらすぐ買ってくれるから……

それに以前、本部でお風呂の妖精となってお小遣い稼ぎをしていたけど、全部お菓子に使っちゃった……


「そもそもプレゼントは何にするー?」

「そうねー…」

「何がいいかなー?」


起きないナナの周りにアデル達も集まってきた。


「どうしよー?」

「もうすぐナナの誕生日ー」

「プレゼント何がいいと思うー?」


「誕生日だぁ?う~ん……う~ん……」


アデルが考え込んでしまったので次に行った。


「ヒューはー?」

「ナナに何をー」

「あげたらいー?」


「そうだな……あいつが好きな物は?」


「もふもふー」

「おかしー」

「わたし達ー」


ナナがシロクマちゃん達を大好きなのは駄々洩れだった。


「なら、菓子の詰め合わせでいいんじゃねぇか?」


「即答ー」

「いいかもー」

「でもお金ないー」


それが一番の問題だ。


「お宝ならそこにいっぱいあるだろ。売ればいい。お前達も頑張ったんだから好きな物持っていけ」とアデル。


「おおぅ、アデル太っ腹ー」

「んじゃ、遠慮なくー」

「うぇーい、頂くぜー」


目覚めないナナを置いて、シロクマちゃん達はお宝を物色しに行った。

その間、アデルはナナを抱き起した。


「よく寝ていますね。ベッドに寝かせますか?」とサイラス。


「あ~…いや、誕生日なら何か贈るかと思ってな」


アデルがナナの重さを確かめるように抱っこしているのでサイラスはピンときた。


「なるほど。あなたがドレスを送るのなら、俺達は靴と髪飾りにするか?」


サイラスがレスターを見ると、快く頷いた。

そしてシロクマちゃん達を呼び戻す。


「ナナの服のサイズが知りたくてな。測ってくれないか?」


「いいよー」

「がってんー」

「しょうちー」


再びナナを床に寝かせ、シロクマちゃん達がメジャーで隅々まで測る。


「身長がー」

「7cmもー」

「のびてるー」


8歳にしてはチビだが、これからちゃんと成長しそうだ。


「靴のサイズ16かよ。ちっちぇー」と言ったのはアデル。


「これから色んな物がすぐサイズ変更を余儀なくされるんだなぁ」とサイラス。


みんなに寄ってたかって観察されている所為か、ナナが魘され出した。


「ナナー」

「どしたのー?」

「怖い夢みてるのー?」


シロクマちゃん達がナナを揺する。


「ナナー」

「起きてー」

「お願いー」


目を開けたナナ。

だが、シロクマちゃん達を抱きしめて泣いてしまった。



その後、本部の倉庫に宝物を収めた時、途中だった換金アイテム選びを再開したが、ナナに使わない物はいらないし、売り払うのもダメだと言われショックを受けた3匹。

途中からウケ狙いに変更したが、資金集めに失敗した事実は覆らない。


それから『世界樹の雫』に注文したアクセサリが完成するまでは特にする事がなかったのでシロクマちゃん達は遊んでいるフリをしてプレゼントゲットに奔走することにした。

アデルがこっそり宝石の付いた腕輪をくれたので資金はバッチリだ!


『 ナナの誕プレにー

  悩んでるのー

  へーるーぷー   

  by シロクマ戦隊モフるんジャー』


シロクマちゃん達がリンスに【文蝶】を飛ばすと、『すぐにいらっしゃい』と返ってきた。


「ナナは今ドコー?」

「えとね~……図書室で魔導書読んでるよー」

「ちゃーんす……」


スキル【千里眼】の無駄遣い。

だが、3匹の『誕生日サプライズパーティー』への意気込みは本物だ。

そう、いつの間にかクランメンバーみんなを巻き込んでのパーティーが計画されているのだ。




「ちわー」

「リンスー」

「来ーたよー」


「いらっしゃい。モフモフちゃん達。まずはお茶をどうぞ」


わーい、とテーブルに突撃するシロクマちゃん達。

お菓子を口に詰め込みながら、状況を説明する。

ナナの誕生日にプレゼントしたいんだけど、何がいいと思う?と。

説明かな?

まあ、伝わりはするよね。


「ふむ、今月の24日ですか……ふふ、ふふふふ……」


「リンスきもいー」

「リンスあやしー」

「リンスやばいー」


「コホン…いえ、丁度いいモノが入荷したんです。私からもプレゼントさせてください」


リンスは奥から結構デカい物を持ってきた。


「わぁー、いいねー」

「きゃー、すてきー」

「にゃー、かわいー」


イチゴちゃんが代表してアイテムボックスに預かった。

が、結局シロクマちゃん達はまだプレゼントを入手していない。


「やっぱりー」

「ヒューの言う通りー」

「おかしにしよっかー」


カリンちゃんがアデルに貰った腕輪を取り出した。


「これで買えるだけのー」

「おかしをー」

「くーださーいなー」


リンスは引きつった笑みを浮かべた。

腕輪の換金額はおよそ大金貨1枚(100万円)。

どんなお菓子なら釣り合うのでしょうねぇ…?


「そうだ。腕輪は換金してあげますから、これに入るだけのお菓子を買ってプレゼントするといいですよ」


リンスに丁度いい入れ物を貰い、3匹はキャッキャと店を後にした。

そしてイチゴちゃんの転送魔法で王都に飛ぶ。

橋の上の高級店街でお菓子を買いまくった。

リンスに貰った入れ物を店員さんに見せて、「これに入るだけお菓子をくださいー」と言って詰めてもらった。

「プレゼントなのー」と言ったら、リボンまで付けてくれた。

お礼に念入りにモフモフ攻撃をした。


ナナへのプレゼントはこれでバッチリー!

自分達のお菓子貯金も潤ったー!

3匹は大満足で支部に帰った。


「あー、シロクマちゃん達ここに居たのね。プールに居なかったから探したよ。結局部屋に居たんだね」


丁度エレベーターですれ違ったのかな?と首をかしげるナナ。


あぶない、あぶないー。

お出かけしたコトー。

バレるとこだったー。


「お腹空いたねー」

「早く食堂に行こー」

「ぺっこぺこー」




そんなこんなで第97階層をクリアして4日後の事だった。

今日も朝から引越しの手伝いで天手古舞。

もうこの支部には2度と戻らないつもりなので、馬車で運べない大物は事前にイチゴちゃんの転送魔法で運んでゆく。

昨日からずっとこんな感じだ。

100部屋回るのは骨が折れる。

イチゴちゃんを一人に出来ないので、必ずナナがついて行く。

ナナもアイテムボックスで沢山運べるので無駄はない。

そしてイチゴちゃんは熟練度が上がったのか、1日に飛べる回数が増えた。

というか、もしかしたら無限なのでは?


ナナがイチゴちゃんにつきっきりになっている隙に、残りの2匹は夜に行うパーティーの準備を進めてゆく。

料理人達も腕によりをかけてナナの好物ばかり作ってゆく。


そして、夕方。

今日の作業は終わりである。


「おかえりー」

「あんどー」

「お誕生日おめでとー」


食堂に入るとみんな勢揃いしていて、シロクマちゃん達の掛け声でクラッカーがあちこちで鳴った。


「「「「「「誕生日おめでとう、ナナ!」」」」」




えええええええええええええええええええっ!?

ナニコレー!?


「ほらー、ナナー」

「ボーっとしてないでー」

「ケーキのロウソク消してー」


シロクマちゃん達に背中を押され、ケーキの前にやって来た。

長方形のスポンジケーキにクリームたっぷり。

おめでとうという文字だけでなく。シロクマちゃん達の顔も描かれている。

かわいい。

かわいすぎて食べられない!


ロウソクが溶けてクリームに到達しない内に消す。

順番がちょっとチグハグになるが、出立の前の壮行会も兼ねていて、パーティーは大盛況だった。


「ナナー」

「8歳ー」

「おめでとー」


シロクマちゃん達が受け取れ、とプレゼントをずずいと掲げる。


「ありがとう!」


でも、これハロウィンのお菓子のカボチャバケツだよね?

もしかしなくても迷宮遺物……こんな物まで……


それからアデル達からもプレゼントを貰った。

なんと正式な夜会で着れそうなドレス一式だった。

お貴族様めっ!

でもありがとう。

いつ着るかわかんないけど、お姫様みたいで素敵です!

何でサイズを知っていたのかは聞かないでおくね!


ヒューバート達からも貰った。

リアルファーのビッグサイズのブランケットだった。

表も裏もふわっふわの毛皮が気持ちいい。

って、これ、毛皮のコート何着分ですか…?

お値段だいじょうぶですか……?

でもありがとう。

シロクマちゃん達と一緒に包まってお昼寝できるよ!


そしてシロクマちゃん達がリンスから預かってきたと出したのは……

子供用の大きさで可愛らしい装飾がいっぱいの『おままごとドレッサー』じゃないですか!

テンションの上がるお姫様デザイン!

リンスからはいつも迷宮遺物を破格の銀貨1枚で購入していたけど、とうとうタダで貰っちゃったよ…

でもありがとう。

馬車移動に持ってこいのサイズ。

テント代わりのログハウスで使わせてもらうね!


周囲の人達のバックに宇宙が見える。

ハイエルフに迷宮遺物を貢がれるとんでも幼女、恐るべし……

ナナは遠い目をした周囲の空気に気づく事なく料理にターゲットオンするのだった。


いやはや、料理も素晴らしかった。

ビュッフェスタイルの立食パーティー。

ちょびっとずつ色んな物が食べられて最高!

デザート多めに食べちゃった!

でも、シメにお誕生日ケーキ食べるよ!



お腹も落ち着いて、シロクマちゃん達にコソコソと聞いた。


「私って、今日が誕生日だったの?」


「そだよー」

「1年前の今日ー」

「初めてあの森で出会ったんだよー」


そっか……この世界に来てもう1年経ったのか……

あっという間、だったなぁ……

色んな事があり過ぎて、みっちり濃厚な1年だったわぁ……


「そうだ、シロクマちゃん達の誕生日は?」


私だってお祝いしたい!


「んー?」

「そういえばー」

「知らないやー」


誕生日なんてあったのかな? なんて言っている。

えーっ!? そんな事ある!?


「あーっ、じゃあ、ナナに名前を付けてもらった日にするー?」

「いいねー。ナナにテイムされた日ー」

「わたし達がこの世界に生まれ落ちた日ー」


「わかった。じゃあ、11月5日ね!」






数日掛かりで引っ越し準備を終え、本日クランメンバーを送り出した。


「じゃあ、オレ達は迷宮に潜るか」とアデル。


玄関と門にも鍵をかけて支部を後にした。


本日チャレンジするのは第98階層。

ボスはまた怪獣なんだろうなぁ。

ヘヴィだよねぇ……


寄り道はせずにやって来ましたボス部屋。

発射台からせり上がってきたのはキングコングタイプの怪獣だった。

フサフサの毛並みではなく、怪獣らしい岩肌みたいな皮膚。

固そう。

でも、一番の問題はおサルさんだから物を掴んで投げてくる事だった。

格納庫に置いてあるコンテナがビュンビュン飛んでくる!

そして、こちら側の攻撃を腕で弾く!

あと、素早いし!

ちょっと考える時間ください!


イチゴちゃんに格納庫の外に転送してもらったのだった。

ズルい気もするけど、無理して命を落とすワケにはいかないからね。


管制室で作戦会議だ。

格納庫を見下ろせるのだが、怪獣がコンテナを投げてきた。

しかしガラス窓に激突したものの、壁は無傷でコンテナだけ落下していった。

ビッッッッッックリしたぁぁぁぁぁぁ!

迷宮の壁が破壊不可でよかった。


あれ?今気づいたけど、小窓から見えるのって地球じゃない!?

前に見たのは月だったから、とうとう地球に帰還間近って事なのだろうか?

迷宮なのに面白い設定だよねぇ。

でも、何で地球なんだろう?

迷宮では宝箱に入っている『異界品』は地球産以外の物もあるハズなのに、迷宮自体が地球関連ってどういうコト?

実は私は異世界転生したのではなくて、過去に飛ばされただけってオチ?

それはないか。

流石に魔法の存在の説明がつかない。

案外、今の時代の流行ってだけかもしれないね。


わからな過ぎて思考放棄に陥って出した答えが『流行』。

ナナは一生知る由はないが、ズバリ大正解!なのだった。



ここ数日、ありがたいことにランクインのお知らせが届きます。

色んな種類があるんですねぇ。

ほんの数日前までは知らない世界でした。

これも偏に読んでくださったり、様々な反応をしてくださった皆様のお陰です。

ありがとうございます。

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