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愛犬のクッキー  作者: Satoru A. Bachman
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 翌日、ひまわり霊園の移動火葬車が来て、家の前でクッキーを火葬した。西野夫妻と一緒に天国へ行くクッキーを見送った。火葬炉に運ばれていく台の上にクッキーを乗せる前に僕はまたクッキーをきつく抱きしめた。涙が止まらなかった。たまたま通りかかって、そこに居合わせた山本がそばへ寄ってきて、僕の肩に手を置いた。亡き骸を台の上に乗せると、民子が摘んできてくれた花でクッキーの体を包み込んだ。僕は西野夫妻と山本と一緒に火葬炉に入っていくクッキーを見送った。


“16年間ありがとう、クッキー。こないだは、怒ったり、蹴っ飛ばしたりしてごめんな。お前がゾンビ犬になろうが、噛みついてこようが、ずっと愛していたよ。そりゃ、西野夫妻がさくらを可愛がっていたみたいに家の中で飼って何でも至れり尽くせりっていう感じな愛し方ではなかったけど。

この先の人生で、夢が出来てそれを叶えたり、また好きな人が出来て恋が叶うようなことがあったとしても…

どんなに素晴らしいことが待っていようと、クッキーとの思い出に勝るものはきっと無い。僕の10代と20代の思い出の中でクッキーはずっと生き続ける。永遠に”


心の中でそう思っていたら、この間クッキーが嚙みついた僕の親指の付け根の傷が心地よくじんと痛んだ。そのとき、昨夜に夢の中で聞いたクッキーの声がした。


“ご主人様がどこにいても、何をしていても、私はずっとそばにいるよ。

いつでも振り返ってごらん。私はいつでも笑ってご主人様のことを見てる。そして、大切なことを思い出させてあげる。だから、いつまでも忘れないでね”


 僕の胸は沢山の宝物であふれていた。

普段から自分のそばにいる当たり前の存在こそが一番大切にして、愛すべきものなのだ。何があっても。





 美船市を襲った謎の狂犬病は収束し、5月の末には、全国でコロナウィルスの感染報告数も減り、休業期間が終わり、ほぼ普通の生活に戻っていった。




The end


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