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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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救出

 

 竜人の里を出た俺とアスナは、ガラナさんから教えてもらった道順で竜の寝床に走って向かっている。


 そして、残り半分ぐらいに差し掛かってた時だ。


「ん? あれは、たしかケイリーさんか?」


 進行方向から、以前世話になった彼と似ている兵士さんが、こちらに歩いてくるのに気が付いた。まだ距離があるのであちらは気づいていないのか、少し落ち込んだかのよう下を見て歩いている。


「多分そうですね。一度声を掛けてみましょうか」


 そう言って俺達が彼に近づくと、あちらもこちらに気が付いたようで手を振ってきた。


「おーい! あんたらエレナの嬢ちゃんを救いに行くんだろ!」


「あぁそのつもりだが、何か問題でもあるのか?」


 もし彼が止めようとするなら、彼を倒すというよりも気絶してもらってでも先に進むつもりだ。


 だがそんな心配は杞憂に終わる。


「頼む! 早くあの子の元に行ってやってくれ! まだ間に合うかもしれない!」


 彼の嘆願するかのようなその姿に少々驚いてしまう。まるで自分のことのように言っているような気がする。


「普通は止めるべきじゃないのか?」


 彼も俺の言いたいことが分かったのか、納得している様子だ。


「うちの娘があの子と仲が良いから、こんなことで死なせたくない! ただそれだけだよ」


 おぉなんかかっけーな、自分の仕事じゃなくて、娘のことを第一に考えているのか。俺も将来こんな大人になりたいぜ! つまり異世界で孤児院でも開いちゃおっかなあ~、マサツグ様になっちゃおっかなあ~。いや待てよ、俺の場合『異世界で老人ホームを開いたけど、誰一人巣立とうとしない件』になる可能性が高いな。筆頭はガラナさんである、それに続いて競輪ジジイ(地球人)とどんどん連なっていくかもしれない......やっぱ諦めるか。


 というわけで一旦落ち着いた彼を安心させるために、


「安心してくれ。すぐに向かうから」


 俺はそう言うとすぐにアスナと彼が歩いてきた道、竜の寝床に向かって走り出した。


 その時後ろから、「二人ともありがとうぉぉぉぉ!!」という感謝の声が聞こえてきたので、俺はかっこよく腕を上に突き上げたのだ。ただし腕にはバツ印はついていないから注意をよろしく。








「ここが竜の寝床って言う洞窟か、リアムのとこの扉よりもでかいな。」


 というわけでやって来ました新世界でななく竜の寝床。俺達の目の前にあるその洞窟の入り口は、以前リアムがいた扉よりも一回りも大きかったのだ。


 アスナも俺同様に驚くかのようにしている。


「ということはそれに見合った大きさのドラゴンということでしょうね」


 たった今竜の寝床に到着した俺達は、ダンジョンの経験を生かして、そんな会話をしていた。


「もしかすると竜神っていうからには、リアムとかの知り合いかもしれないな。」


「安易ですが、たしかにそう考えるのが妥当ですね」

 

 たしかリアムは黒竜神、彼の姉は白竜神、そして今回の相手は竜神である。三者それぞれの異名の中に竜神とあるからな。



 だがとりあえず先に進まないと分からないからな。


「俺が先行する、だからアスナは後方を頼む」


「分かりました」


 前方を俺、後方はアスナのスタイルで俺達は洞窟の中に入ることにしたのだ。


 中はダンジョンのフロアと違い、岩がむき出しでかなり荒れる様子に加え、同じような広さの道が何本かあったので、どれが竜神がいる場所への道か初見では分からないだろう......チートがない限り。


「おばあちゃんの描いた地図だと、こっちからでも行けるらしいな」


 俺達はガラナさんに描いてもらった地図チートを頼りにしながら進んで行く。


 こんなことまで知っているとか、ホントあの人は何者なんだよ......。


 時折風の音やコウモリが飛んでいくのに気が付く。なんかその音が何かの生き物の声に聞こえてくるなあ、たしかこの洞窟内部には竜神以外のモンスターは住んでいないと言っていたからな。それにそんな奴が住んでいる場所にモンスターも寄り付かないだろうしな。


「そろそろ最奥かもしれないから気を引き締めるぞ」


 俺が小声でアスナに声を掛けた


「分かっています」


 アスナの返事を聞いた俺は再度奥に向かって歩みを進めた。


 すると最奥だと思われる場所に近づくにつれて徐々に壁が発光しているのか、赤い光を出して周囲を赤に染めている。


 そして一番奥だと思われる場所に到着すると同時に、俺達はある巨大な生き物を見つけた。


「あれが話に出てきた竜神って奴か」


「みたいですね」


 案の定リアムよりも一回りほど大きく、周囲に赤い光を受けその赤みを更に増したかのよな血の色をしたドラゴンがいる。その胸元にリアムの青い宝石とは違い、赤黒い宝石のようなものが埋め込まれていた。


「エレナはどこだ?」


 そう言って洞窟の陰から見ていると、


「ユウト様! 竜神の歩いていく先に彼女が!」


 すぐにその方向を見ると、竜神の少し離れたところにエレナがいた。どうやら別の道からここに辿り着いたようだ。


 俺はすぐに新黒刀を出すと同時に飛び出して、


「アスナは周囲に注意を払ってくれ!」


 彼女の返事を聞く前に、俺はすぐに竜神の真正面に移動した。


 それに気づいて奴が動きを止めて、こちらを観察するように見ている。


 近くから見るとリアムと顔が似ているような気がしたが、その血の色の瞳に宿っている感情は野生のモンスターと同じだ。


 そして先ほどから気になっているエレナを見ると、彼女は怖いのか目を閉じている。


 まあ無理もないな、こんな奴が目の前にいるんだから。


 そう思って横目で彼女を見ていると徐々に目を開け始めて、とうとう俺と目が合った。


「すまないエレナ、遅くなった」


 俺は彼女にそう告げた。

 

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