表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
78/268

竜神

 竜神はその大きな翼で、洞窟のかなりの高さのところまで飛び上がり、口の付近が紅蓮のように染まると、それを洞窟の上に向かって何かを吐き出した。


 「ん? ま、まさか......あれは隕石か!?」


 奴が口から出したのは直径が10メートルぐらいの熱を帯びているのか、真っ赤に染まった隕石の塊だった。


 加えて一つだけだはなく、ぱっと見数十個はあるように見えた。


 てかこの洞窟広すぎだろ! 上の方がまったく見えないぞ......。


 そんなことを思っている間にも隕石群が迫って来る。


 流石にこれだけの攻撃を受けたらタダでは済まないので、すぐに迎撃態勢を取るために俺は右手に持つ黒刀に魔力を集中させる。


 そして狙いを定めてると同時にそれを対象であるものに向かって飛ばす。


 「黒影波!」


 対象である迫ってくる隕石群に対して斬撃を飛ばしたのだが、その大きさが通常の10倍ほどの大きさの斬撃となりそのまま飛来しようといしている隕石を次々に真っ二つにしていく。


 これが神々の祝福ってやつの効果なのか? これならアスナが来るまで保つかもしれない。


 しかしすべては防げなかったようで、残りの隕石が更に加速しながら降り注ごうとしている。


 すぐに自分の身を守るために隕石が衝突する直前に深影牢で全身を覆い防御態勢に入ったのと同時だった。



「ドオォォォォォン!!」


 影牢で覆っているはずなのに、隕石がそれに衝突している轟音と震度を如実に感じてしまう。


 これ外にいたらどうなってしまうんだ? ......ヤバイ! 俺の好奇心が叫んでいる!


 どうにか抑えていると隕石のすべて降り注いだのか、その音が鳴りやんだので影牢を解いて現状を見ることにした。


「うわぁ......これはヤバイな」

 

 目の前には一面まるで地獄絵図のような光景が広がっていた。


 隕石の衝突した後は50メートルほどクレーターが出来、それが降り注いだ数だけ存在するので地表は原型を留めておらず、そこかしこに隕石の恩恵である溶岩がメラメラとその存在を強調していた。


 加えて奴の翼から発生している強風により、依然として俺の周りを取り囲んでいる灼熱の溶岩とその熱により生じた熱風がこの洞窟全体を覆っている。


 時間が経てばそのうち収まると思うが。


 つまり俺が言いたいことは......以前の大地さんの面影が残っていないのだ。あの時以上の惨劇が大地さんに降り注いでしまった結果、大量の大地の結晶を生産する羽目になっている。だが、しかし俺にはあまりこの環境からの影響は受けていない。


 俺の考えが正しければ......。


「これもあの貰った二つの加護のおかげか」


 状態異常の加護と神々の祝福が働いているおかげで、この生き物が住むことのできない灼熱の環境に適応することができるのだろう。


 そして俺はこの元凶の元である竜神を見ると、充血したかのような深赤い目を爛々と輝かせながら、まるで攻撃が俺に当たらなかったのを怒っているような様子だ。


「それはこっちの表情だ、まったく」


 俺はそう呟くと同時に、黒刀に本気で魔力を集中させると、対象である空中で佇んでいる奴に向かって特大の黒影波を飛ばした。


 先ほどよりもさらにでかい、約60メートルほどになった斬撃が奴に向かって飛んでいき、それを回避できなかったのか、そのまま奴の体は上半身と下半身が綺麗にバイナラした。


 これなら寿司職人も夢じゃない! すしざんまい! そう思いながら俺はあろうことかあることを口にしてしまう。


「よっしゃー! 俺の勝ちだー!」


 という訳で盛大にフラグを立てたので、冷汗を流しながら真っ二つになった奴を見ると......。


「......嘘......全然効いてない」


 見事にバイナラしたはずの上半身と下半身が、まるで嘘ぴょーん! 驚いた!? のようぴったり元の位置に引っ付いている。


 そして再度奴の体が徐々に赤身を増し始める。


 遠く離れていてもかなりの熱を感じる上に俺は加護付きだ、ということはあの奴の周囲はかなりヤバイじゃないのか? 音の伝わる速さが速いんじゃないのか?


 時間が経過すると共に奴の体は更にその色を深めていき、灼熱の太陽の下にいるかのように感じ始める。


エスカノールじゃないのか? 無慈悲な太陽(クルーエルサン)しちゃうのか?


 そんなことを考えている間にも俺の体のいたるところから汗がまるで滝のように出始める。


 このままでは脱水症状になってしまうな、今OS1を飲んだら多分甘く感じるだろう。ちょびっと現実逃避していると、羽ばたいていたはずの奴の翼が静止すると同時に、その疑似太陽のような状態でそのまま飛び込むように俺に接近し始める。


 よく見るとかなり距離があるはずなのに奴の通過している下の地面付近が溶岩のようにドロドロになっている。


 このままだとマジのスライムになってしまう! 


 俺は即座にイマジネーションを働かせ粘土を作るイメージをしながら、それをさらに固くて大きなものになるように思い浮かべて、


「創造魔法!」


 その場の地面が隆起するかのようにしてかなり幅のでかく、そして高く、厚さも太くした防護壁をその場に作り始める


 作業が終わるのを見届けると、俺はなるべく奴の死角に入る位置に着くことにした。


 そして飛来して来た奴がそれに衝突した瞬間、頑丈に作ったはずの防護壁がまるで氷が溶けるように、衝突音と共に溶解していく。


 ちなみにこの防護壁は防波堤を意識して作ってみたのだ。


「あれはガチヤバイ......というかアスナさん遅すぎ。はよ来んとマジで死ぬ」


 どうやら先ほどのフラグは死亡フラグだったかもしれない。


 俺は一人ブツブツと独り言のように呟いていると、防護壁を溶かし終えた奴は俺が死んでいないに気が付いてたのか、周囲を見回して俺を発見すると同時にその状態のまま俺にかなりのスピードで近づいてくる。


 仕方ないと俺は諦めて奥の手を出そうとしたがその前に、


「神ノ慈悲零!」


 それと同時に奴に、先の戦いであるセスの時よりもさらに深みの増した赤い雨が降り注いだ。


 しかしそれは奴の鱗の表面を溶かすぐらいの効果しかないように見えた。


 やっぱあの鱗を固いそうだな。


「あれだけでは終わりませんよ」


 俺の心を読んだのか使用者であるアスナの宣言通り、洞窟の上に先ほどの雨を降らした真っ黒な雲の中に光の筋が見え始めた。


 奴を見ると先ほどの攻撃を警戒しているのか、体を元の状態に戻して俺達の方を睨んでいる。


 そして雲の中に光の筋がその数を徐々に増やしていきそして遂には、


「ゴロゴロ......ドーーン!!」


 閃光が見えると次に巨大な一筋の光が音を置き去りにして奴の脳天目掛けて落ちた瞬間に、遅れてその轟音がその場に鳴り響いた。


 その一部始終が見ることができたのはのは動体視力が大幅に上がったおかげだな、それに加護のおかげで感電は免れたが......それにしてもすごい威力だ。


「あんなん落とせるから、いつもあんな感じで俺にも落とすんだな」


 その流れでついうっかり口が滑って事実を口にしてしまった。


 仕方ないんだ......俺の口は真実の口なんだから。『*ただし、口に手を入れても噛んだりしません。だからといって手を入れてしまうと戻すので絶対に手は入れないでください。 真実の口共同会代表より』


「ユウト様、これが終わったらお話があります」


 結果、先ほどの雷以上の何かが降ってくること確定した。


「まあそれは良いとして、奴には斬撃系の攻撃は効果がないからそこんとこ注意を払ってくれ」


 俺はアスナの雷を避ける為に、避雷針を立てることに成功する。


「それは良くないとして、ということはユウト様の黒刀や私のセレーネは使用しても意味がないということですね」


 しかしどうやら不良品だったようでその役割を果たさなかった。


 やっぱり良くはなかったかー。


「あぁその認識でいい」


 アスナの雷を落とされた奴のことが心配になったので、視線をそちらを向けてみると案の定奴は頭付近が少し焦げており、それに対して怒っている様子で俺達のことを真っ赤な目で睨んでいた。


 勘違いしているところ悪いけど、今の攻撃は俺じゃなくてアスナの攻撃だからな。


 ついでにこの後、今以上の雷が落ちるの確定しているんだから、お前の方がまだマシだから。


 そんなことを考えていると、奴がすぐに高く飛び上がり再度口の付近を赤く染め始める。


 彼女はこの攻撃については知らないだろうし注意しておくか。


「アスナ、奴は口から隕石みたいものを出してくるから注意してくれ」


 今更だけど、隕石の大きさと奴の口の大きさが一致していない、どういうことなんだ? ......ツッコムところがかなりズレている。


「ならとっておきのがあるので大丈夫です」


 そう言ってアスナは一歩前に出ると、


「流星群零!」


 突然竜神のさらに上の真っ暗な暗闇に赤い光が徐々に増え始めて、初めは赤い蛍とか珍しいなあ~と呑気なことを思っていた。


 そして最終的には100を超す大小さまざま赤い光が、まるで夜の空に散りばめられたような風景になる。


 その光景はまるで空気の澄んだ森の中で、真夜中に一人ハンモックに横になりながら空を見上げるように綺麗な風景だ。


 美しい......ビューティフォー! そんな感想を抱いていると、


「落ちろ」


 アスナがそう言った瞬間、その赤い光が少しずつ大きくなり始める。


「なんかさっきの隕石よりでかいように感じるだが......」


 それは先ほど竜神が放った隕石の倍以上の大きさと熱量を持っているように見える。


 初めは真上で起こっていることに奴は気づいていない様子だったが、何故か真上から光が見えることに気が付いてたのだろう、そのまま上を向いたその瞬間奴の頭と同じサイズの隕石が奴の顔に衝突した。


 どうなったのかなあ~、気になっちゃうなあ~、顔大丈夫かなあ~と思ったのもつかの間、すぐに残りの隕石約100発が奴だけを集中砲火するがごとく衝突し始める。


 隕石が連続して衝突しているのでその場を絶え間なく光が覆っているので、俺はサングラスを創造してその光景を見ることにした。


 そのおかげで奴の今の状態が少しだけ見えます......かなり悲惨です......大地さん以上ですね。


 俺の竜神鑑賞をアスナは呆れを通り越したのか、完全に無視していますね......これは......いつも通りです。


 そして100を超す隕石がなくなると同時に竜神鑑賞もフィナーレを迎えたので、俺はサングラスを外して収納魔法を使って収納しておいた。


 そして気になる竜神を見てみると......。


「あれって生きてんのか?」


 俺はかなり可哀そうなものを見るかのような目をして、アスナにそう尋ねた。


「生きてるんのではないでしょか、今なお飛んでいますし」


 今の奴の姿は、まるで体のあちこちが食われたかのように欠損していますね......実に哀れです......気になるお顔については......ノーコメントで。


 だがよく見ると一部だけ無傷なところがあった。


「多分ですが、あの黒い宝石のようなものが核ですね」


「核ってなんだ?」


 俺の知っている核は細胞の原形質内に存在していて、その細胞の活動を統制し,増殖と遺伝に中心的な役割を果たす小体であることぐらいかな......かなり詳しいですね......ウィキ情報です。


「簡単に言うと、あれそのものが心臓と思ってもらっても結構です。通常のモンスターはあれほどの状態なら死んでいますが、再生系の得意なモンスターには時々あのような石のようなものを持っているものがいるのです」


 つまり心臓剥き出しってことかよ......ウェルカムトゥーアウンダーグラウンドと言っているようなもんだろ。


「なるほどな。と言うことはあれを破壊すれば、俺達の勝ちってことでいいんだよな?」


 俺のその認識にアスナは考えるかのような難しい表情になる。


「う~ん通常はそうなりますが......あのような神話系のモンスターになると特殊な条件が必要となります。加えてあれだけの攻撃を食らって無傷となると......かなり難しいですね」


 そんな会話をしている間も奴の体は少しずつだが再生しつつある。


 やはりあのスキルを使うしかないか! となろう系主人公の真似をしている時だった。


「良かった! 間に合った!」


 その声に気が付いて振り返るとそこには、来ないはずであった竜人の里の守り人であるシスコン野郎ギルがいた。


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ