表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/80

街の外の情景

 石畳の坂道は外壁まで続いており、城門のような立派な街の玄関口を抜けると、景色が一変した。

 大通り沿いは宿場町となっており、客引きが空室状況を叫んでいる。昨日の窓からは見られなかった光景だ。

 門が小さくなるころには石畳はなくなるが、どこか遠くにある隣の街へと真っ直ぐ続いてそうな道は、外壁内にあった白い道のようにしっかり整備されていて、馬車も活発に行き交っていた。

 茅葺の屋根がまばらに連なり、広い牧草地には家畜が放牧されていて、土と干草の匂いが混じっていた。ようやく外壁から見た牧歌的な風景の登場だ。


「きれいじゃない……かなぁ……」


 そんな私の呟きが聞こえたのか聞こえなかったのか、振り返るとリオナは少し肩をすくめるだけだった。

 白い大通りを外れて村の道を歩くと、あちこちに小さな柵があり、家畜の鳴き声や子供たちの声が聞こえる。

 けれど、ふと視線をやると、そこに置き去りにされた動物の死骸があり、手入れされず朽ちていた。


「……リオナ、これって?」

「……あ、あのね、鳥とか獣にやられちゃったのを……そのままにしてることもあるんです。」

 リオナの声は小さく、説明を強制されるのを嫌うように、言葉を選んでいる。


「見てリオナ!あそこの人!」

 遠くに見えたのは長尺の太い丸太を肩に担ぐ男。

 特徴的だったのはその行動ばかりではなく、頭の上から飛び出た大きな耳。そしてモフモフした尻尾があることだった。

 もしその瞬間のリオナの顔を見ていたら、苦々しい表情を見たことだろう。


「わぁ、やっぱりいるんだねぇ。もっふもふいいなぁ!ねぇリオナ、女の子だっているよね!友達になりたいよねぇ!」

 目をキラッキラさせて振り向いたと思う。


「え、それは私が……いえ、どういう意味でおっしゃられているのでしょう……」

 リオナは一瞬口をつぐみ、目をぱちぱちと瞬かせる。

 言葉を出しかけては飲み込み、わずかに声が裏返る。

 ――言い直した敬語の響きから、何か言いにくいことがあるのだろうと感じた。

 肩の力が抜け切れず、私との距離を測っているようにも見える。

 動物好きを蔑むというなら受けて立つ!そんな思いで勢いに任せて反論する。


「はぁ!?ケモミミでモフモフだよ?はぁ……リオナったらあの良さがわからないとか……この世界にいながら絶対損してるって!!」

 ケモミミやモフモフがいるなんて、猫カフェ常連の私にとって天国でしかない予感しかない。


「いえ、そのような意味ではなく……何とも思われないのでしょうか?」

 リオナ、残念な子!私はこの世界の素晴らしさを自覚していないリオナに、いかに損しているかを懇々と説いてやろうと思った。


「何とも思うよ!逆に聞くけどリオナはこの素晴らしい世界について、どう思ってるのよ!……ちょっと待って、これは、どういうこと!?」

 リオナの向こう側、打ち捨てられた子猫の腹には真新しい刃物傷。流れ出た血は地面を黒く染め、同時に私の心も黒い怒りの感情で染め上げるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ