表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/21

20


「手を組む…?」


アデルは胡散臭いモノを見る目を隠さない。


「ええ、そちらは土地の奪還、私は次期皇帝の座。Win-Winでしょう?」


確かに、ダンジョン・コアを手に入れたとしても、土地は返ってこない。

おいしい話ではある…


「だが、今から自国に戻り、王都に話をつけに行くにも時間がかかる」


そう言ってアデルは私をチラリと見た。

あ、イチゴちゃんの転送魔法なら一瞬だけど、これは黙っていろって事なの?それとも協力して欲しいって事なの??


「そもそも、【庭園迷宮】が踏破されるのは現実的な話なの?」


とりあえず、話を逸らす事にした。


「ええ…何故か世界中で、ここ数ヶ月において迷宮の踏破階数が更新され続けています」


ああ、だからアデル達も今回本気で【巨大迷宮】に挑んでるんだ…


「第2皇子がコアを手にするのを邪魔して欲しいだけなら、ノア王国を巻き込む必要なくない?」


「それは、ノア王国専属の冒険者は世界有数の実力者ですので…」


アデル達が頑張るのとは次元が違うって?

あ、アデルがめっちゃ不機嫌になってる。

でも、やっぱり国お抱えは強いよ。


「王都の守りが薄くなった時を狙って攻めようってんなら…」


「いえいえ、戦争は望んでいません。ナナならわかってくれるでしょう?」


ふむ。日本人でお坊さんだったなのなら、殺生はしたくないよね。


「そうね。それだけは私が保証できるかも」


「それに、これは私個人の交渉なので国軍を動かす事はできません」


国王の命令で動いているのならその限りではないが、それはなさそう。

ただの勘だけど。


「いい話だと思うのだけど、アデルは何が引っ掛かっているの?」


「……お前はどうするつもりだ?」


「え?なんで私?関係なくない?」


「交渉の場に呼ばれといて無関係とかねぇわ」


「ナナ、冷たいですね。同郷なのに協力してくれないんですか?」


アデルとグレアムにツッコミいただきました。


「同郷?」


アデルが訝しむ。


「いえ、まだハッキリとはしてませんが、もしかしたら、と思っているんです」


外国語が通じる時点でほぼ確だろうが、言葉に含みがあり、別の要因が脳裏に浮かぶ。

つまり、ナナは高貴な生まれかもしれない…

アデル達に確信に近い疑惑が生まれた。

が、帰したくないという感情が疑惑に蓋をした。


「私に何して欲しいの?」


「【庭園迷宮】の探索ですかねぇ」


「なにゆえ?」


「ノア王国の冒険者の【庭園迷宮】入りから目を逸らす為、ですね」


「何か目立つコトをしろって?」


「わあ、察しがいいですね。同盟のパートナーとして安心です」


「…第4皇子、あなたが時期皇帝になったとして、確実に土地と迷宮を変換していただけるという保証はどこにあるというのでしょう?」


うぉ、アデルが急に貴族になった。

仕事モードに入ったのかな。


「合意書の他に誓約書でも書きましょうか?」


「お願いします」


「ということは、ノア王国との橋渡しを引き受けていただけるのですね?」


「ええ、協力しましょう」


私を置き去りにして勝手に話がまとまった。

立ち上がり、握手を交わす2人にジト目をする。

どうせ私は一般人ですよー。


「で、私の報酬は誰が出してくれるの?」


「もちろん、私が出しますよ?」


「駄目だ。そいつから金を貰うと何をさせられるかわかんねぇぞ。お前はおれと一緒に動け」


う~む、アデルの言う事は一理ある。

グレアムが変な要求をしてくるとは思わないが、他国の王族にお金を貰って働くというのはとても窮屈な立場になるよねぇ。


「わかった。私達はアデルのお手伝いをする。で、頃合いを見て自分の意志で【庭園迷宮】に挑むことにするよ」


「残念だなぁ」


元日本人同士、話をしたかったんだろうけど、この世界では身分制度がうるさいからねぇ。

あんまり深くかかわるのは止めておこう。


こうして『王族クライシス』は事なきを得た。

まあ、自分で蒔いた種だったんだけどね。




エピタフ支部に無事戻ってきた。


「ナナ、今からで悪いが、エピタフ本部に飛んでくれないか?」


「もち。いいよね、イチゴちゃん」


「らじゃー」

「わたし達もー」

「行くよー」


サイラスとレスターも連れてアデルの執務室に瞬間移動した。


「王都に先ぶれを出すから、今日は休んでくれ」


「王都にも行ったことあるから飛べるけど?」


「………そうか、そうだよなぁ」


てなワケで、ページボーイではなく直接アデルが行くと言い出した。


「時間がもったいないだろう?」


確かに、王都へは片道3、4日かかる。

ならばと、全員で王都に行き、宿に泊まってそこから先ぶれを出してもらう事にした。


転送先は王都の側の森の中。

馬も一緒に連れてきたよ。

幼女+3匹も乗せてもらう。

イチゴちゃんと私はアデルの馬に。

ラムネちゃんはサイラス、カリンちゃんはレスターの馬に乗せてもらった。


乗馬、初体験!

スカートだから横乗り。

まあ、アデルに支えてもらってたし思ったより大丈夫だった。

それにそんなにスピードは出さなかったから、思ったよりも衝撃はなかった。

シロクマちゃん達は曲芸みたいな乗り方をして遊んでた。

ハラハラした。


宿に着くと、すぐに手紙を届けてもらった。

返事は明日だろうとおやつ食べたりしてゆったりする。

すると、夕方に馬車がやって来た。

城からの迎えだという。


「お前も登城しろって書いてある」


「うそん!わたし達はお留守番だって思ってた!」


アデルだって爵位は持っていないから城に簡単に入れるのビックリだけどね。


「もしかして、手紙ってセディから?」


「ああ、よくわかったな?」


「シロクマちゃん達も一緒に来たって伝えたでしょ?」


「ああ、なーる」


やっぱりねぇ。

そしてモフらーだと知られてるんだなぁ。

ん?セディって、簡単に人を城に呼べるほど強い権限持ってるの?

廷臣か官僚かと思ってたけど、もしかして……



お城に着いた。

以前は気球から見ていたお城に入れるとは…


巨大な城は複雑な造りをしていた。

そして迷宮遺物で造られているというのもすぐに理解した。

至る所に転移陣がある。

防衛の為か、案内人に連れられ3回転移してやっと目当てのドアの前に辿り着いた。


部屋は謁見用の前室。

という事は、続きの間は寝室。

お城に寝室があるという事は、やっぱりセディは王子なのだ。


ああ、なんかもう感覚麻痺してきた。

なんで私の周りには王侯貴族が多いのかしら……


早速シロクマちゃんをモフるセディ。

お祭りで獲得したシロクマのぬいぐるみはココにはないね。

寝室にあるのかな?

成人男性の寝室にぬいぐるみ…

考えないでおこう。


ソファに座るとアデルが説明を始めた。

またサイラスとレスターは背後で待機している。


そしてアデルは証拠の誓約書を差し出した。


「人払いを頼む」


アデルの頼みを、セディはあっさり聞き入れた。

いつもの事なのか、侍従も護衛も部屋を出て行った。


「今から言う事は、他言無用で頼む」


「そりゃぁ、人払いをしたんだ、当然だよね?」


「茶化すなよ。真面目に約束してくれ」


「わかったよ。約束する」


「いま、お前が抱えているシロクマは転移魔法を使える」


「それは凄い!だったらいつでも会いに来てくれるって事だね!?」


「違うわ、このモフらーめ。秘密裏にオーランドの第4皇子と調印できるって事だろ」


「わかってるよ、ちょっとしたお茶目じゃないか」


「今はそういうのいらねぇんだよ」


「はいはい。まずは国王に同盟の話をしないと」


「ああ、これからはいつものやり取りでいいよな?」


「ええ~、このコ達に会えないんですか?」


「これがやべぇ能力だってわかんだろ」


「ええ。これは国王にも秘密にした方がいいでしょう」


「えっ?いいの!?」


「そうしないと、王命で縛られてしまいます」


それは絶対に嫌です!

いやしかし、それをわかっていて秘密にするのは謀反にならないのだろうか?


「お嬢さんは以前、投資をしてくれたでしょう?数倍返しをするとお約束しましたからね」


「ありがとう!」


「いえいえ、こちらこそまた会えて嬉しかったですよ」


なんていい人なのだろう!

言葉だけじゃ感謝を伝えきれない…っ!


「あ、そうだ!これあげる」


渡したのはハムスターのスクイーズ。

リンスにあげたのと同じヤツ。

もう1個しかないけど、あげよう。


受け取ったセディはリンスに負けず劣らずの反応を見せてくれた。

アデルは笑い転げ、何事かと護衛が飛び込んでくるほどだった。

なんか、すまぬ……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ