魔術の基礎1
9時50分。
ヴィレッチ国立魔法大学院東棟の第4教室。
そこには特別クラスの三名が着席していた。
出入り口側からエレン、葵、カーラの順に座る。
何だろう。席はこんなにたくさんあるんだからそこまで近くにいなくてよくない?サンドイッチじゃん。私具材?
そんなことを葵が考えていると教室のドアが開いてレイ・ミケルセンが入ってくる。
「さっきぶりだな諸君。私が授業担当だ。授業を始める前に、一つ言い忘れていたことを思い出した。私のことはレイ教授と呼ぶように」
レイ教授は三人を順番に見て首をかしげる。
「今年の新入生は席の間隔が近いな。まぁ同じ女子同士仲良くしてくれた方が私としても助かるから結構だが。では早速授業に入る。の前に特別クラス1年のリーダーを決めたい。といっても私の頼んだことをやってくれればいい」
するとすかさずエレンが手を挙げた。
「はい!私!エレン・ウォーカーに任せてください!」
「いいだろう。二人は異論はないか?」
「はい」
葵の返事に続けるように左隣のカーラが小さく頷いた。
「それでは授業を始めよう。まず今日の項目は魔術基礎についてだ。まず前提としてこの世界には魔力というものが満ちている。それは主に二つに分類される。エレンわかるか?」
「勿論!それはマナとオドよ。マナはずばり人の体の中でつくられる。オドはこの空気中に存在している」
「その通りだ。マナは生き物の内部でつくられオドは世界が作る。オドは年々徐々にその濃度を薄めている。それはマナを使う人間の数が極端に減っているからだ。マナもオドも実際はイコールの物質だ」
そこでカーラが手を挙げた。
レイ教授はカーラに発言を許可する。
「レイ教授。質問です。つまりオドを使っても聖言をつかえるということですか?」
「残念だがそれは不可能だ。マナとオドの大きな違いとは使用時の出力だ」
「出力?」
「イメージで話そうか。マナは蛇口をひねって出る水で、オドは川の流れだ。マナは使用したい魔法に合わせて蛇口をひねり必要な量の魔力を流す。それに比べてオドは既に流れている水を利用する。オドを扱う術を訓練で誰もが使えるようになるのはこれに起因する」
「ありがとうございます」
「他に質問はあるか?いないなら先に進めるぞ。次に基礎能力について話す」
To be continued.




