地上2
命懸けの任務では無く、予定通りの訓練に安堵する生徒達。
事前にシミュレーションでの訓練もし、ペース配分もしっかりと身に染みさせて完走もしている……下準備はバッチリで苦戦をする理由は無い。
これなら何も問題無く、この訓練を終えられる……
「油断するんじゃない!!RLが来なくても、お前達の気の緩みで、大怪我をする事だってあるんだぞ!!」
「「「申し訳ございません!!」」」
「これから食堂にて食事を取る。その後は、この任務の注意点を確認し、それが終わり次第出撃する事になる」
「「「了解!!」」」
気が緩んで観光気分になり掛けていた所に、ユナの檄が飛んで、全員の顔が今一度引き締まるのであった。
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『ブロォォォォォ』
軍用のトラックが走る。
これから任務に赴く、四人の兵士を乗せたトラックが走る。
パワードスーツを着た兵士達はヘルメットを外した状態で、向かい合う形で荷台に乗っていると、
「ふぅ……」
一人の兵士が溜息を付くのであった。
「火内君、緊張してる?」
「……緊張してる」
「緊張するのは、悪くない事ッスよ。それだけ警戒してるって事スから」
少し早い昼食を取り終え、今回の任務の概要、注意点を聞かされたのだが、それが心配を生んでいた。
正味、任務の概要というのはオマケみたいなもので、注意点というのが主な話。
救難信号の出し方、発煙筒の使い方、怪我をした時の応急処置、自分達が中央基地に向かうはずなのに、何かあったら救助隊が来るとか……何かあった時の話を、気が滅入る程に聞かされた。
「大丈夫だよ!!私達四人なら問題無く中央基地に辿り着けるよ!!」
「……そうだよね」
「そうッス、小此木なんて気持ち良く寝てるんスから」
「ZZZ……」
何も緊張しているのは火内だけではない。
昼食を取って、教官達の話に神経を研ぎ澄ませて話を聞き、重い空気から解放されたら、小刻みに揺れて心地良いトラックに乗せられて……これで眠くならないのはリナとミィオも、何だかんで緊張しているからであり、唯一緊張していないのは、
「おかわり…おかず多めで……」
「……帰ったら酢豚のパイン多めを作ってあげるよ」
気持ち良く夢を見ている小此木だけ。
こんな状況でも眠れるのは神経が図太いのか、吞気なのだろうが、
「お肉たっぷりが良いッス」
「アタシは全部盛で!!」
「この任務が終わったら、特別支給があるらしいから、大盤振る舞いするよ」
「やったぁ!!」
三人で、呑気に寝ている小此木を見習って、気を紛らわすように吞気な話をして、時間を潰していく。