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第8章「陰謀」 - 03

 「大丈夫、ミレイ。やれるよ」


 ミレイに感謝して後ろに下がってもらい、マナは再び意識をヘータに向けた。


 ヘータが自らの体に刻み込んだ身体強化の魔法は、前にオロンとの戦いで魔法を強化したときに細かく確認している。だから、魔法を同調させるにはどういうところに注意しなければならないか、もう頭では理解している。


 後はやるだけなのだ。


 マナは魔法陣に両手を置いて、深呼吸した。この先は一瞬のミスが致命傷になりかねない。マナはゆっくりと口を開いた。


 「<発現(レムス)>」


 魔法陣が光り、それがヘータの体に吸い込まれていく。


 呼吸すらもどかしい緊張の下、永遠にも思える数十秒が過ぎ去った。


 「……ヘータ?」


 台の上に横たわる子猫がゆっくりと目を開いた。


 「にゃあ」

 「よかった……」


 マナはヘータを抱きかかえると、両腕に力を込めてぎゅっと抱きしめた。


 「よかった……よかった……」

 「にゃ、やめろ、苦しい、死ぬ。死ぬにゃ」



 マナが落ち着くのを待って、3人と1匹はリビングへと移動した。


 「カインリル。知ってることを教えてもらうわよ」

 「もちろんだ。こんなことになってしまった以上は協力は惜しまない。ただ、僕も何が何か分かっていないことも多いんだ」

 「それでいいわ。まず聞きたいのは、何であの時詠唱を中断したの?」


 マナが最初に聞いたのは、交流試合の最後のところでカインリルが防御魔法の詠唱を中断して魔法の発現に失敗した時のことだ。あの不自然な中断が今回の事件の発端だったからだ。


 「あの時は詠唱中に急に脇腹に焼けるような激痛が走ったんだ」

 「鎧の中に何か仕込まれてたの?」

 「多分、そうだと思う。時限式か遠隔式の魔法陣が」

 「発現のタイミングが良すぎるから時限式ってことはないと思うわ」


 あのタイミングはマナの四連撃という大技がまさに当たろうとしているところで、カインリルが防御魔法の詠唱に入っていて中断されたら回避不能という決定的な瞬間だった。これが時限式だったら間が悪いにもほどがある。


 「まあ、どっちにしても犯人は鎧の中に仕掛けを入れた人物ってことになるけど」

 「……」

 「カインリル、何考えてるの?」

 「いや……」


 カインリルが言い淀んでいるのを見て、マナは目を細めた。


 「犯人はハンセタールの人間ね」

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