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フソフオル:何でも起こりうるファンタジーの世界。ファンタジーの世界!  作者: SodaKun


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5/5

私は優れている

分かっています…ペースがとても遅くて、皆さんにはひどく感じられるかもしれません。それについては、申し訳ないと言うことしかできません。まるで実際の体験のように、詳細な情報が欲しいのです。

「俺、これ似合ってるな」


ネクタイを整えながら、鏡に映る自分の姿を見て、俺笑みを浮かべた。

ようやく、自分に似合う服装になった。

この世界に馴染むような服に着替えてみたが、我ながらなかなかいい仕上がりだ。白い無地のTシャツに黒いジャケットを合わせ、赤いネクタイでちょうどいいアクセントを加えている。黒いズボンのサイズもぴったりだ。

どこからどう見ても、なかなか格好いいじゃないか。


「どうだ、ミコ? 俺、似合ってるか?」


彼女のほうを振り返った。

そして、動きが止まった。

俺はしばらく、ただ彼女を見つめていた。

ミコは美しいドレスを身にまとっていた。その姿は、驚くほどよく似合っていた。

いや、別に驚くことでもないか。

元の世界では、彼女は学校でも指折りの人気者だったのだから……だった、か。

どうやら、俺たちの以前の生活について語るときは、過去形を使うことに慣れなければならないらしい。


「似合ってるよ」


ミコが答えた。


「あ、ありがとう……」


くそっ!

何をやっているんだ、アート!

お前はこの物語の主人公なんだぞ。もっと落ち着け!

ほかに何か言おうとした、そのときだった。

聞き覚えのある、実に耳障りな声が俺たちの会話に割り込んできた。


「さて、お二人とも満足したのなら、そろそろ出ていってもらおうか。私は仕事に戻りたいんでね」


俺はガフォンのほうを向いた。途端に、顔がしかめっ面になる。

よりによって、今このタイミングで口を挟むとは。

落ち着け、アート。落ち着くんだ。

こいつは金にがめつい、どうしようもなく面倒な男だ。だが、今の俺にとっては、この世界を冒険するための貴重な足掛かりでもある。


まだ手放すわけにはいかない。


「いや、まだいくつか頼みたいことがあるんだ」


「ま、待ってよ、アート!」


ミコが慌てた様子で声を上げた。


「もう、用意されていた服はもらったでしょう? これ以上、彼から何をもらうつもりなの? もう解放してあげようよ!」


俺は首を横に振った。


「悪いな、ミコ。まだ終わっていないんだ」


ガフォンは信じられないといった様子で顔を歪めた。


「今度は一体、何が欲しいんだ!?」

「その口の利き方は感心しないな、ガフォン。自分の命綱を私が握っていることを、もう忘れたのか?」


俺は椅子の背もたれに寄りかかり、足を組んだ。


「それに、無一文のまま冒険に出るわけにもいかないだろう? というわけで、少しばかり金を恵んでもらいたいんだ」

「なにぃ!?」


彼の反応は、実にわかりやすかった。

この男は長年、自分の金を一枚たりとも手放さずに生きてきたのだ。脱税という小細工にもすっかり慣れきっており、国も王族も、彼の懐から一枚の硬貨すら取り上げることができずにいた。

そんな男に、今度は俺が金を要求している。

ガフォンのような強欲な人間にとって、これは宣戦布告も同然だろう。

彼は激しく首を横に振り、胸の前で腕を交差させた。


「断る! 絶対に渡さん! 一枚たりともだ! これは私の財産だ! 私のものなんだぞ! 汗水垂らして稼いだ金なんだ!」


俺は微笑んだ。

汗水垂らして、ねえ。

なんとも感動的な話じゃないか。


「アート……」


ミコが俺の袖を引っ張り、小声で話しかけてきた。


「お金を要求するのはやめたほうがいいよ。もし彼に通報されたらどうするの? 今度こそ、本当に牢獄に入れられちゃうかもしれないよ」


彼女が俺を思いとどまらせようとしているのはわかっていたし、その心配も理解できた。

ミコからすれば、俺はすでに一度、俺たちを衛兵に突き出そうとした男を、わざわざ挑発しているようにしか見えないだろう。

火遊びをしておきながら、火傷をしないつもりでいる。そんな無謀な行動に見えているのかもしれない。

だが、どう説明すればいい?

この世界で生きていくためには、いくつかの必需品が必要になる。その中でも、金は欠かせないものの一つだ。

それに、俺は自分のためだけに金を求めているわけではなかった。

俺は冒険者になりたい。

この世界を探索し、その秘密を解き明かし、目に映るものすべてを自分の目で確かめたいのだ。

ただ、ミコが俺と同じ道を歩みたいと思っているのかどうかは、まだわからなかった。

もし、いつか俺が一人で冒険に出ることになったとしても、彼女には何不自由なく暮らしていてほしい。毎日の生活に困り、些細なことにまで苦労するような目には遭わせたくなかった。

だからこそ、金が必要なのだ。

俺自身のためだけではない。

ミコのためでもある。

とはいえ、今ここでそんなことを説明したところで、何の意味もないだろう。

俺は彼女の言葉を聞き流し、再びガフォンに向き直った。


「よく考えてみろ。お前が俺に少しばかり金を渡せば、俺もお前の犯罪の共犯者になる。もし秘密が明るみに出たとしても、俺はお前と一緒に罰を受けることになるわけだ」


俺は両手を広げ、まるで理にかなった提案でもしているかのように、にこやかな笑みを向けた。


「つまり、選択肢は二つだ。少しばかり金を渡して、俺を共犯者にするか。それとも、くだらない意地を張ったせいで、財産を丸ごと失う危険を冒すか。好きなほうを選べばいい」


ガフォンの表情が険しくなった。

俺に向かって怒鳴り散らしたいのだろう。ひょっとすると、顔面に一発お見舞いしてやりたいとさえ思っているかもしれない。

残念ながら、どちらを選んだところで、彼の問題は解決しない。

彼は追い詰められていた。

そして、それを本人も理解していた。

長く、苦々しいため息をついたあと、ガフォンはとうとう折れた。


「……ここで待っていろ」


そう言い残し、彼はホテルの奥へと歩き始めた。どうやら、金を隠している場所へ向かうらしい。


「それから、プエムの杖も忘れずに持ってきてくれ」


ガフォンの足が止まった。

その両脚は、目に見えて震えていた。

思わず笑いが込み上げてきた。

いけない。

これは、あまりにも面白すぎる。

人間であろうと、どんな種族であろうと、自分がどれほど強い存在だと思い込んでいようと、決して敵わない相手が二種類だけいる。

作者。

そして、読者だ。

一方は世界を創り、もう一方はその世界の仕組みを知り尽くしている。

そして今、俺はその両方を兼ね備えていた。

この世界の住人たちが決して知り得ない情報を武器に、俺は彼らの頭上に立っている。

さあ、どうする、ガフォン?


「どうして私がそれを持っていると知っているのか、なんて聞かなくていいぞ」


俺は何気ない調子で続けた。


「そもそも、その時代にそんな遺物が存在するはずがないんだ。今の時代にあるべきものじゃない。とうの昔に絶滅した種族に属する者が持っていた杖なんだからな」


ガフォンは振り返らなかった一言も発しなかった。

ただ、震える脚を動かしながら、ホテルの奥へと歩き続けた。

俺は彼の姿が見えなくなるまで、その背中を眺めていた。

疑いようもない。

あいつは本気で俺を恐れている。

それが、背中を見ているだけでわかるのだから面白い。

実に素晴らしい。

ガフォンがロビーから姿を消すと、ミコが俺のほうを向いた。


「ねえ、アート。何が起きているの?」

「何も?」

「何かあるに決まってるでしょ。私にはわかるんだから」


今度の彼女の声には、はっきりとした強さがあった。


「私だって馬鹿じゃないんだよ。昨日の夜は、自分の部屋で普通に寝ていたの。それなのに、今朝目を覚ましたら、突然こんな場所にいた。何もかも意味がわからないよ」


彼女は言葉を探すように、少しだけ間を置いた。


「最初は、私たち二人とも混乱していたよね。何が起きているのか、まったく理解できなかった。それなのに、アートはどうしてか、この場所のことを何でも知っているみたい。人のことも、その人たちの秘密も知っていて、私たちが問題にぶつかるたびに、あっという間に解決してしまう」


彼女は真っすぐに俺を見つめた。


「だから、お願い。アート。本当のことを教えて」


俺は黙り込んだ。

彼女には、真実を知る権利がある。

これ以上、何も知らないままにしておくわけにはいかなかった。これから二人でこの世界を生き抜いていくのなら、自分たちが置かれている状況を理解しておく必要がある。

俺はロビーを見回し、誰かが会話を盗み聞きできる距離にいないか確かめた。

周囲に人がいないことを確認すると、彼女に顔を近づけ、声を潜めた。


「声を抑えてくれ。それと、何があっても大げさに驚いたりするなよ。これ以上、余計な注目を集めたくないんだ」


ミコはゆっくりとうなずいた。

俺は一度、深呼吸した。


「どう説明すればいいのか、俺にもよくわからないんだが……ようこそ、『ホソフオル』の世界へ」

「……ホソフオル?」


聞き慣れない名前に、彼女は首を傾げた。


「ファンタジー小説のタイトルだよ」


ミコは俺を見つめた。

そして、ゆっくりと表情を変えた。


「待って。それって、私たちが何らかの理由で、架空のファンタジー小説の世界に転移してしまったってこと?」


俺はうなずいた。


「正解!」


数秒間、彼女は何も言わなかった。

やがて、信じられないといった声で尋ねてきた。


「どうしてそんなことが起こるの……? 私、その小説のことなんて、生まれてから一度も聞いたことがないよ!」

「それは、そもそも出版されていないからだ」

「……え?」

「作者が出版する前に、心臓発作で亡くなったんだよ」


ミコは、まるで俺から世界が終わると告げられたかのような顔をした。

俺は彼女が口を挟む前に、話を続けた。


「たまたま、その作者の孫娘と知り合う機会があったんだ。彼女が原稿を売りに出していたから、俺が買い取った。信じられないくらい安かったし、まあ、いいかと思ってな」


ミコは長いため息をついた。

そして、近くにあった椅子に腰を下ろした。

無理もない。

自分がいつの間にか架空の世界に迷い込んでいたと知るだけでも、人生がひっくり返るほどの衝撃だろう。

そのうえ、その世界が、世間に一度も公表されることのなかった未発表の小説をもとにしているのだ。

あまりにも現実離れした話だった。

ミコはしばらく黙ったまま、俺が話した内容を頭の中で整理していた。

俺は、彼女が落ち着くまで待つことにした。

やがて、数秒間の沈黙のあと、彼女は顔を上げた。


「主人公を探さなきゃ」


俺は目を瞬かせた。


「……え?」

「考えてみてよ! 主人公の冒険を手伝って、彼の目的を達成させれば、元の世界に帰る方法が見つかるかもしれないじゃない!」


ようやく何か希望を見つけたかのように、彼女の表情には再び決意が宿っていた。


「アートはその小説を読んだんでしょ? たとえ、想像していた姿と実際の見た目が違っていたとしても、主人公なら見分けられるはずだよ!」


俺は後頭部を掻いた。

ああ、くそ。

できれば、この話は避けたかったんだが。

せっかく取り戻した彼女の希望を、打ち砕くようなことにはなってほしくなかった。


「ミコ……」


俺は申し訳なさそうに微笑んだ。


「一つだけ、問題があるんだ」


彼女は眉をひそめた。


「問題って、何?」


俺は少しだけためらってから、その事実を告げた。


「主人公は、まだ生まれてすらいないんだ」

この章をお読みいただき、ありがとうございました!SodaKun Out ☆!

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