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第8章「陰謀」 - 05

 「多分、鎧に仕込んだ仕掛けを見られたくなかったのね」

 「ノルフレド先生はこの留学の前には特別に親しくはしていなかったけれど、学生想いの真面目でいい先生だった。その先生がそんなこと……」


 カインリルは心を痛めた様子で呟いた。


 それを見たマナはこんな甘いことを言っていたら周りから付け入られるだけなのではないかと思ったが、こういう性格だから人から慕われるのかもしれないとも思った。


 「でも、カインリルにも心当たりがあるんじゃないの?」

 「……ノルフレド先生はもともと留学の引率をする予定じゃなかったんだけど、本来の担当の先生が足を骨折して急遽代理で引率をすることになったんだ」

 「それは今から考えれば怪しいけど、状況証拠としては弱いわ」

 「本当にノルフレド先生がやったんだろうか?」

 「それは、確かめる必要があるわね」


 そう言ってマナは首をひねった。


 「手っ取り早く捕まえて拷問すればいーじゃにゃーか?」


 ヘータがいい加減なことを言っているがマナは無視した。他国からの客人を確たる証拠もなく拷問とかしていいわけがない。


 「……よし、僕がおとりになろう」

 「カインリルさん!?」


 カインリルの爆弾発言にミレイが目を丸くした。


 「どうやるつもり?」

 「もう一度あなたと試合をする。そうすれば、またそこで同じように仕掛けてくるかもしれない」

 「それって、もう一度あたしと試合したいだけじゃないの?」

 「もちろん、もう一度あなたと試合をしたい。そして、勝ってプロポーズをしたい。だから、これは一石二鳥の案だ」


 カインリルのすがすがしいまでの空気を無視した発言に、マナは黙ってジト目を返したが、カインリルは全く気にしていないようだ。


 「犯人が本当にノルフレド先生かどうかは分からない。でも、もしそうなら何かきっと理由があるはずだ。僕はこの勝負に勝って先生の真意を聞きたい」

 「カインリルさん、ちょー危険ですよ。何を考えているんですか!?」


 ミレイは暴走するカインリルを止めようとするが、カインリルはいつものイケメンスマイルでミレイを制した。


 「この勝負、僕は勝つ。犯人にも、マナさんにも。そして全ては物語の終幕のように鮮やかに解決する。これは運命なんだよ」

 「ちょっと、カインリルさん。マナも何か言ってよ」

 「んー、いいんじゃない? その調子!」

 「マナッ!!」


 カインリルの暴走を煽るような発言を始めたマナを信じられない様子でミレイが振り返った。


 「大丈夫。危険はないわ。今度は指一本触れさせない」


 そう言ってマナがヘータの方を見たので、きょとんとした表情でヘータが返事をした。


 「にゃ。俺のことにゃのか」

 「もちろんカインリルもね」


 急に鋭くなったマナの眼光に、ミレイもカインリルも一瞬背筋がぞくりとした。これまで顔には見せていなかったが、ヘータが毒で倒されたことは内心相当怒っていたのだ。

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