第6章「交流試合」 - 03
「カルネ……」
マナは心底うんざりした様子でその名前を呼んだ。カインリルの交流試合の申し込みと同時に行われたプロポーズのせいで、ただでさえしつこい取材がここのところさらにしつこくなっているのだ。
「ところで、マナさまはカインリルさまのことをよくご存じのようですが、どういうご……」
「ミレイ、早く行かないと授業が始まっちゃうわ!」
「あ、ちょっとマナさま」
カルネの質問をさらっと無視して、ミレイの手を取って盾にしつつ早足で教室へと歩き去っていくマナを見て、カルネはつぶやいた。
「スクープの匂いがしますわ」
その日の放課後、マナは学園長に呼ばれて学園長室を訪れていた。
「失礼します」
「どうぞ」
招き入れられて部屋に入ると、そこにはカインリルと留学生の引率をしている教師が先に入って待っていた。
「中等部2年のマナ=プラー=クージャです」
「ハンセタール王国プレミュール校高等部で教師をしているウォニー=ノルフレドです」
引率のノルフレドとマナとは初対面だったので、まずは互いに自己紹介をした。
「マナはカインリル君とは知り合いだったのよね」
どうして学園長がそのことを知っているのかと思ったが、学園長のデスクの上のものが目に入って理解した。最新の校内新聞が開いたまま置かれていたのだ。
「カインリル君が衆人環視の中でマナにプロポーズしてマナが試合に勝てたら結婚してあげるって言ったんでしょ。青春よねー。私もそんな恋がしてみたいわー」
ーーちょっと待て。結婚するなんて誰も言ってないんだけど。
「それは違います」
訂正しようと口を開いたところで先に声を上げたのはカインリルだった。
「マナさんと約束したのはプロポーズをさせてほしいということだけで、それを受けるも断るマナさん次第です」
「マナ、そうなの?」
「そうですよ。そもそもあたしがこんなののプロポーズを受けるわけないです。瞬殺して格の違いを見せつけて終わりです」
「そんなわけないでしょう」
マナの言い様に、ノルフレドは思わず口を挟んでしまったようで「しまった」というように口を押さえていた。
「構いませんよ。ノルフレド先生はマナの実力に疑問をお持ちのようでしたし、ここでその疑問を解消しておかれればよろしいのではないですか?」
そんなノルフレドに学園長は寛大な笑みを持ってマナを追及することを許可した。マナにはその笑みがにやにやと笑う悪魔的な笑みに見えたのだが、他の同席者はそこまで学園長の人柄を知らない。
「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」
「何ですか?」
「失礼ですが、マナさん。あなたはこの方をどなたと心得ておられるのですか?」
ノルフレドはそう言って手の指をそろえてカインリルの方に向けた。当のカインリルはそれに対して少し眉をひそめているが、とりあえずノルフレドのやりたいようにやらせようと沈黙していた。
「小学生の女の子に結婚しようと言い寄るロリコン変態野郎でしょ」




