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彼女とクラスメイト達に裏切られた絶望者は異世界を夢想する  作者: 滝 清幹
第三章:堕落した神々との戦い:アルタイル編
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アダム山脈

「アスナさん、ここってどこなんですか?」


 俺達は針葉樹のような木が生えている森を歩いており、分かり易く言うと地理の教科書で出て来るシベリアで有名なタイガのような感じである。


 そんな状況の中、俺にはあの自由落下した後の記憶が無いが、それにも関わらずなぜかアスナが機嫌が悪いのだ。


「というか先ほど俺が起きたのがクレーターの中だったんですけど、何かあったんですか?」


 このように機嫌を取っているのだが......。


「そのまま死ねばよかったのに」


「おい! あまりそんなこと言うんじゃねえ! お前は言霊魔法って言う危険なもんを持ってんだから! 俺ワンチャン死ぬぞ!?」


 てかこいつの方が格上だから死ぬ可能性が高い。

 

 そんな俺のことがどうでもいいのかアスナが満面の笑みを浮かべる。


「偶にはいい考えを思いつくじゃないですか。初めて役に立ちましたね? ユウト様」


「てめぇさっき俺が助けってやったの忘れたのか!?」


 そのせいで大地さんのお顔が惨いことに......。


「あぁそう言えばそんなこともありましたね。ありがとうございます」


 すまし顔で言いやがった。


「もう少し感謝するもんじゃないの!? 命救ったんだから!」


 ついで俺達の命のサクリファイスになってしまった、大地さんの以前顔だったあのクレーターにも感謝しとけ!


「相棒なんですから、恩の貸し借りはありませんよ」


 そんなことを言われて俺はいじけてしまう。その雰囲気を出すために、道端であった小石を蹴ろうとしたのだが、地面に埋まっていたようでそれに気づかず蹴ってしまったのだ......それも小指付近で。ステータスが高いはずなのに何故痛い、これは『タンス現象』を意識しているせいで、その時の痛みを思い出してしまうからだろう。


 その様子をアスナは、いつものように馬鹿を見るかのような目をしていたのだが、すぐその悪魔の口を開く。


「そんなこと気にするから禿げてるんですよ」


「おいなんで完了形なんだ!? まだ禿げてねえからな!」


「自身の後ろ姿を見たことないからそんなこと言えるんですよ」


「ウソ......マジで禿げてるの?」


 たしかに最近アスナとの会話で一方的な殲滅戦があったからって、俺の毛根まで殲滅されていたなんて......。


 この年で禿げるとかマジでないわと割と本気で落ち込んでしまう。


「まあ冗談なんですけどね」


 その一言で俺の我が子である毛根達が、ただいま~! といった感じで戻って来てくれたので俺は、おかえり~! といった感じで家(頭皮)に迎い入れてあげた。


「なんだよ、冗談かよ......って流せる訳ないだろうが! そんなこと世の男性に言ったら殺されるぞ!?」


 そいつらが。


 てかアスナさん強すぎ、人類最強の兵器って言っても不思議じゃない。


「言いませんよ、そんなこと」


 どうやらアスナは世の男性達が怖いようだ。


「......ユウト様以外は」


 どうやらアスナは俺を人として認識していないようだ。


「あぁそう、もういいよそれで」


 やはり殲滅戦はアスナに軍配が上がったようだ。


「それで先ほどの質問の答えなんですけど......」


 彼女は先ほどから目の端に留まる山脈を見ながら、


「多分ここは『アダム山脈』ですね」


「へー、なんで分かんだ?」


 そこには山々が海のうねりのように波を果てしなく重なり合って、次第に遠く春霞のなかに溶けこむような、そんな壮大な風景を見ることができる。その壮大さがその『アダム山脈』の歴史を物語っている、そんな風に感じたのだ。


「あの山の側面付近を見てください」


 そんな声が聞こえたのでその指示に従い、アスナの指差さす方を見るとぱっと見高度10キロ程の全体が雪で覆われている山が見え、その側面をよく見ると......。


「なんかかなり大きく抉れてんな。何かあったのか?」


 山の側面付近がぱっと見、2キロぐらい抉れているのだ。


「神話より昔、創世記というものがあったらしいですけど、その時のある神が何かと戦ってあのようなことになったらしいです」


 創世記って神話より昔ってことは、リアムもまだ生まれてないということか。


「神の創造物という意味でその名が付いたそうです」


「そうなのか~」


 まるで旧約聖書に載っているアダムを意識しているみたいだな。


 そんなことを考えているとアスナがある重要なことを口にする。


「ここがアダム山脈ということは竜人族が住んでいますね」


「竜人族ってリアムが話してた奴か?」


 あの時のリアムの表情マルフォイは決して忘れはしない......というよりもその原因となった存在のことをだな。


「そうですね」


「......もしかして、リアムのねえちゃんもいんのかな?」


頼むから竜人族の住むところにそのお方がいませんように! いたらリアムと同じ運命を辿ってしまうからな。 

 

そんな俺の最も懸念している疑問にアスナは一度考え込む。


「ん~そうですね。たしか......神話によると白竜神はいつも天空を飛んで世界を見守ってたと書かれています」


 よかった~、リアムの話を聞いたから俺もそのお方に会ったら、ワンチャン割と本気のサンドバックをさせられていたかもしれんからな。それにしてもリアムの話を聞いたからなのか、見守っていたというよりもサンドバックを探していたという感じに聞こえてきてしまう、こういうのを一知半解というのだろうな。


まあそれはともかくそのお方がいないと分かったら、話は決まったようなもんだ。


「なら仕事ついでに、その竜人族ってのに会って見るか」


「それがいいですね」


 そういう訳で最初の第一村人は竜人族に決定した。

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