第58話「ライバルたちの新たなる力!」
——全国大会三日目。
全国大会はその試合総数から八月の前半にかけて行われるが、その中でも一回戦は一番の試合数が多い為、こうして数日に分けて行われることになっていた。
そんな中、遂に自分たちの番が回って来た焔とマーズは今現在、バトルフィールドへと繋がる選手用の通路にいた。
「良し! マーズ! いよいよ全国大会の始まりだよ! 去年は一回戦で負けちゃったけど……今年は絶対に優勝して、高校生チャンピオンバディになろう!」
「ええ、焔君! 美月ちゃんたちと出会ったことで、去年までとは見違えるくらい強くなった今の私たちなら、きっと手が届く筈よ!」
焔とマーズが優勝を誓い合っていると、選手用の通路に誰かがやって来た。
「お〜い、焔!」
「よっす!」
「麗兄ちゃん!?」
「それにウラノスも!?」
現れたのは従兄弟である麗とウラノスだった。
「従兄弟として個人的な激励に来たぜ! ここならプライベートな話をしても、俺と焔の関係が周りにバレることはないだろうからな!」
一緒に控え室に居たのにも関わらず、麗たちがわざわざこの場所までやって来たのは、どうやらそれが理由らしかった。
「頑張れよ、焔! それにマーズも! 焔が以前相談して来た子……美月さんとはまだ引き分けが最高で、一度も勝てていないんだろう? だったらこの全国大会の舞台で初勝利を飾るんだ! 俺たちがかつて、ネオンたち相手にそうした様にな!」
「だがその為には、焔たちと美月たちの両方が決勝戦まで勝ち上がらなきゃいけねぇな? 道は険しいぜぇ?」
ウラノスの言う通り、全国大会のトーナメント表の山を二つに分けると、片方の山には焔たち、輝たち、王牙たち、歌たち、御影たちが、もう片方山には美月たち、小春たち、冬馬たち、咲良たち、秀次たちが振り分けられていた。
つまり焔たちが美月たちとバトルするには、同じ山に振り分けられた先輩たち、その中でも一番の壁である高校生チャンピオンバディの輝とヴィーナスに勝って、決勝戦に進む必要があった。
でも美月たちの方も大変だろう。向こうの山には去年の準優勝だった咲良とキャンサーに、中学生チャンピオンバディの夏凛とジェミニ、さらに自分の幼馴染でありライバルでもある冬馬とマーキュリーに、小春とジュピターがいるのだから。正直に言って、誰が勝ち上がって来るのか全然分からなかった。
だから……。
「うん! 勿論、俺も美月とサターンとこの全国大会の舞台でバトルしたいって言う気持ちはあるよ! だけどそれは、冬馬とマーキュリー、それから小春とジュピターに対してもあるんだ! だから俺は誰が勝ち上がって来てもバトルできる様に、今は目の前のバトルに専念することにするよ!」
「ああ、頑張れよ、焔! 応援してるぜ!」
「それにマーズもな! 期待しているぜ!」
麗たちはそう激励すると、この場から去って行った。
それを見届けた焔は改めて相棒のマーズへと声をかけた。
「良し! 行こう、マーズ! 俺たちの新しい伝説の続きだよ!」
「ええ、焔君!」
「「——マジカルチェンジ!」」
*****
『——さあ、全国大会高校生の部の一回戦☆ 続いての試合は、ミライトウキョウ校の七位で一年生の赤火焔君とマーズちゃん☆ そして、シゼンホッカイドウ校の七位で二年生の牝牡牛闘子ちゃんとトーラスちゃんのバトルだよ☆』
MCのステラが選手の紹介をする声が聞こえて来る中、『荒野』のバトルフィールドに姿を一新したブラッドマーズが立っていた。
ブラッドマーズは機体のベースの部分はそのままだったが、元々装備していた長い杖のブラッドロッドと、腰のリボンのブラッドリボンに加え、新たな武装として短い杖の『ブラッドステッキ』と、真紅の翼である『ブラッドウィング』を身につけていた。
ちなみに今回のバトルフィールドの『荒野』は、目立った障害物が無い一番プレーンな物で、焔たちが美月たちと最初にバトルとした時も、学園リーグ戦でバトルした時も、これだった。
そして障害物が無い故に、対戦相手の闘子たちの機体の姿も既に見えていた。
登録されたプロフィールによると機体名は『レイジトーラス』。
レイジトーラスは緑を基調とした、闘牛の様な機体で、全身を重装甲で固めており、頭部の大きな角や両肩のシールドなどについたスパイクが特徴的だった。
さらに主武装として身の丈に迫る巨大なハンマーの『レイジハンマー』を装備しており、その見た目からして近距離戦闘に特化したパワー型の機体の様だった。
するとそんなレイジトーラスに乗る闘子たちから、相手の顔が見える個別回線が繋げられて来た。
『もしもーし? 聞こえているだべさ?』
「は、はい! えっと……」
『こうしてバトルするのは初めてだべさ? 初めまして! オラは牝牡牛闘子! シゼンホッカイドウ校の七位で二年生で、実家は牧場をやっているだべ! それで彼女がオラの相棒の……』
『よっ! アタイが闘子の相棒のトーラスだ! お互い良いバトルにしようぜ!』
闘子は黄緑の髪をポニーテールにした、緑の瞳を持つ少女だった。
その友好的な性格と活発そうな見た目から、どこか親しみすい雰囲気をしていた。
そんな彼女の相棒のトーラスは、黄緑の髪に、青い瞳をした少女で、姉御肌の様な性格をしていた。
それから焔とマーズも名乗りと挨拶を返しておいた。
「よろしくお願いします、牝牡牛先輩!」
『闘子で良いだべ! 焔君! お互いけっぱるべ!』
闘子たちはそう言って通信を切った。凄くフレンドリーな人たちだった。
すると丁度、バトルの開始の時間となったことで、MCのステラの声が聞こえて来た。
『それじゃあ皆お待ち兼ね☆ バトルスタートだよ☆』
「良し、先手必勝だ!」
『一気に行くだべ!』
バトル開始の合図と同時にブラッドマーズが全身のスラスターに火をつけ飛び出すと、レイジトーラスもこちらに真っ直ぐに突っ込んで来た。
速い。でもそれはスピードと言うよりも迷いの無さと言う面が大きかった。回避など微塵も考えない攻撃一辺倒の動きだ。
このまま真正面からぶつかるのは分が悪い……。それなら……。
ブラッドマーズは牽制と相手の機体性能の様子見の為に、ブラッドロッドとブラッドステッキの両方から通常攻撃の魔法弾を連射した。
しかし……。
『無駄だべ!』
『アタイたちには効かねえな!』
レイジトーラスはその重装甲でその攻撃を受け止めた。殆どダメージが入っていない……!何て硬さだ……!
『今度はオラたちの番だべ!』
そのままレイジトーラスはレイジハンマーを振り下ろしながら突っ込んで来た。
それならこっちは……。
「マーズ! 新しいマジカルスキルを使うよ!」
「分かったわ、焔君!」
「「マジカルスキル! 爆炎の盾!」」
ブラッドマーズはブラッドロッドを振って炎が燃え上がる炎の盾を作り出した。
これは購買部で買ったメモリーカードを使って習得した一派的な魔法だった。その効果は……。
『うわあっ!?』
『チッ!』
レイジトーラスが炎の盾を殴った瞬間、爆発が起こり逆に相手を吹っ飛ばした。
これこそがこの魔法の効果で、近距離攻撃をして来た相手にカウンターを与えることができるのだ。勿論、マジカルシールドの様に普通の盾としても扱える。
チャンスだ……!
そして相手が体勢を崩したチャンスを見計らって、ブラッドマーズはブラッドステッキを構えた。
「「マジカルスキル! マーズバースト!」」
ブラッドマーズは短い杖の先端に魔法陣を発生させると、体勢を崩した相手に向かって、火の魔力が込められたビームを放った。
これは固有の魔力を利用した焔たち専用の魔法で、この前の戦いの際に、冬馬たちと小春たちと一緒に生み出した合体連携マジカルスキルのトライスターバーストをベースに生み出した魔法だった。流石に威力は元のものよりも大幅に低下しているが、それでも十分な威力と連射性能を持つ、扱いやすい魔法に仕上がっていた。
『うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』
『闘子!? チッ!』
体勢を崩している状態でその攻撃を直に受けたレイジトーラスは、そのままバトルフィールドの外壁まで吹っ飛ばされた。
相手が重装甲の機体の為仕留めきれなかったが、大ダメージを与えることに成功した。このまま一気に……!
——その時だった。
『『もおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッーー!!』』
「ーーッ!?」
「な、何なの!?」
突然闘子たちの叫び声が聞こえて来た。
焔たちが思わず目を向けると、レイジトーラスが全身から蒸気を噴出させながら、めり込んだ外壁から這い出て来た。
『よくもやってくれただべさ!! オラももう怒っただべ!!』
『ああ!! アタイの堪忍袋も切れちまったよ!!』
闘子たちは最初のフレンドリーさが消えてまるで別人の様に豹変していた。
そして、そのままレイジトーラスが再び突っ込んでくる。
大ダメージを受けた筈なのに、微塵も弱っていない。寧ろさっきよりも動きの速さとキレが増して、強くなっていた。
それを見た焔たちは慌てて短い杖を構えた。
「「マジカルスキル! マーズバースト!」」
『それはさっき見ただべ!! トーラス!!』
『ああ、闘子!!』
『『マジカルスキル!! トーラスアタック!!』』
レイジトーラスは闘牛の形をした真っ赤なオーラを全身に纏うことで、ブラッドマーズが放った火のビームを受け止めた。
その姿ははまるで怒り狂った闘子たちの様に、元の緑を基調とした機体から、真っ赤に染まった機体へと変わっていた。
さらにそのままハンマーを振り回しながら突っ込んでくる。不味い!?
「「マジカルスキル! 爆炎の盾!」」
『それもさっき見ただべ!!』
レイジトーラスは爆発に怯むことなく、ハンマーで炎の盾を打ち砕くと、そのまま頭部の『レイジホーン』と両肩の『レイジスパイクシールド』をこちらに向けてタックルをして来た。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ〜〜!?」
「焔君!?」
今度は逆にブラッドマーズが外壁まで吹っ飛ばされた。
『喰らうだべ!!』
『オラオラ!!』
さらにレイジトーラスは胸部に内蔵した四問の『レイジキャノン』を打ち込んで来た。
ブラッドマーズはブラッドウィングを使ってその攻撃を受け止め、その魔力を吸収した。良し、ちゃんと機能している。
そして相手の攻撃が一旦止んだのを見計らってからブラッドウィングを展開し、遠距離での魔法の撃ち合いを想定した防御よりの『魔法使いモード』から、近距離戦闘を想定したスピード特化の『吸血鬼モード』へと簡易変形した。
「お返しだ! マーズ!」
「ええ、焔君! 行きなさい、眷属たちよ!」
ブラッドマーズは展開した赤い翼から、吸収した魔力で作り出した蝙蝠の形をした赤いビームを無数に放った。
これがブラッドウィングの機能だ。相手の攻撃を魔力を吸収する形で防御して、その吸収した魔力を攻撃へと転換する攻防一体の機能。
『うわあっ!? オラたちの攻撃が跳ね返って来ただべ!?』
『チッ! アタイたちの攻撃を利用したのか!?』
レイジトーラスは自らのパワーを利用した攻撃をくらったことで、その場で足を止めていた。
今だ……!
「マーズ! 今度は合体マジカルスキルを使うよ!」
「分かったわ、焔君!」
「「合体マジカルスキル! マーズファイ……」」
『噂の合体マジカルスキルは使わせないだべ!! トーラス!!』
『ああ、闘子!! アタイたちの最強の魔法を見せてやろうぜ!!』
するとレイジトーラスは身に纏っていた真っ赤なオーラを解除した。
しかし次の瞬間、さっきまでのものよりも更に膨大なオーラを全身に纏った。
まるで天井まで届きそうな程の魔力だ。まさに怒髪天とはこのことなのだろう。
そのままレイジトーラスがレイジハンマーを天高く掲げると、上空に巨大な魔法陣が現れた。
そこから巨大な何かが出て来る。あれは……動物の足!?
『『マジカルスキル!! トーラスレイジプレス!!』』
そしてレイジトーラスがハンマーを振り下ろす動きに連動する様に、巨大な動物の足が地面へと降って来た。不味い!?
ブラッドマーズは咄嗟に、マーズファイア・陽炎で生み出した炎の分身を盾にした。
しかし……。
「ぐっ……!? 分身たちが一撃で!?」
「何て威力なの!?」
巨大な足が地面を踏み潰し、荒野に大きなクレーターを作った。
本体は何とか離脱できたものの、盾にした分身がその余波で全てかき消されてしまった。
『もう一発行くだべ!!』
すると巨大な足が一度上空へと上がり、再び降って来た。不味い!?逃げる場所も隠れる場所もない……!
「「マジカルスキル! マーズブラッドムーン!」」
ブラッドマーズはブラッドロッドの先端に、魔力の塊である巨大な赤い月を宿して、その攻撃を受け止めた。
本当は合体マジカルスキルのマーズブラッドムーン・暁を使いたかったが、発動が間に合わなかった。
「ぐっ……!? 耐えるよ、マーズ!」
「ええ、焔君! 踏ん張るわよ!」
反魔法の効果で、相手の魔法を乱して消そうとしているにも関わらず、あまりの威力と重さに機体が押しつぶされかけていた。特に負担が大きい機体の右腕とブラッドロッドにどんどんヒビが入って行く。
それでも何とかお互いの魔法を相殺することには成功した。
しかしその代償として機体の右腕が動かなくなった。
そして場面が一度振り出しに近い状態へと戻った。
『オラたちの魔法を打ち消すなんて、焔君とマーズちゃんはなまら凄いだべ!! だけど、オラたちだって!! けっぱるよ、トーラス!!』
『ああ、闘子!! 三度目の正直だ!! 次こそ決めるぞ!!』
闘子たちの豹変振りにはびっくりしたが、何処までも真っ直ぐなその強さは本当に凄かった。煌めいていた。
「闘子先輩とトーラスは本当に煌めき凄いや! だけど、俺とマーズだって! 今年こそは一回戦を突破して、二人で一緒に高校生チャンピオンバディになるんだ! だから……! 行こう、マーズ姉ちゃん!」
「ええ、焔君! お姉ちゃんに任せなさい!」
「「——シンクロゾーン!」」
焔とマーズは、そんな闘子たちと全国大会と言う巨大な壁を乗り越える為に、シンクロゾーンを発動させた。
シンクロ率が百パーセントのその先へと至ったことで、人間である焔の赤い瞳にも、マーズの紫の瞳の色が混じり合った。
文字通り二人で一つの存在となった焔たちは、まだ動かせる機体の左腕とマーズステッキを、膨大なオーラと共にレイジハンマーを再び天高く振り上げようとしているレイジトーラスへと向けた。
「「マジカルスキル! 爆炎の盾! +マーズバースト!」」
ブラッドマーズは生み出した炎の盾に向かって火の魔力が込められたビームを放ち、炎と火を融合させることで、二つのマジカルスキルを合体させた。
「「合体マジカルスキル! マーズバースト・花火!」」
そして爆炎を纏った巨大な赤いビームがレイジトーラスへと襲いかかった。
『ーーッ!? これは流石に不味いだべさ!?』
『危なッ!?』
その威力を悟ったレイジトーラスは攻撃を中断し、咄嗟に真横に飛んだ。
だけど……。
『び、ビームが追いかけて来るだべ!?』
魔法を放っているマーズステッキを動かすことで、その軌道を連動する形で動かす。これは厳密にはビームでは無く、ビームの剣なのだ。
『と、トーラス!!』
『チッ! ヤバ過ぎんだろ!!』
『『マジカルスキル! マジカルシールド!』』
逃げられないことを悟ったレイジトーラスは防御魔法を展開し、その身に纏っている膨大なオーラと共にその攻撃を受け止めようとした。
しかしこの合体マジカルスキルは、ただの巨大なビームの剣では無い。爆発により相手の防御を破壊するガードブレイク効果があるのだ。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ〜〜!?』
『闘子!?』
そしてレイジトーラスの防御魔法とその身に纏っていた膨大なオーラこどマジカルバリアを破壊して戦闘不能にした。
それを見たMCのステラがバトルの決着を宣言した。
『決まったー☆ 勝者はミライトウキョウ校の七位で一年生の赤火焔君とマーズちゃんのブラッドマーズだー☆ 流石はみづみづの……んんっ☆ と、兎に角☆ 凄いバトルだったよー☆』
「勝った! 勝てたよ、マーズ姉ちゃん! 初めて全国大会の一回戦を突破できたよ!」
「ええ、焔君! やったわね!」
ステラの声と観客席からの大観声が聞こえて来る中、焔は相棒のマーズと勝利の喜びを分かち合っていた。
すると対戦相手の闘子たちから、相手の顔が見える個別回線が再び繋げられて来た。
『いや〜、おめでとう、焔君! それにマーズちゃんも! わや強かっただべ! なまら凄かっただべ!』
『アタイたちに勝つなんてやるじゃねえか! 気に入ったぜ!』
「ありがとうございます、闘子先輩! それにトーラスも! 闘子先輩たちも煌めき凄かったです!」
「ええ、本当に強かったわ!」
闘子とトーラスはすっかり最初のフレンドリーな感じに戻っていた。さっきの豹変っぷりはバトルで興奮していたからなのだろうか?
すると闘子たちは何かを思い出したかの様に急に話題を変えた。
『いや〜、焔君たちと言い、最近の一年生はなまら凄いだべ〜。 オラたちのシゼンホッカイドウ校の一位も一年生なんだけど……この子もわや強いんだべ! 七月になってから遅れて編入して来た子なんだけど……学園に来て早々に、オラたちを含む学園リーグランキングトップ十全員に勝っちまったんだべ!』
『そうなんだよ〜。 アタイたちも元々は六位だった順位が一個落ちて七位になっちまったんだよな〜。 ありゃ本気で強かったぜ! アタイたちの個人的な主観だが……高校生チャンピオンバディの輝とヴィーナスよりも強いと思うぜ!』
「「輝先輩とヴィーナスよりも……!?」」
一年生ながら学園リーグランキングの一位になったのは、他にもレキシキョウト校の夏凛とジェミニ、過去の輝とヴィーナスがいた。しかも輝たちは更に一年生ながら高校生チャンピオンになっていた。
だけどそんな輝たちよりも強いと言われるシゼンホッカイドウ校の一位……。どうやらこの全国大会にはとんでもないダークホースがいるらしかった。
その事実に焔たちが驚く中、闘子たちは笑いながら声をかけて来た。
『まあ、何はともあれ……オラたちも応援しているから、焔君たちもけっぱるだべよ!』
『アタイたちに勝ったんだから、絶対に優勝しろよな!』
*****
「——これが……焔とマーズの新たなる力……!」
観客席から焔たちの試合を見ていた美月は、全国大会用に改造されたブラッドマーズや、新たに生み出された合体マジカルスキルを見て、思わず声を溢していた。流石は自分たちのライバルだ。
「焔たちは本当に凄いです……! 私たちも負けていられません……! ね、サターン……!」
「はい、お嬢様!」
——そんな美月とサターンの一回戦と、もう間も無く始まろうとしていた。




