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第7話 ミシュリー=ミシュリーヌの炎のチャレンジャー!これができたら一人前!

 果ての魔女で、予言の魔女で、炎の魔女で、自称この国で一番可愛い魔女のミシュリーは、木製の拡声器(?)のようなものを持っていた。


 「さぁやってまいりました!『ミシュリー=ミシュリーヌの炎のチャレンジャー!これができたら一人前!』

実況はこの、ミシュリー=ミシュリーヌ=トーレスプーシュちゃんが務めさせていただきます♡」


「いぇーーーい!!」

 いや、「いぇーーーい」じゃないんだよトワリもまーくんも。これは遊びじゃないんだぞ。わかってんのか!?すっごい笑顔じゃんか!


「ミシュリー。つまりこのアスレチックみたいなのをクリアできたら、俺の触手の扱いや、魔法の扱いが鍛えられるってことでいいんだな?」

「あーーっ!コトブキちゃん!なんで出場者が説明しちゃうのよー!それはミシュリーの仕事なのよ!もっとエンタメに振り切りましょーっ?☆」

「これ、特訓なんだろぉ!?なぁ!俺がおかしいのかなぁ!!?」


「ということでルールは簡単。アスレチックのゴールまでたどり着いて、ゴールにあるスイッチ(木材)をガチャンと押すだけ!果たしてコトブキちゃんは、見事、ゴールまで辿り着けるのかー??」

「きゃー!陛下ー!頑張ってください!!」

「…………」


「ちなみに!アスレチックの下の泥水に落ちたら、自力でスタート地点まで戻って、はじめからやり直してもらいます!ヘルメット(木材)も、しっかりかぶりましたか??」

「ああ。この動きやすそうな服もありがとな。……え、ミシュリー、もしかしてこの服、このために事前に用意してあったってこと??」


「それでは!!最初の挑戦です!!!すたーーーーとぅぉおおおおおおぅ!!!」


 一体何なんだよ。とりあえずゴールを目指して進むか。

 アスレチックは、巨木や蔦で作られた、極めて上級者向けの代物に見える。これ、アスリートじゃないと超えられないのでは??


 現世で見たことのあるテレビ番組よろしく、飛び石のような木材や、かなりの腕の力や握力がないと越えられなさそうな雲梯、結構な高さから吊り下げられたぶっといロープ(蔦)などがあるようだ。


「おーし行くぞ。立派な王になるためだ!そいっ!!」

 まず俺は、左右に2つずつ斜めに配置された木材を、ぴょんぴょん蹴って向こう岸に渡るタイプのアスレチックの攻略を試みた。


 スタート地点の足場から助走をつけて、左側の木材に向けて跳ぶ。うん、届きそうだ。

 俺の左足は、順調にはじめの木を蹴って、次の木の方に向かって行ける筈だった。


 まさか、こんなことがあるだろうか。いや、現世で生きていたときも流石になかった。

 俺がジャンプしてから、俺の左足がはじめの木を蹴るまでのその一瞬の間に、俺の左足の着地地点に、ピンポイントで、おっきめの鳥の糞がボトリと落ちてきた。


「?????」

 俺の左足は、木材の上の鳥の糞を力強く踏んだ。当然、俺の履いている運動靴(これもミシュリーが用意しました)は、その糞のせいでズルンと滑る。

 あとはもうどうしようもない。俺は無様に泥水の中に落ちるしかなかった。


 ドポン!


「キャハハハハハ!!!っハァーー。落ち方wwwwww」

「ぶはぁ!どうなってんだミシュリー!こんな不運今までで初め……おい笑い過ぎだろ!!」

「ハァー、おかしいwww コトブキちゃん、この森に入ってから、不運の振りかかり方が今までと違ってなかったかしら??」


「確かに、いつもより頻度も質も酷くて、大変な目に遭ったぞ」

「そう。恐らくこの森の魔粒子が、その触手の能力を増幅してしまっている。特にこの場所の魔粒子の濃さは半端じゃないよよ。だから、ぶふっ、この後もチンチン丸ちゃんに不運が振り注ぐと思うわ!」

 途中我慢できなくて吹いてるじゃんか。


 不運が強力になっている??どうすれば良いんだ。対処法がわからん。この訓練の目的は何だ、果ての魔女さんよ。


 泥水の中をにゅろにゅろ歩く。そこまで重たい感じではないが、繰り返したら体力を持っていかれそうだ。

 俺はえっちらおっちらスタート地点に戻ってきた。


「ミシュリー、もうドロドロになっちゃったんだけど」

「大丈夫よ!終わったら洗うし、ステージはいくら汚してもいいから!」

「このまま続けろってことね」

 ミシュリーはまたも笑顔で「どうぞ」と手のひらをこちらに向けてきた。その、たまに笑顔で無言になるのなんなんだよもう!


「仕方ない、いったる!!」

 俺は空を見上げた。鳥は見当たらない。よし、行くぞ!

 また助走をつけて第一歩を踏み出した。今度はヘルメットの隙間に挟まっていた泥が、踏切の瞬間ボトッと落ち、それを跳ぶための右足が思いっきり踏んでしまった。いやいや、何故泥が前方向に落ちる!?不自然じゃないか!?


 ずるぅっ!!!


 俺は足を滑らせ、今度は1つ目の木材に届く気配もなく、正面の泥沼にドボンしてしまった。

「アーハッハッ!!ヤバいかもこの特訓!!腹筋、もつかしら!!」

 ミシュリーは腹を抱えてゲラゲラ笑っている。

 どうしよう。俺この特訓、思ったよりも辛いかもしれん。


 しかし、ミシュリーのことだ。必ず何か大切な意図が込められているはず。早くそれを見つけて、降り注ぐ不運の雨をなんとかしなければ……!

 し、しんどいから!

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