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第3章「デビュー」 - 03

 「くさい」

 「にゃ、にゃ?」

 「臭すぎるんだけど、何作ってるの?」

 「朝ごはんに決まってるじゃにゃいか」

 「<発現(レムス)>」


 マナが一言呪文を唱えると、部屋の窓が全部開いて一陣の風が充満していた臭いを持ち去って行った。


 「にゃぷっ。ちょ、俺まで飛ばすにゃ」

 「朝食用のパンならここに置いてあるわよ」

 「にゃに言ってんだ。朝はご飯に味噌汁にさかにゃ納豆にゃっとうだろ」

 「そんなものを作ってるから部屋が臭くなるのよ」

 「にゃにを?」


 子猫は一触即発という雰囲気で尻尾をゆっくりと持ち上げたが、マナはそんな子猫の

隣をすり抜けてキッチンの方へと入っていった。


 そして、ブールを掴んでパン切り包丁でスライスすると、冷蔵庫からチーズとバターを出して横に置き、さらにカット済みのサラダを取り出して塩コショウにオリーブオイルを掛けてわしゃわしゃと混ぜると、全部持ってテーブルへと向かった。


 「あ、ねえ。オレンジ搾って」

 「自分でやれにゃっ」

 「両手ふさがってるし」

 「知らにゃいよ。ああ、ご飯が炊けたにゃ」


 あわや大戦争かと思われたが、子猫の方でちょうど米が炊き上がったようで、お焦げがついては大変と尻尾を下ろして一時休戦となった。



 「ところで、これからどこへ行くんにゃ?」

 「学校よ」


 一触即発の朝ごはんの後、2人は初めての通学路を学園に向かって歩いていた。


 「学校?」

 「そ。トルニリキア魔法学園。あたしはそこの中等部2年生なの」

 「中等部ってなんにゃ?」

 「……、もういいわ。とにかく、学校ではあなたはあたしの使い魔ってことだから」

 「は? 誰が誰の使い魔だって?」


 子猫はそう言って、小さな子猫のくせに気の弱い猫なら震えあがりそうな目つきでマナを見上げた。


 「あなたがあたしの使い魔よ」

 「俺とお前は盟友だって言ったよにゃ?」

 「その件は昨日お風呂で話し合ったはずだけど?」


 子猫はマナの言葉で昨日の恐怖体験を思い出して身震いして、ついでにまるでまだ体が濡れているような気がしてもっと大きく身を震わせた。


 「くっ、卑怯者」

 「それに、学校で盟友なんて言っても誰も分からないんだから、使い魔ってことにしておく方がいいのよ」

 「……仕方にゃい。学校の中だけにゃ」

 「あ、後、学校の中では魔法禁止ね」

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