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第6章「交流試合」 - 04


 「何ですか、その言い方はっ!?」

 「ノルフレド!」


 マナの暴言にノルフレドはかっと頭に血が上ったが、すぐにカインリルに制止されてぐっと唇を噛みしめていた。といっても、カインリルの方も頬の筋肉がぴくぴくと震えていた。


 そして、学園長のニーシャはというと、笑いがこらえ切れないと言った様子で横を向いて口を手で押さえていた。


 「ぷぷ……ロリコン……変態……」

 「……トルン公まで」


 そんな学園長の様子を見て、ノルフレドは公爵嫡子に対するあまりの扱いに愕然とした様子で肩を落とした。


 「ノルフレド。この学園では身分は関係がない。ただ実力があるかどうかがすべてを決めるんだ。プレミュールと同じだと思ってはいけない」

 「しかし……」

 「それだけマナさんの実力が確かだということだよ」

 「やはり、私は納得がいきません」


 ノルフレドはキッとマナをにらみつけると挑発的に言い放った。


 「もしあなたがカインリル様と釣り合うだけの実力を持っているというのなら、今ここでその証明をしなさい。そうでなければカインリル様との試合は認めません」


 マナは思った。ここで証明を拒否すればカインリルとの試合から逃げられるんじゃないか。


 だが、ノルフレドの後ろに立つカインリルを見て、その考えはすぐに消えた。恐らくここで証明を拒否したら、この先留学が終わるまでカインリルからずっと追いかけまわされることになるのだろう。


 ただでさえカルネとバドルスに絡まれるだけでも面倒くさいのに、この上さらに面倒くさいのが増えるなんて正直考えるだけでもげんなりしてくる。


 「分かったわ。じゃ、今から攻撃するからちゃんと防御してみて。いい、今からやるから。よーく見ててね」


 そう言ってわざわざマナは手をノルフレドに見やすいように前に出して、ノルフレドが構えを取ったのを確認してから超高速の結印を披露した。


 「<発現(レムス)>」


 ノルフレドは正に目の前で実演されたも関わらず、高速なうえに見たこともない手順でくみ上げられた印だったので全く反応することができなかった。


 「ひゃあっ」

 「ひっ、冷たい!」


 次の瞬間、人の男性の悲鳴が上がった。若い悲鳴に心なしか学園長の目が輝いて見える。あれは獲物を狙う狩人の目だ。


 「せ、背中が」

 「何で僕まで」

 「なっ、何をした!?」

 「ちょっと氷を背中と服の間に忍び込ませたんだよ。ほら、最近暑いでしょ」


 マナは適当なことを言ってうそぶいているが、氷を背中に入れて涼みたいというほど暑い日であるはずがない。今はまだ春も始まったばかりの頃なのだから。


 「ちょ、ちょっと失礼します」


 そう言って部屋を出て行ったノルフレドとカインリル。近くのトイレにでも行って上着を脱いで氷を取り出すのだろう。とばっちりを受けたカインリルが哀れだったが、そこに同情するものはこの部屋にはいなかった。


 ちなみにマナは途中まで学園長も魔法の対象にしていたが、結印の途中で視線で釘を刺されたので一度入れた対象から外していた。

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