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それでも私の世界は美しいものに囲まれる。

久々更新です。

「ルナマリアちゃんだよ。」


にこにこと微笑む父様が連れてきた少女は美しく可愛らしかった。

母様や兄様に似た美貌。

私にない金の髪。三人が居たら間違いなく家族に見えるだろうなと思った。

ちょっとした嫉妬をその時私は覚えたけれど、その少女の悲しそうな目やなにかをこらえるような顔に嫉妬も吹き飛んだ。


何とかしてあげたい。


笑った顔がみたい。


思わず伸ばした手で頭に触れる。

びくりと少女…ルアが震えたが構わずちからいっぱい撫でて声をあげた。


「イタイノイタイノトンデイケ~!」


悲しい時や痛い時にミチルが言ってくれる私の魔法の言葉。

ポカーンとしたルア。

美少女は間抜けな顔も美少女でした。


「変な子。」


そして声まで美しい。



☆☆☆



「リコって変な子ね。」


「ルアは可愛いね。」


幼い二人はすぐ打ち解けてルアが帰宅する頃は大の仲良しになっていた。

また遊ぼうね、またね!迎えに来たルアの父様はビックリするくらいの美形の父様の親友だった。


私の手を繋いで一緒に見送った父様が尋ねてきた。


「リコ、ルナマリアちゃんの事どうおもう?」


「すっごい可愛いね!

でもちょっと泣き虫でわがままかな。でも可愛い!」


私が元気いっぱい答えると、父様は優しく頭を撫でてくれた。


私と同じ髪と瞳の色。

母様にはちっとも似てない私はよくからかわれたけど父様と同じ色を持てたことは嬉しかった。

父様の回りはキラキラした人やキラキラした目の人が沢山いる。

その人達は皆、父様に似た私を誉めたり可愛がってくれる。

綺麗なモノ、美しいモノになれなかった私。

それでも受け入れてくれる人が家族や屋敷のみんな以外にいるのはその時の私にしてみたら大きな事で。

今でこそ達観した気持ちになっているけど、小さい頃は些細な一言やちょっとした悪意にもいちいち傷付いて、その度にミチルが魔法の言葉をかけてくれた。


「それでね、父様や母様の娘だからじゃなくてね、リコと仲良しになってくれたの!

ルアも一緒だっていってくれたんだよ!大好き!」


誰かのついでじゃなく私を大切にしてくれるのは家族以外でミチルの次がルアだった。

幼いながら私は思った。

大好きな大切な私の友達の側にずっといたいと。




☆☆☆


「貴女はルナマリア様にふさわしくありません。」


「彼女にいつも引っ付くか隠れるしか能の無いくせに。」


「お前のような凡庸な人間が彼女の側にいることすらおこがましい。」


「邪魔なんだよ。」

「金魚のフン。」


「ルナマリア様にはお優しいから言えないだけで貴女と縁を切ることを望んでいますわ、ええ、私には分かるんですのっ!」


「殴られたくなかったらさっさと彼女の前から消え失せろ。」


「醜い者は去れ」


学校に通うようになると、ルアのファンや信者が増えて私への当たりはきつくなった。

ルアは外面天使、中身は益荒男(ますらお)なのでその度に御立腹し暴れまわった。

男はグーか脚で、女は平手で容赦なく文字通りぶちのめして。あるいは精神的にズタズタにして。


そして言うのだ「嫌いにならないで」と。



ルアが思う以上に私が彼女を思っている事が分からないようだ。

それでなかったら、とっくに疎遠になっている。

そうでなければ、隣にふさわしくありたいと色々頑張ったりしない。

だから私は言うのだ、綺麗でも美しくもないが精一杯の愛情と優しさをこめ微笑みながら。


「いつだって大好きだよ、私の王子様。」





☆☆☆



今にして思うと、親友に向けた思いは恋ともいえなくもないのでは?とふと気付く。

よく恋物語にはあるではないか、『愛があればどんな苦労だって~』と。


なんてこった!

私失恋したようなもんじゃないか!



ふて寝していた私はあまりの衝撃に父様の元に行って洗いざらいぶちまけた。


「それならばお嬢さん、新しい恋を見つけるべきですよ!」


先ほどお茶を持ってきた父様信者がまだいたらしい。

彼はにっこり微笑むと、参加してくださいね~♪と部屋を出ていってしまった。

なんなのだ。



「彼はね~城の舞踏会の誘いに来たんだよ。リコが調子悪いなら不参加にしようかなぁと思ってたんだけど…」


「えっ!?ご、ごめんなさい…出たくなかったんだよね…」


「いや面白そうだから参加しよう!

そして婿殿(笑)に報告してあげたいな。

リコがモテモテだったって。」


だから頑張ってね、モテモテ。とにっこり笑う父様は、優しいけれど黒いオーラがみえかくれしていて。

やっぱり行きたくないヨ、とは言えなかったのでした。

益荒男…強く勇ましい男。(笑)

ケーキだと思ったらステーキだった、そんな少女のルナマリアさん。


投げっぱなしのルナマリアのフォローをリコがするうち、ファンや信者はルナマリアとリコリスの友情を見守るの会となっていった。

はたから見ると限りなくゆりカップルに近い二人。

もうお前ら結婚しちゃえよ、なほどの仲の良さです

ルナマリアに恋愛がらみで近付こうとするのは本人がどうにかするだろうからと基本放置でしたが、

リコに近付こうとするやからは見守る会が全力で阻止したり、リコがあーまたルアに近付きたいから私に声かけてきたのね~と思い込む事でスルーされてきました。

そこそこモテる要素はあるのに自分で潰す恋愛フラグクラッシャーなリコリスなのです。

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