安眠妨害は、お肌の敵です
読みに来て下さって、ありがとうございます。
オルツァーさんは、頼りになるのかならないのか判らないのが、ミソです。
結局、大叔母様のお土産は、キレイな布と刺繍糸にした。何が良いのか判らなかったので、大叔母様には、私のお得意の枕を作ってあげる事にする。
「不要だったら、砦の奴らに売って、稼いだ金で薬の魔女の好きなものを買ってやればいいさ」
お土産は、そう言うものじゃないと思うけれど、オルツァーさんに言わせると、それが合理的な考えらしい。まあ、オルツァーさんらしいって言えば、オルツァーさんらしい。
デリカシーは、何処かに行ってしまった様だ。
「まあ、うちの叔父貴なんざ、土産は、旨い地酒だったら、何でも良いしな」
オルツァーさん曰く、それが、酒飲みのお土産の定義らしい。珍しい旨い酒の肴を共に持って帰れば、尚良し。なんだそう。
へーえ、そんなモノなのね。
そう言えば、お酒好きの教授達は、「どこどこの土産だよー」とか言って、よくお酒を持ってお互いに研究室を訪ねたりしてたわ。
ああいう感じなのかも知れない。
「薬の魔女は、砦に行商人が来る時には、自分では作れないからと言って、よく布やら糸やらを買ってたから、それが正解だと思うぞ」
まあ、逆に言ってしまうと、それ以外のモノは何とか作れると言うことなのかな。
うーん、益々、大叔母様に会ってみたい気がする。どんな生活をしてるのかな。色んな事を教えて貰えそうで、ワクワクが止まらない。
宿に帰るまで、オルツァーさんは私から一時も手を離さなかった。男の人と2人で手を繋いで楽しくお買い物なんて、まるでデートみたいで、ちょっと嬉しい。
実際は、どう見ても兄ちゃんが弟を市場に連れて行って、迷子にならない様に手を繋ぎっぱなしにしている、だけ。
自分で言ってて、悲しいわ。ぐっすん。
「何だか、誰かに見られている気がして仕方ないな。絶対に私の手を離すな」
そうオルツァーさんに言われて、私も身を引き締めた。
デート気分で浮かれていた自分が、悲しい。初めてのデートみたいで楽しかったのにな。浮かれている場合じゃなかったけど。
まさか、態々、私みたいな小娘を借金のかたにする為だけに、ここまで追ってこないだろうとたかをくくっていたけれど。
まあ、用心するに越したことはないもの。
「今日は、私も用心の為に、酒を一滴も飲んでないからな」
うん、それは判ってた。宿の食堂で晩ごはんを食べながら胸を張ってそう言うのが、ちょっとばかし可愛らしい。
「偉い偉い」
何だかオルツァーさんが更に可愛らしく見えて、思わず頭を撫でてあげた。
オルツァーさんは、フフフンと言ってて嬉しそうだった。
本当に、なんだか可愛い。くすくす。
今日の町は大衆浴場はないので、宿が用意してくれた風呂に順番に入り就寝準備をする。
「う~ん。何だか、腹の辺りがムズムズするな。こんな時は用心するに限る。何が起こっても良いように、服はきちんと着て寝ろよ。荷物もすぐに逃げれるように纏めておけ」
オルツァーさんの感は、結構当たるらしい。
「何か、こう、腹の虫が騒ぐんだ」
オルツァーさんのお腹の虫は、お腹が空いた時以外にも活躍するらしい。何だか笑える。
そして、恐ろしい事に、そのお腹の虫は、きちんとお仕事をしてしまったのだった。
「お前ら、何の用だ」
寝ていたオルツァーさんが、ムクリとベッドから身を起こし、片手に剣を構え、片手に私をぎゅっと抱え込んだ。
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そう、3日目の夜も、私はオルツァーさんと一緒のベッドで寝る事になった。
私が「嫌だ嫌だ」と言い続けるも、オルツァーさんは、聞き入れてくれなかった。
「男同士なんだから、問題ないだろう。昨日、一昨日も一緒のベッドで寝たんだから、もう1日一緒に寝ても問題ない」
いや、問題大有りですからね。昨日一昨日とは、訳が違いますから。今日は、酔っぱらってないだけ質が悪いわよ。
反抗したものの、押しきられて、そのまま一緒のベッドに突っ込まれて押さえ込まれて寝る羽目になった。
「坊主、諦めろ」
もう、いいや。私は、男の子。私は12歳位の小さな男の子。
これで何にも起こらなかったら、明日の朝は罵倒して責めてやる。
だが生憎、夜中に誰かが部屋にやって来て、私は罵倒する機会を失った。
恐るべし、オルツァーさんのお腹の虫。
「そいつを、渡して貰おう」
その小さな影は、オルツァーさんの剣に怯む事もなく、私に向かって手を伸ばした。
「ミネ、やっぱり一緒のベッドで寝ていて正解だったろう。
お父さんと一緒に寝る様なもんだろ。別に問題ないだろう」
「いや、でも、普通はこの歳になったら、父親と一緒のベッドで寝たりしませんからね」
「オルツァーさんは、寂しいぞ。ミネ」
恋愛に関係なくどんどん絆され、丸め込まれて行くミネ。これで良いのか?




